情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

NHK人事介入で,山本順三議員に市民団体抗議~若手議員の会所属と判明

2006-04-14 02:01:59 | NHK番組改編事件
NHKのあり方に批判的な「NHK受信料支払い停止運動の会」などの市民団体やジャーナリストで組織された「日本ジャーナルスト会議」などの団体が,4月13日,NHKの人事に介入する質問を行った山本順三議員に対し,公開質問状などを送った。

山本順三議員は,3月30日の参議院委員会で,NHKのETV2001番組改変事件をめぐって,NHKに対する政治圧力の存在を告白(ここ←)した永田チーフプロデューサー(当時)処分を発言をした人物(ここ←)。

この日,市民団体の代表らは,議員会館で山本議員の秘書と面談し,「政治家が国会審議の場で、番組制作に関わって起こった裁判の公判で行われた番組制作担当者の証言を取り上げ、証言内容を理由にNHKに人事上の処分を迫ることは、放送法第3条で定められた放送の自主自律を侵害する政治介入に当たると考えられますが、山本議員はどのように認識されていますか?」などについて質問する公開質問状などを手渡した。

この際,秘書は,山本順三議員がNHKに対して圧力をかけたとされる安倍晋三,中川昭一両議員らと同じく,「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」に所属していることを明らかにしたという。

え~,それってNHKの番組改変問題での安倍中川とNHK職員の面談が完全に政治圧力であることを自白しているようなじゃないのか?!少なくとも,今回の山本議員の質問は政治的圧力であることが明らかではないか?

自民党は,そういう圧力をかけるような議員をそのままにしておいてよいのか?永田メール質問よりもはるかに問題が根深いと思うが…。

参照:日刊スポーツ


※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

朝日新聞よ,本田記者の取材テープを公開せよ~NHK新ガイドラインで隠し撮り認める

2006-04-10 05:53:19 | NHK番組改編事件
NHKが先頃,発表した新ガイドラインによると,無断撮影・録音について【取材の相手が,撮影や録音を明確に拒否している場合は,原則として撮影や録音を行わない】としつつも,【ただし,次のような場合には,所属の部長の許可のもとに取材相手の同意なしに撮影や録音を行う場合がある】として【取材相手の同意なしの撮影,録音以外に反社会的な行為を取材できず,かつ,これを放送することが公共の利益に照らして必要なとき】【事態が流動的で,取材時には撮影や録音について同意を得ることが難しいと判断し,かつ,条件が整った段階では,これを放送することが公共の利益にかなうと判断したとき】を挙げている。

これについては,事前に所属の部長の許可を得なければならないという点で,あまりに,取材する者に厳しい枠組みが課せられているが,少なくとも,実質的には,公共の利益に照らして放送することが必要な反社会的行為を取材する場合には,無断録音・撮影をしてもよいということになる。

朝日新聞がETV問題を取材した際,NHKは,次のような公開質問状を送った。

【去年8月に明らかになった、御社記者が起こした「無断録音テープ流出問題」についての御社見解によれば、「取材内容の録音は相手の了解を得るのが原則であり、取材相手との信頼関係を損なうことがあってはならない」としています。御社記者は、松尾元放送総局長に取材した際に録音する許可を得ていませんでしたので、仮に録音テープがあるのであれば、御社見解に照らした場合、取材倫理に反する行為にあたると考えますがいかがでしょうか】

【また、録音テープの有無に関わらず、記者会見前日に松尾元放送総局長が電話で質問した際に、録音テープの存在の有無をはっきり答えなかった御社記者の行為は、「取材相手との信頼関係を損なうことがあってはならない」としている御社の取材倫理に、やはり反するものと考えますがいかがですか。】

これらは,無断録音を許さないという姿勢からの質問であり,今回の新ガイドラインと真っ向から対立する。

NHKは,少なくとも,公開質問状に上記の質問をしたことについて反省し,質問を取り下げるべきではないか?

また,朝日新聞が,ETV問題において,取材したことは,今回の新ガイドラインで,NHKが自ら「放送とは直接かかわりのないNHKの予算・事業計画の国会承認を得るなどの業務にあたっても、この基本的な立場は揺るがない」とした自主自律の堅持が守られなかった事例である。

従って,新ガイドラインにおいて,無断録音・撮影,そして,その放送までもが認められる事例であるというほかない。

よって,朝日新聞は,直ちに,録音したテープを堂々と公開するべきではないだろうか?


※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

伊東律子NHK番組制作局長(当時)は,陳述書の書き換えに応じるのか?~永田証言を無視するのか?

2006-04-02 11:49:51 | NHK番組改編事件
女性国際戦犯法廷に関する番組をめぐる民事訴訟に関連して,NHK側は,いったん,提出した伊東律子番組制作局長の陳述書を訂正しようとしていることは,ここでお伝えしたとおりだが,永田証言が訂正前の陳述書と一致していることが分かった。

変更する内容は,問題の番組放送前に,安倍・中川らのグループが発行した,慰安婦は強制的に慰安行為をさせられたものではなかったと主張する書籍を伊東律子局長が持っていたか否かという点。当初,伊東局長は,番組放送前に買ってきてもらって資料として持っていたと述べていたが,それを否定することにしたという。

この点について,永田チーフプロデューサーの証言内容は以下であることが分かった。

■■引用開始■■
1月26日辺りじゃないかというのが,私の記憶です。伊東番制局長の部屋に呼ばれて,この本を伊東さんがご自身で持っておられました。呼んだことある?とかいうことで聞かれて,ありませんというふうに言いました。分厚い本ですけれどもこの中の最後のほうに,「『日本の前途と歴史教育を考える若手疑委員の会』委員一覧」というのが名簿の形で載っています。

