野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

今日の一曲 Can't Be Long Now / Francoise / For Richard / Warlock by Caravan

2013年11月29日 | 今日の一曲

http://www.youtube.com/watch?v=CcxS-HU2qH0

だいぶ寒くなってきましたね。こんなときはちょっとしっとりした曲が聞きたいもの。
そこで今日はキャラヴァンのアルバム"If I Could Do It All Over Again, I'd Do It All Over You"(1970)から
"Can't Be Long Now / Francoise / For Richard / Warlock"を取り上げてみます。
プログレファンなら一度くらいは聞いたことのある曲だと思うのですが、最近は聞いたことがないという人が多いかもしれませんね。

この曲が収録されたキャラヴァンの二作目のアルバム、邦題は「キャラヴァン登場」です。
日本ではこのアルバムが最初に紹介された関係で上のような邦題となったそうです。
まあデビュー作発表後ろくにプロモーションも行ってもらえずにレーベル消滅で契約を切られてしまったので、
二作目がデビュー作と言ってしまっても致し方ない面はあるのだとは思います。
アルバムの後半に収められたこの曲はキャラヴァンをジャズロックバンドとしてプログレファンに認知させた有名曲で、
一般にはオムニバス曲中のタイトルから「フォー・リチャード」と呼ばれています。
この曲を皮切りにバンドはいくつかのオムニバス大曲を作っていくことになるのですが、
その多くはキーボードのデヴィッド・シンクレアが作曲しています。
キャラヴァンというバンドは基本的にパイ・ヘイスティングスのギターテクニックが怪しいこともあって、
サウンドの核はキーボードに依存しているという特徴があります。
この曲でもゲスト扱いされているジミー・ヘイスティングスのサックス・フルートが主要なテーマを吹いているほかは、
歪んだハモンドオルガンの音がどことなく寂しげなメロディを奏でています。
スタジオ盤ではテンポがややスロウで若干冗長に感じるところも無くはないのですが、
ライヴでは少し早めのテンポで歴代のキーボードが主要テーマを弾くところが見せ場となっています。
ボクは"Live At Fairfield Hall"の音源が好みです。パイ・ヘイスティングスのヴォーカルもスタジオ盤よりよく聞こえるし。

http://www.youtube.com/watch?v=N19Xl1KFXEg
(最近の"Cunning Stunts"のアルバムにはボーナストラックとして収録されています)

ところでこの曲、巷間ではジャズロックと言われる訳ですが、ボクはあまりそうは思わないんですよね。
そもそもキャラヴァンをジャズロックという範疇に押し込んでしまってよいかという問題もあるのですが、
強いてジャズロック風だというのであれば、この「フォー・リチャード」くらいのものだろうと思います。
"Nine Feet Underground"なんかは普通にオルガンロックでしょ。何でもジャズって付けりゃ良いってものじゃないでしょう。
まだ同時期に発表されたSoft Machineの"Third"やNucleusの"Elastic Rock"のほうがジャズを志向しています。
キャラヴァンの場合、ワイルドフラワーズ時代に培ったR&Bにフォークの要素を加えたロックという色合が強いように感じます。
そこにジミー・ヘイスティングスの管楽器が入ることでジャズの要素が入り込むことになった。
ただリチャード・シンクレアのようにジャズ志向の強いメンバーがいたことも確かで、
だからリチャードが脱退すると一気に音がアメリカナイズされていくことになります。
この辺の話というのは以前紹介した"Love Song With Flute"でも同じようなことを書いているのですが、
アルバムを順を追って聞いていくとよくわかるんですよね。
ということは次は"Waterloo Lily"辺りを紹介するべきなのかなぁ…。あまり好きなアルバムじゃないんですけれどねぇ…。

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