「ドラえもん」 2020-08-30 00:00:00 | 日記 2020年8月30日、運命は人を変えるが、人は運命を変えられない。「ドラえもん」の声を四半世紀に亘って務めた大山のぶ代さん(当時81)に、認知症という悲劇が降りかかったのは2年前。過去に演じたキャラクターさえわからない彼女の今を、夫で俳優の砂川(さがわ)啓介さん(当時78)が2015年5月に告白した。砂川氏は、「夜の11時頃、僕はいつも寝室で軽く一杯飲むんです。米焼酎『しろ』のロックがお気に入りなんだけど、そんなときにガチャと扉が開き、ペコが『おはようございます』と入ってくる。『夜だから、おやすみなさいでしょ』と、なだめながらベッドに戻すんですよ」と述べている。「彼女が脳梗塞に倒れたのは、2008年4月24日のこと。この日の朝、『声が出ないの』と言うのです。当時、学校長を務めていた専門学校へ何とか出かけて行きましたが、その後に本人から『今、慶応病院にいる』と電話。急いで向かうと、担当医から『今晩、血栓が飛ぶことは避けられない。長嶋茂雄監督のように、身体をうまく動かせなくなる可能性があります』と告げられた。案の定、血栓が飛んでしまいましてね。結果、前頭葉をやられたようで、身体ではなく記憶の方に障害が残ってしまった。緊急入院から1カ月、リハビリを始めました。知能回復のためのメニューをこなすわけですが、例えば1+1が答えられない。あるいは、アルファベットの書かれたカードを机の上に並べて『Aだけ集めなさい』と指示されても、それができない。彼女も自分自身にいら立ったんでしょう。『もう、なんでこんなことをしなければいけないの!』と、積極的にメニューをこなすことはなかったんです。本人が嫌がっていることもあって、僕もリハビリに付き添いませんでした。都合4カ月に及んだ入院生活を経て、戻ってきたペコを見たとき、改めて別人になったと実感しました。一番の驚きが煙草のこと。もともと彼女はヘビースモーカーだったんです。ラークの軽いやつを日に最低2箱は吸っていた。ところが、居間や寝室などあちこちに置いてある灰皿を不思議そうに眺めている。で、『これなあに?』と聞いてくる。つまり、煙草を吸っていたことを忘れてしまったんですね。そうは言っても、認知症ではなく脳梗塞の後遺症だと僕は思っていた。月に一度、慶応病院に通っていましたが、先生の問診には『大丈夫です、元気いっぱいです』と、はきはき答える。今となっては、女優としての本能がそうさせたのかという気がしますが、当時は全く見抜けなかった。月日が経って2年前のことです。医師の勧めもあって、脳の精密検査を受けたところ、アルツハイマー型の認知症と診断されました。先ほど触れたように、記憶障害は脳梗塞の後遺症だから治るものだと考えていたので、愕然としましたね。彼女が認知症だという現実を受け入れられなかったし、そのことは公表しないでおこうと決めました。だって、みんながペコに抱いている、あの元気で明るいイメージを崩したくなかったものですから」さらに、「仕事についてですが、『台本を持つと打って変わってしっかりする』とマネージャーは言います。仮名はもちろん、簡単な漢字も読めるみたいだし。でも、映像を見てそれに声を当てるというのは、もう無理なんじゃないかな。その一方で先月、感心したことがありました。僕の新しいCDを録音するにあたって、ペコの声も入れようということになったんですよ。自宅1階のカラオケルームで彼女にメモを渡すと、それをドラえもんの声で読み上げた。声の出し方だけは、しっかりと頭に刻まれているんでしょう」と砂川氏は述べている。2020年現在は・・・(井森隆)