伊東さんは,この本の516,517頁(名簿)をわざわざ示して,それで私にちょうど中川昭一さんのところを指さしながら,言ってきているのはこの人たちよ,というふうに言いました。

必ずしも26日に,確かにその日ですという記憶はないんです。ただ,私が当時受け止めたことではっきり覚えているのはこの人たちだけど頑張るというか,そのことにめげずにしっかり放送を出すんだという受け止め方でした

■■引用終了■■

ということからして,放送前であることは明確…。

この点,従前の伊東局長の陳述書も,【確かこの25日ころだったと思いますが,場組制作局企画開発の職員が「歴史教科書への疑問」という500ページくらいの厚い本を書店で購入しました,と届けてくれていました。本の編者を見ると,「日本の前途と歴史教科書を考える若手疑委員の会」という長い名前のグループでしたが私は知りませんでした。あまりに厚いのと時間がなかったので結局放送が終了するまで読みませんでした。自分では読んでいなかったので結局室を訪れた吉岡部長らに対して「こういった本もあるけど読んだことはあるか」と尋ねたことはあったように記憶しています。】となっており,放送前に資料として持っていたこと,それを放送前に吉岡部長らに示したことについては,完全に一致している。


永田チーフプロデューサーは,法廷で,伊東局長について,次のように述べている。

【伊東さんについて言えば,僕はやっぱり30日(放送当日)の,言葉を発せず,泣きそうな顔で私を見ていた顔が忘れられないんですね。で,この話題を伊東さんと2人ですると,必ず伊東さんはぽろぽろぽろぽろ泣くんです。だから伊東さんは今でもいろいろな形で苦しんでいるんじゃないかなと】【伊東さんに対してはずっと経緯を持っていますし,今回のことについても,伊東さんなりの痛みをずっと抱えておられるんじゃないかなということを言いたかったんです】


…伊東局長は,永田チーフプロデューサーの敬意に応えることができるのだろうか…。


※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

永田処分を迫る山本議員質問,完全?再現!~見よ,全NHK職員!!

2006-04-01 02:09:12 | NHK番組改編事件
永田氏らの処分を迫る山本議員の質問を下記のとおり,再現しました。

3月30日 参議院総務委員会

◆自民党 山本順三議員:
  実は,先般3月22日、東京高裁におけるNHKの永田浩三氏,当時のチーフプロデューサーというふうにうかがっておりますけれども,この方の証言でですね、昨年1月12日に朝日新聞の報道が出たその直後に,1月14日でございますけれども,NHKの幹部の皆さんが集まって対応を協議した。そして、松尾元放送総局長と野島元総合企画室担当局長との間で、安倍晋三議員に呼びつけられたのではなくこちらから出向いたことにしようとの口裏合わせがあったことを、話し合いに参加した上司から聞いたと,こういういう記事がありました。これは、NHKにとって由々しき問題だろうというふうに思います。そこでまずは,事実確認をさせてください
1月14日にNHKの幹部,協議があったのかどうか? あったとしたらどういうメンバーが集まったのか? 永田氏の言うとおり,松尾氏・野島氏も出席していたのかどうか? 加えて,話し合いの内容はどうなのか?永田氏はその場にいた上司から聞いたといってらっしゃっていますが,それを聞いた上司とはいったい誰なんでしょうか,そのあたりのことを聞きたい。

◆NHK理事 原田豊彦:
  今言われた協議とは、1月14日の話し合いのことだと思いますが,この話し合いは1月12日に朝日新聞の記事が掲載されました、13日にはNHKの職員が記者会見をしたことを受けまして朝日新聞の記事のどの部分が間違っているか、その後の対応、記者会見で説明すべきかどうかを協議するために行われたものでございまして,松尾放送総局長、伊東番組制作局長らが出席しておりました。この場に、裁判の証言で安倍氏のところに出向いたことにしようと提案したとされる野島元担当局長は、そもそもこの話し合いに参加はしておりません。当日、この話し合いに出席致しました関係者から事情を聞気ましたけれども、ご指摘のようなすり合わせのような話はなかったということでございます。

◆山本議員:
  となると、ホントにこれおかしげな話になるわけです。そこで,もう一点お伺いしたいのですが。NHKの公式的な考え方としては、安倍議員に呼び出されたのではなく、事業計画の事前説明のために出向いたとおっしゃっています。一方では永田氏の控訴審の証言があります。
永田氏は現在、衛星局の担当部長だとうかがっておりますが,担当部長ということはまさにNHKの幹部の一人だと私どもは解釈します。そういう人方がNHKの公式見解があるにも関わらず,会社の名誉に関わると思うのですが,口裏合わせということを伝聞に基づいて裁判の席上で証言するということは大変由々しきことだと思いますし。NHKのガバナンスが問われる問題だと思います。
  そこで,会長としてどういうふうにお考えなのか、また,NHKの信頼を守りぬくためにどのようにけじめをつけるつもりなのかご所見をお聞きしたい。

◆橋本会長:
この職員の証言が伝聞に基づくということで,大変根拠が無いことについて証言したことに対して、私大変遺憾に思っています。そういう中でNHKの姿勢というものはこの裁判を通じて,公けに明らかになる裁判の中ではっきりとしめして参りたいと思います。また,この職員についての人事上の扱いについては、適切に対処したいと考えております。

◆山本議員:
その適切とはどういうことなのかということについてお伺いしたいところですが、なかなか答えにくいところだと思いますので。実は,朝日新聞の方は、調べましたら,NHKに政治介入という記事を書いた記者は現場から外されたというふうなことも聞いておりますし。また,関連資料流出の責任をとって、編集局長と社会部長とが職務の任を解かれたことも聞いております。
そういったことと比較するとNHKの対応というものが後手に回っているのではないか。甘いのではないだろうか。私どもはつくづく感じているところです。
そもそも発端になったのは長井さんというデスクが、信頼できる上司から、これまた伝聞に基づいた政治的介入があったというふうなところから、この話が始まったわけであります。永田氏にしてもそうです,長井氏にしてもそうなんですが、NHKとして、そういったいろんな話が出ておりますけれども、NHKの内部調査がどのように進んでいるのか、その辺りの実態をぜひお聞かせいただきたい。

◆原田理事:
  NHKといたしましては、この問題、今、裁判が進行している途中でございますけれども、これまであえて編集過程の詳細まで踏み込んで事実関係を整理して視聴者の皆さんにも説明責任として公表して、私たちの基本的な考え方を示してきたところでございます。当時,NHKの中でも、一部の職員の間で事実関係はどうだったんだろうということで、関係者の一部から話を聞くという動きがございました。ただ、そのことは全体の、関係者全員の話を聞いて総合的に事実関係を特定したものではございませんので、ま,一部の関係者の思い込みであるとか、あるいは事実誤認などが多く含まれておりまして,不完全な内容であると考えております。
  そうしたことが背景となって、証言の食い違いになっているというふうに思っておりまして,その辺り、私ども,どういうことでこういうことになったのか、調査をしているところでございます。

◆山本議員:
  最後に,要望だけしておきたいんですけれども,私,なんでこのような質問をするかと言いますと,NHK、公共放送を一手に抱えて頑張っていらっしゃる,それはぜひともその姿を国民に見てもらって,早く信頼回復をしてもらいたい。その一つとして,これに関連した記事が出てくるんですが、その記事一つ一つがNHKの信頼回復と逆行してしまう。そのことを大変に心配しております。
  是非とも、毅然とした態度で、これからこの問題をしっかり内部調査して、早くに解決できる,国民に説明責任を果たす,そういうことを、是非ともやっていただきたい。NHKの自浄能力に大いに期待しながら質問を終わりたいと思います。



ちなみに永田さんのこの点に関する証言は下記のとおり。

【「非常にびっくりしたのは,吉岡さんも含めてですけれども,伊東さんと松尾さんと野島さんと4人で集まってのことです。で,政治家の介入がもういろいろ記事なんかでも盛んに取り上げあげられ始めていた時期ですけれども,松尾さんが安倍さんのところに行ったのは,呼びつけられたのではなくこちらから出向いたということにしようということに,松尾さんと野島さんのやりとりの中でそういうふうになっていったということを吉岡さんから聞きました」】


この点,永田氏が証言の際,内容が正しいことを確認したNHK有志作成の時系列表には吉岡部長(当時)の発言として次のように書かれている(ここ参照)。

■■引用開始■■
 1月14日,松尾元総局長に呼ばれ,4階に集合した。1月12日の朝日新聞の記事への対処を話し合う場だった。野島元担当局長(現理事)伊東元番組制作局長(現顧問)白髪頭の人がいた。宮下理事も10分くらい顔を出した。松尾氏が記者会見を行う相談だったが,「やる」という決断はくだらなかった。野島氏から松尾氏に「1月29日は安倍氏に呼びつけられたのではなく,こちらから説明に行ったというゆうに話して欲しい」と要望があった。松尾氏は苦りきった顔で「よく覚えていないという回答ではどうだろうか」といい,そこに落ち着いたようであった。
■■引用終了■■


※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

山本順三議員(自民),裁判結果待たず,永田氏の処分迫る~立ち上がれ,全NHK職員!

2006-03-31 23:24:39 | NHK番組改編事件
30日の参議院委員会で,永田チーフプロデューサー(当時)の処分を迫った山本順三議員の発言を,国会のインターネットTV(ここの山本議員をクリック。8分~16分ごろの間)で聞いてみた(永田氏の法廷での証言についてはここここなど参照)。

ただ,唖然とするばかり…。いままさに司法府で争われている事実関係について,告発した側の見解を真っ向から「伝聞だ」と切り捨て,証言した永田氏らの処分を迫る内容だ。NHKの橋本会長らもその尻馬に乗り,適切な対応をする旨回答している。

内部告発の先鞭を切った長井デスク(当時)に続き,貴重な発言をした永田チーフプロデューサーの証言をいずれも伝聞だとして処分を迫る山本議員の発言は政治介入そのものだ。


永田氏は,長井デスクの内部告発を裏付ける証言をした法廷で,次のように証言している。

NHK側代理人「(「従軍慰安婦」らの証言をカットしたことによって)よくなくなったというふうに思っているということでしょうか」

永田氏「特に最後のところで切るということの根拠として松尾さんや伊東さんが挙げておられます,証言者の信憑性ということですけれども,これはあまたの番組で言えることですが,戦争体験に限りませんが,歴史的な体験をされた方,特にあのようなつらい…つらい体験をされた方の…信憑性について,最後の土壇場で疑うなんていうことが,僕はあり得ないというふうに思っています。その人たちが何も得することなんかないんです。非常に恥ずかしい。歴史的なつらい体験をおとしめるような,そういう振る舞いをしたことの無残さということが,やっぱり間違っていたんじゃないでしょうか」


法廷主催者側代理人「(カットをとめようと上司に訴えたとき)証人としては,どういう思いだったわけですか。」

永田氏「まあ,それまでもいろんなことはあったんですけれども,放送当日のそういうことについては,さっきちょっと取り乱して恥ずかしいですけれども,もうやっぱり,放送人というよりも人間として,やっぱりやっていいことと悪いことってあるじゃないかというぐらいの気持ちでしたね」

永田氏「我々を律しているルール,放送に携わる人間を律しているルールというのは幾つかあるんですけれども,もし2つ挙げるとすれば,真実を希求する不断の努力ということ。これは野球をやる方がボールを追いかけたり,山登りをされる方が山の頂を目指すのと同じぐらい当たり前のこととしてあって,私はそのことを大事に思ってやってきましたし,若い人たちにも,真実というものを追い求める仕事なんだというふうに言ってきたわけです。もう1つ,やはり声を挙げられない人のいことを我々は大事にして,放送という形でそれを紹介していくと,立場の弱い人のために放送はあるんだというふうにずっと信じてきましたので,そのことの2つに照らし合わせてみて(みるならば),(松尾放送総局長や伊東番組制作局長は)彼ら(慰安婦)が言っていることが信憑性がないという判断でしたけれども,それをご本人の前で本当に今でも言えるのかということを申し上げたい。やはり,弱い人の立場に立って,やる仕事というのを,根本的に毀損する判断だったんじゃないでしょうか」

  ■ ■

NHKに勤める全職員の皆様,この永田さんを,そして先行した長井さんを助けてあげてください。

永田さん,長井さんは,弱い立場から,何の利益もないのに,本当のことを証言したのです。お二人を救うのは,同じ仲間の連帯しかないのではないでしょうか?


※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

永田CPを処分?~吉岡部長は…

2006-03-31 18:19:33 | NHK番組改編事件
30日の参議院総務委員会の予算審議の質問で、永田CPが女性国際戦犯法廷を取り上げた番組の放送後に安倍に呼ばれたのではなく出向いたことにしようという口裏合わせを行ったことを吉岡部長が話していたと証言したこと(ここ参照)をもって,NHKが永田氏の処分を検討していることが明らかとなった。

では,永田CPは何と証言したのか,振り返ってみておこう。

■■引用開始■■

「非常にびっくりしたのは,吉岡さんも含めてですけれども,伊東さんと松尾さんと野島さんと4人で集まってのことです。で,政治家の介入がもういろいろ記事なんかでも盛んに取り上げあげられ始めていた時期ですけれども,松尾さんが安倍さんのところに行ったのは,呼びつけられたのではなくこちらから出向いたということにしようということに,松尾さんと野島さんのやりとりの中でそういうふうになっていったということを吉岡さんから聞きました」

■■引用終了■■

吉岡部長,あなたの次の発言に一緒に苦労した仲間・後輩たちが注目しているのではないでしょうか…。  


※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。
           

NHK伊東律子番組制作局長「中川は酔っぱらいだから…」発言?!

2006-03-30 23:19:23 | NHK番組改編事件
以前,紹介したNHK内部の有志が作成した時系列表に,中川昭一衆院議員がNHKの番組放送前に会ったことを裏付けると思われる証言が記載されていることが分かった。

時系列表の最終ページ欄外に記載されているもの。

■■引用開始■■

05年同じ頃の対策会議で伊東律子が「中川は酔っぱらいだから2月2日に会ったことにしておけばいいのよ」と発言したとの内部証言がある。これについては吉岡部長。

■■引用終了■■

吉岡部長,どうなんでしょうか?

NHK、高裁で提出した陳述書を訂正?!~番組改編訴訟

2006-03-23 23:12:22 | NHK番組改編事件
22日、女性国際戦犯法廷を取り上げた番組のチーフプロデューサーだった永田浩三・衛星放送局統括担当部長が東京高裁に出廷し,伊東局長から放送前、歴史教科書問題を扱った本に書かれてあった中川昭一衆院議員の名前を示され、「言ってきているのはこの人たちよ」と聞かされたと証言したことに対して,【NHKは23日、当時の伊東律子・番組制作局長の陳述書の一部に誤りがあったとして、訂正する方針を明らかにした。】(朝日)という。

 訂正しようとしている陳述書は,NHKが昨年7月に東京高裁に提出したもので、【伊東氏は「(放送5日前の1月)25日ごろだったと思うが、職員が書店で購入して届けてくれた。時間がなく放送終了まで読まなかった」と記していた。一方、23日の定例会見で原田豊彦・放送総局長は「本は、職員が放送2日後の2月1日に局内の資料室から借りた。番組制作局長が放送前に手にした可能性はほとんどない」と説明した。】という。

 NHK広報局は「本人の記憶違いなので陳述書を訂正する。真実に近づくため、裁判では時々あることで異例ではない」と話しているというが…。いずれが真実だろうか…。

 ちなみに,伊東氏の陳述書の該当部分には次のように記載されている。

【確かこの25日ころだったと思いますが,場組制作局企画開発の職員が「歴史教科書への疑問」という500ページくらいの厚い本を書店で購入しました,と届けてくれていました。本の編者を見ると,「日本の前途と歴史教科書を考える若手疑委員の会」という長い名前のグループでしたが私は知りませんでした。あまりに厚いのと時間がなかったので結局放送が終了するまで読みませんでした。自分では読んでいなかったので結局室を訪れた吉岡部長らに対して「こういった本もあるけど読んだことはあるか」と尋ねたことはあったように記憶しています。】

…これがでたらめだっていうのか…。

NHK番組改変問題~安倍への説明「出向いたことに」:チーフプロデューサーが証言

2006-03-23 01:15:28 | NHK番組改編事件
野島氏から松尾氏に「1月29日は安倍氏に呼びつけられたのではなく,こちらから説明に行ったというゆうに話して欲しい」「よく覚えていないという回答ではどうだろうか」~朝日新聞によると,【NHKの番組が01年、放送直前に改変された問題で、取材対象の市民団体とNHKなどが争っている訴訟の口頭弁論が22日、東京高裁で開かれ、当時のチーフプロデューサー・永田浩三氏が証人として出廷した。朝日新聞の記事などで番組への政治家の関与が指摘された後の昨年1月、NHK幹部らが対応を話し合った際、放送前に安倍晋三衆院議員に会った経緯について「呼びつけられたのでなく、こちらから出向いたことにしよう」とのやりとりがあったと証言した。話し合いに参加した上司から聞いた内容として明らかにした。】

 NHKは、これまで,番組放送前に安倍氏に番組内容を説明したことについて,「呼び出されたのではなく、事業計画の事前説明のために出向いた」と説明していたが,その説明の信憑性に重大な疑義を投げかける証言であった。

 【永田氏の証言によると、「出向いた」とすることは、松尾武・元放送総局長と、国会対策担当だった野島直樹・元総合企画室担当局長との間で決まり、永田氏は、その場にいた上司から直接聞いたという。「NHKの公式見解と違い、衝撃的な内容だった。本当なのかなあと思った。(NHKは)真実は何か、世間に説明するべきだ」と述べた。】(朝日)。

 この点,永田氏が証言の際,内容が正しいことを確認したNHK有志作成の時系列表には吉岡部長(当時)の発言として次のように書かれている。

■■引用開始■■
 1月14日,松尾元総局長に呼ばれ,4階に集合した。1月12日の朝日新聞の記事への対処を話し合う場だった。野島元担当局長(現理事)伊東元番組制作局長(現顧問)白髪頭の人がいた。宮下理事も10分くらい顔を出した。松尾氏が記者会見を行う相談だったが,「やる」という決断はくだらなかった。野島氏から松尾氏に「1月29日は安倍氏に呼びつけられたのではなく,こちらから説明に行ったというゆうに話して欲しい」と要望があった。松尾氏は苦りきった顔で「よく覚えていないという回答ではどうだろうか」といい,そこに落ち着いたようであった。
■■引用終了■■

 また,【永田氏は、番組改変の過程で、伊東律子・番組制作局長(当時)の部屋に呼ばれたと言及。伊東氏は、歴史教科書問題に取り組む議員グループの著書に載った名簿を示し、中川昭一衆院議員の名前を指さしながら「言ってきているのは、この人たちよ」と話した】(朝日)という。

 この点,上記時系列表の永田氏の発言の欄には次の通り記載されている。

■■引用開始■■
この頃(番組が放送された30日の4日前の26日ころ),伊東番組制作局長は,局長室にある本「歴史教科書への疑問(日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会編)」のページを開き,中川昭一,安倍晋三の名前を指して,「この人たちだ」と言った。「こんな本が出てるの読んだ?どう読んでみない?」勧める。吉岡部長から伊東局長にこの本を勧められたことをすでに聞いていたので,自分にも同じことをするのだなと考えた。
■■引用終了■■

番組が43分,41分へと削られていったのは,この26日の後,29日,30日のことであった。

30日の放送直前に3分間カットされたシーンについて,上記時系列表の吉岡部長の欄に,
【松尾総局長の部屋に行くと,松尾,伊東,野島がいた。伊東:「自民党は甘くなかったわよ。吉岡ちゃん」 中略 松尾「○○ページを開けろ。ここからここまでなし」次々台本上で削除箇所を示した。それまでファジー男の松尾総局長がはじめて見せた屹然とした態度だった。誰かに台本を見せて決定した。その決定の通り伝えているに違いないと感じた】
と書かれている。

この証言をどのように受け止めますか?



NHKの内部調査でも,「野島国会対策局長が現場CPに指示」~尋問でのNHKの反対尋問に重大な矛盾

2005-12-26 06:59:43 | NHK番組改編事件
先日の長井氏尋問で,長井氏が野島国会対策局長が直接現場の永田チーフプロデューサーに指示したのはおかしいと証言したところ,NHK側は,「永田チーフプロデューサーの上司の吉岡部長はそうは言っていない」と反対尋問した。しかし,NHKは,内部調査で,野島局長が現場CPに直接指示をしたことを認めていることが分かった。

この調査結果は,「ETV2001~シリーズ戦争をどう裁くか~第2回 問われる戦時性暴力」の編集過程を含めた事実関係の詳細について,と題するウェブページに掲載された「編集過程を含む事実関係の詳細(PDF 46KB)」というPDFに書かれている。

ミという項(14頁)に「これらの変更箇所を,番組制作局長室前のソファで待機していた永田に対して,野島が伝えた」と明確に記してある。

この内部調査に対しては,原告のバウネットが抗議をしており,掲載後も内容については十分に検討しているはずだが…。

日放労がNHK番組改変の異常性を明らかにした報告書を作成~長井デスク証人尋問「政治家の介入はあった」

2005-12-22 03:33:03 | NHK番組改編事件
海老沢元NHK会長が巨人戦放送料高額契約で恩を売ったなどとも報道された読売新聞に「就職」したこの日(しかし,分かりやすすぎる…),東京高裁でNHK番組改変事件の裁判が開かれ,長井デスクが証言台に立った。この尋問で,国会担当の野島局長が直接,チーフプロデューサーの永田氏に指示をした場面が複数回あることなどが明らかとなり,番組改変の経緯の異常さが浮き彫りとなった。さらに,この日,日放労(NHKの労組)が作成した改編の経緯に関する報告書が調べられた。

その報告書には,①番組放送3日前の1月27日,永田CPが国会議員向けの説明資料づくりを作成した,②そのころ,伊東番組制作局長が,若手議員の会がつくった「歴史教科書への疑問」という本を開いて見せ,「言ってきているのは,この人たちよ」と言って中川昭一議員の名前を指した,③現場の最終責任者である吉岡部長は,放送前日の1月29日,野島国会担当局長の改編指示に頭に来て,「もうやってられない,放送中止にしてほしい」と言い出したため,永田CPに野島局長が伝えるしかなかった,④その時の吉岡部長の台本には「フルヤ」「アベ」「アライ」の名前が吉岡部長の筆跡で記してある…など政治家の関与をうかがわせる興味深い事実が盛りだくさん書かれている。

日放労は,ぜひ,報告書をHPで公開し,この事実を国民に広く開示してほしい。

NHK番組改変問題で市民団体が朝日新聞に出した質問書全文:「政治介入の真相を明らかにせよ」

2005-11-02 01:40:48 | NHK番組改編事件
【NHKの番組改変をめぐる朝日新聞の報道について、弁護士やNHKのOBを含むジャーナリスト、市民らでつくる計十四団体が三十一日、朝日新聞社に対し、十月一日付朝刊で同紙が掲載した「取材の詰めの甘さを反省する」という総括について質問書を提出した。】(東京新聞

 この問題では、すでにアップしたとおり、月刊現代9月号によって、安倍中川が政治的圧力を掛けたこと自体は明らかとなっている。しかし、朝日新聞がそのような詳細な記事をまだ掲載していないため、何だか、朝日新聞が間違っているかのように受け止めている人も多い。

 そこで、【質問書では、「NHKと政治の危うい関係を社会に向かって警告した」と同紙の報道を評価する一方、「『深い反省』を繰り返す総括で終わらせては、政治介入の真相がうやむやにされたまま、番組改変問題の調査・報道が幕引きされかねない」と批判。「報道を訂正する必要はないなら、政治介入の真相を明らかにすべきでないか」などとただしている。】(同上)わけだ。

 ビデオジャーナリストで、「アジアプレス」の代表である野中章弘さんは【「問題の本質は『メディアへの政治介入』だというところに議論を戻さなければならない」と指摘、「メディアが連携して政治に反撃すべきだ」と訴えた】という。

 ちなみに、【そもそも、報道機関は、調査報道をするにあたって、捜査機関のような強制力のある調査権限は有していない。したがって、報道内容について、細部まで正確を期することは困難である。最高裁 (昭和58年10月20日判決・判例時報1112号44頁) が 「重要な部分につき真実性の証明」 があれば足りるとし、真実性が必ずしも細部にまでわたって要求されないとしたのは、まさに、この点を考慮したからである。】LLFP声明


 質問書の全文は次のとおり

2005年10月31日
朝日新聞社社長 
秋山耿太郎 様
ETV番組改変問題の報道総括に関する質問書

アジア・プレス・ネットワ-ク
NHK受信料支払い停止運動の会
NHK番組改ざんを考える市民の会(福岡)  
NHK問題京都連絡会
学校に自由の風を!ネットワ-ク
小弥『君が代』処分を考える会(東京)
人権と報道・連絡会 
日本消費者連盟
ピ-スリボン裁判を支える会
「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟をすすめる会事務局
放送を語る会
報道・表現の危機を考える弁護士の会
武蔵野・学習指導要領を考える会
メディアの危機を考える市民ネットワ-ク事務局


 2001年1月30日に放送されたNHKのETV番組改変問題に関する貴社の報道のあり方を検証するために、貴社が委嘱した第三者機関「『NHK報道』委員会」(以下、「第三者委員会」と略す)の審議の結果が、『朝日新聞』10月1日朝刊に掲載されました。これを受けて、秋山社長名の談話(以下、「社長談話」と略す)と「朝日新聞社の考え方」(以下、「考え方」と略す)が同日の紙面に掲載されました。 
 また、これらの記事掲載を受けて、安倍晋三氏は9月30日夜、「取材不足なら謝罪すべきだ」、「我々が捏造だと指摘してきたことに〔朝日新聞は〕全く反論できていない」などとするコメントを発表しました。また、中川昭一氏も10月7日の閣議後の記者会見で「迷惑をかけたなら謝罪なり説明をするのは常識だ。これで終わらせる、ふたをすることは、絶対許さない」と述べています。
 長井暁さんが告発したNHKの番組制作への政治介入は、報道・表現の自由の根幹に関わる問題ですから、この問題に鋭く切り込んだ貴社の本年1月の記事は、NHKと政治の危うい関係を社会に向かって警告する貴重な取材の成果であったと私たちは評価しています。
 それだけに、9月30日の報道総括の記事や同日の社長発言を見るにつけ、私たちは、本来、議論されるべきNHKと政治の距離が、朝日新聞の取材のあり方にそらされ、市民が知りたい政治介入の真相がうやむやにされたまま、ETV番組改変問題の調査・報道が幕引きされかねない状況に強い失望と危惧を抱いています。
そこで、この問題の真相解明を訴え続けてきた私たちは、連名で貴社宛に質問書を提出することにしました。以下の質問事項を熟読いただき、本年11月18日(金)までに文書で項目ごとに回答くださるよう、お願いいたします。


質問1 最初の報道を訂正する必要はないと言いつつ、「深い反省」を繰り返す貴社の総括について

 「社長談話」と「考え方」は、①中川氏がNHK幹部と会ったのは放送日前日だったかどうか、②安倍氏がNHK幹部を「呼び出した」のかどうかについて、取材に詰めの甘さがあったという「反省」を前面に押し出しています。しかし、第三者委員会は後者について、裏付けを取る取材の不十分さがあったと指摘しているものの、前者については、「松尾氏、中川氏の双方とも取材記者に対し、終始、放送前日に面会したとの認識をもって応対していたことがうかがえる」ことから、そうした「取材結果をもとに、記者が『前日に面会』と信じたことには相当の理由があると考える」と指摘しています。また、同委員会は、「政治家の言動が番組の内容に少なからぬ影響を与えたと〔貴社の取材スタッフが〕判断したことは、読者の理解を得られよう」と評価しています。これを受けて貴社自身も「考え方」の中で、「最初の記事で指摘した点は今も変わらないと考えています」と述べています。であれば、貴社が、取材の限界をことさらに強調して、「反省」を繰り返すのは不可解です。
そこで、具体的にお伺いします。貴社は安倍、中川両氏から出ている謝罪要求を受け容れるつもりですか、それとも拒否するつもりですか、明確にお答え下さい。

質問2 中川氏がNHK幹部に会ったのは放送日の前か後かについて

 貴社は、「考え方」のなかで、質問1で示した①②については、長期の追加取材によっても新たな裏付けが得られなかったと記しています。しかし、貴社がさる7月25日に掲載された検証記事では、次のようなやりとりが記されています。

中川氏には1月10日午後、電話で取材をした。
――放送内容がどうして事前に分かったのか
 「同じような問題意識をもっている仲間が知らせてくれた」
――それで放送直前の01年1月29日に野島、松尾両氏に会ったのか
 「会った、会った。議員会館で」
――何と言ったのか
 「番組が偏向していると言った。それでも2人は『放送する』と言うから、おかしいんじゃないかと言った。(民衆法廷は)『天皇死刑』って言っている」
――「天皇有罪」だと言っていたが
 「何をやろうと勝手だが、偏向した内容を公共放送のNHKが流すのは放送法上の公正の面から言ってもおかしい。教育テレビでやりますからとか、わけのわからぬことを言う。あそこを直します、ここを直しますからやりたいと。それで、『だめだ』と」
――NHKはどこをどう直すと言ったのか
 「細かいことは覚えてはいない」
――放送中止を求めたのか
 「まあそりゃそうだ」

 こうしたやりとりからすれば、中川氏が松尾氏らと会ったのは、放送日前であり、その場で中川氏は番組の具体的な内容を理由に挙げて放送の中止を求める発言をしていたことは紛れもない事実です。とすれば、新たな追加取材を待つまでもなく、貴社に存在する証言記録に照らして、中川氏による政治介入の事実は十分裏付けされていると考えられますが、いかがですか? それでも中川氏が番組への関与を否定するというなら、それを立証する責任は貴社にではなく、中川氏自身にあると私たちは判断しますが、貴社はどのようにお考えですか?
なお、上記のような7月25日に掲載された記事のほかに、中川氏の関与を裏付ける資料が貴社に存在するなら、それについても詳細に記事にすることこそが政治介入の真相を明らかにすることになると考えますが、いかがですか?
 
質問3 安倍氏がNHK幹部を呼び出したのかどうかについて

ETV番組改変問題の報道に関する貴社の総括を読んで私たちが感じるもう一つの疑問は、貴社が、放送日前日に、安倍氏がNHK幹部を「呼び出した」のか、それとも、NHKが「自主的に説明に出向いた」のかという点に過度にこだわり、その点での「取材のつめの甘さ」を誇張して卑屈な反省をしている点です。
そもそも、放送日の4,5日前にNHKの総合企画室の担当者が「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の議員に面会した際、「予算説明の時には、必ず聞かれるから」と、ETV問題の事前説明の準備をするよう促されたことから、NHKは予算説明と関係のない放送総局長を同行して安倍氏のもとへ出かけたわけです。
そういう背景を考えれば、NHKが(阿吽の呼吸で)「自主的に出かけた」のか、「呼び出された」のかにこだわるのは、問題の核心をそらす議論です。
ここで問題とすべきは、安倍氏が松尾、野島両氏に対して、慰安婦問題の難しさや歴史認識問題と外交の関係などについて持論を語ったうえで、放送前の番組について「公正公平にしてほしい」と述べたことです。私たちは、このように「政治家の言動が番組の内容に少なからぬ影響を与えた」ことは、放送に対する外部からの干渉を禁じた放送法第3条に抵触する行為だと判断していますが、貴社はどうお考えですか?

質問4 細部にわたる取材の裏付けにこだわる報道総括がもたらす影響について

 今回の安倍、中川、松尾の各氏に対する取材のように、直接取材した相手が後日、発言を翻したり、「誤報」と言い立てたりするのは珍しいことではありません。これについて貴社は、「前日面会」、「呼び出し」の報道に関して、「裏づけをとる努力が足りず」、「結果として不確実な情報が含まれてしまった」と総括しています。
 しかし、密室で起こった係争事件では、一方の当事者の証言が詳細で具体的である場合は、たとえ、もう一方の当事者がそれを否定しても、証言の信憑性が認められ、証拠として採用された判例は数多くあります。
 にもかかわらず、取材相手が報道内容を否定したというだけで、取材報道をした側が常に追加的な立証責任を負い、当初の報道を裏付けるより詳細な証拠を示すことができない限り、反省と謝罪を強要されるのでは、調査報道は権力対峙性を失い、政治家などが公にした見解を口移しに伝えるだけの「発表ジャ-ナリズム」に堕落しかねません。
 この意味で、細部にわたる取材の裏付けにこだわった貴社の報道総括は、メディア全体の報道姿勢に萎縮効果をもたらすことが危惧されますが、貴社はどうお考えですか?

質問5 無断の録音記録を禁止する社内原則の是非について

質問4と関連して、取材相手に無断で録音がされたのかどうか、そうした取材方法は是認されるのかどうかについて、議論が交わされてきました。これについて、第三者委員会は、「一般に無断録音は、取材対象者との信頼を損ないかねず、認められるものではない」としながらも、「政治家をはじめとする公人やそれに準じる人物の取材においては、対象テ-マの重要性に即して、取材の正確さを確保するため、例外的に録音が必要とされる場合があり得よう」と記しています。
 ところが、貴社は、「考え方」の中で、例外的に無断録音が許されるために必要な条件は何かを論議していくとしながらも、「『原則として無断録音はしない』という姿勢を今後も堅持していく」と述べています。
 この問題について、私たちは、貴社が、細部にわたる取材の裏付けにこだわる一方で、無断録音はしないという社内原則で自らを縛っていることが、NHKや政治家の反論をもっともらしく思わせる原因になっているようにも思えます。また、こうした社内原則は公人取材等の微妙な場面で、記者の取材活動に重大な足かせをはめることになっています。
 こうした状況を踏まえて、私たちは貴社に対し、「無断録音はしない」という社内原則を撤廃するよう要望します。これについての見解をお聞かせ下さい。

以 上


 

月刊現代9月号電子化計画~安倍、中川発言の再現

2005-10-21 00:27:59 | NHK番組改編事件
『月刊現代』9月号。そこに、魚住昭「NHK VS 朝日新聞『番組改編』論争 『政治介入』の決定的証拠」と題したレポートがのってから、ほぼ1ヶ月。従軍慰安婦問題の国際法廷。その番組に、「政治介入」がおこなわれていたこと、そしてNHK・安倍・中川などの間で、口裏あわせが成立して、ウソの発表をメディアに垂れ流していたことは、あまりにも明らかになってしまいました。『月刊現代』10月号には、立花隆のこの問題に対する寄稿もあってとても面白い。ところが、これまでネットを見てみても、この流出した録音テープの証言をのせているサイトは、著作権が絡んでいるので、ほとんど見たことがありません。そこで、『月刊現代』10月号も書店に並んだので、松尾武証言などを電子メディア媒体でも読めるようにしようと、おもいたちました。…という書き出しで始まるブログがあります。まだ、月刊現代9月号をご覧になっていない方はぜひ、ご覧下さい。一覧の頁に連動しますので、その中から、「NHK VS朝日新聞」番組改編問題(1)~(4)と完結編までクリックしてご覧下さい。安倍中川が嘘つきだってことがよく分かる。真実は重いですね…。

現代の西山記者事件…

2005-10-19 06:27:04 | NHK番組改編事件
沖縄基地返還に関連して、アメリカが支払うべき軍用地復元補償400万ドルを日本政府が肩代わりする密約があったことを掴み、国会議員にその情報を委ねた毎日新聞西山記者事件のシンポジウムが昨日開催され、途中まででしたが、覗いてきました。

この事件が、スクープとして報じられるべきものだったが政府は密約の存在を否定するだろうから仕方なく国会での追及を依頼したこと、当時政府を追及しきれなかったことがいまの沖縄のあり方に大きな影響を与えていることなどが西山さんや現役の沖縄地元紙記者などから説明された。

聞いているうちに、いま現在進行形である朝日新聞のNHK「番組改変」報道は、まさに、現代の西山記者事件だと実感しました。嘘を突き通す権力、これに対抗しきれなかった新聞社、そしてほかのメディアも書いた新聞社を責める、市民も権力の論点ずらしに乗ってしまう…。

西山事件は、ある意味、歴史になっています。だからこそ、他のメディアも冷静に西山記者の再評価を行いやすい。ひるがえって、NHK「番組改変」報道は、企業としての利害得失がからむだけに、冷静に朝日新聞の特ダネを評価し、それを支えることがしづらいように思う。

しかし、西山事件が現在の沖縄のあり方に大きな影響を与えているのと同様、今回の事件も朝日新聞が屈服すると、将来の日本の政治とメディアのあり方に大きな影響を与えることになりかねない。

西山事件のことを真剣に考えている方に、ぜひ、現代の西山記者事件についても、考えて頂きたい。その際、月刊現代9月号に掲載されている朝日新聞記者の取材のやりとりを一読されたい。安倍中川が今になっていかに嘘を言っているかがよく分かります。朝日新聞の弱腰の上層部に皆さんの声を伝えて下さい。第2の西山事件としないために…。


NHK特番問題:弁護士ら申し入れ「朝日は正当性主張を」

2005-10-12 07:12:17 | NHK番組改編事件
NHK特集番組が政治家の圧力で改変されたと朝日新聞が報道した問題で、朝日が「記事に不確実な情報が含まれ、反省したい」との見解をまとめたことに対し、「報道・表現の危機を考える弁護士の会」(梓澤和幸・代表世話人)は11日「記事には真実相当性があり、朝日は正当性を堂々と主張すべきだ」とする秋山耿太郎(こうたろう)社長あての申し入れ書を提出した。同会は「記事の核心部分は真実だった。記者が真実と信じた相当の理由以上の裏付けが調査報道に必要だとなると、記者の意欲をそぎ、ジャーナリズムの権力監視機能を減退させることにつながる」などと指摘している。(毎日