ゲーム大会と並んで楽しかったのが、一通りゲームも遊び終えて、ちょっとテンションが落ち着いた時間帯に、テーブルを囲んでした会話です。
他愛もないといえば他愛もない、ささやかと言えばささやかな、それでいて何物にも代え難い時間。同じ時間、同じ場所に、気心の知れた連中が集まるということが、実は何よりも貴重なんだと思える瞬間。
なんて楽しいんだろう。なんて素敵なんだろう。
ゲーム大会において、僕は基本的に“いじられ役”です。テレビゲームにおいては一切妥協をせず、手抜きをしないことをモットーとしているので、基本的には大人げない態度なのですよ、ゲーム中は。そこを踏まえた上で、参加者一同は僕に突っ込んでくるわけです。「そこでパット外すと面白いのになぁ」とか「そうやって面白みなくゲームやってるから、彼女に振られるんですよ」とか。
ひどい言われようですね、改めて振り返ると。(でもね、それでいいんです。だって、ゲーム大会って場は、というよりも友人・知人と出会う場は、すべからく僕にとって“舞台”なのだから。
僕はそうした場に立ち会った時、どういう役割を演じるべきなのか、ということを考えるのが大好きです。半ば無意識にそう考えている、といってもいいでしょう。
主人公だらけの芝居が成立しないように、会話という場面は「話し手」だけでは成立しません。良い聞き手の存在は欠かせませんよね。
聞き手といっても、ただひたすらにうなずく人もいるでしょうし、隙あらば混ぜっ返す人もいるでしょうし、話題を縦に広げる人、横に広げる人、あらぬ方向に投げる人、スタイルは色々あるはずです。もしも聞き手が同じリアクションしかしない人だらけだったら、会話の中身は実に乏しいものとなってしまうでしょう。
演じる、などと書いてしまうと「さてはこいつ、楽しんでる振りをしてるだけだろ」と早合点されてしまうかもしれませんね。それは違います。「演じる」と「振りをする」とは、まったく異なるものだと思っています。
芸能界随一の“褒め男”稲川淳二さんは、こんなことを言っていました。「褒める時には、嘘を言ってはいけない。相手のいいところを1見つけたら、100倍にして褒めればいい」
元の数が0であれば、何をかけても0にしかなりません。それを10にも100にも見せようとすると、「そういう振りをする」しかないわけです。
でも、演じるってそういうことじゃない。僕が“演技者”として携わるイベントを、最高に楽しいものとして成立させたい。そのために、自分の中にある「成功を誘引する要素」を拡大して提示すること。それが「演じる」だと思う。
何を話しかけられても「はぁ」とか「へぇ」といった生返事しかしない。だから話題がちっとも広がらないし、半端なところで切れてしまう。そんな人を見て「この人は会話を楽しんでいるんだな」と、誰も思わないでしょう。たとえ本人が「いえ、楽しいですよ」と強弁したところで、話し手に、そして同じ立場にいる他の聞き手に伝わっていなければ、その会話は「つまらないもの」として終わってしまうでしょう。
つまらないものを無理矢理楽しいものにする必要はないけれども、もしあなたがその会話を「楽しい」と思ったのであれば、その気持ちを拡大して提示するべきじゃないだろうか。
顕微鏡が、微生物たちの動きを明確に見せてくれるように、あなたの中で揺れ動いた微細な感情もまた、ある程度の誇張(という言葉もちょっと違う気がするけれども)をもって相手に示すことが礼儀なんじゃないだろうか。
もし「演じる」ことなく、誰もが「気分のまま」に会話をしたら、そもそも会話なんて成り立たなくなるでしょう。話したいことだけ話して、それでおしまい。直前まで美味しいお店の話をしていたと思ったら、次にはまったく関係のないサッカーの話。
相手から投げられたボールを、まずはきちんと返すこと。同じ返すにしても、下手で投げるか、上手で投げるのかを考えてみたらどうらだろう。
相手は硬式ボールで投げてきたけれど、軟式に変えたほうが取りやすいかもしれない。ボーリングの球で返したら、相手がびっくりして面白くなるかもな。
待てよ。そもそも、グローブの構える位置はここで良かったかな。次は、もうちょっと低く構えたほうが相手も投げやすいかな。
あれ? あっちにいる人、さっきから全然ボールを投げてもらっていないみたいだな。だったら、このボール、あの人に投げてみようかな。わざとショートバウンドで投げてみたら、面白い展開になるかもしれない。
簡単に取れそうなボールだけど、たまには背面キャッチで取ってみたら盛り上がるかな。
そんなことを考えながら色々とやってみることも「演じる」ってことに繋がるように思えるのです。
やりすぎたら嫌みになるかもしれないけれど、塩を一振りしたほうが生で食べるより味が引き立つってことも、よくある話です。
その辺りの塩梅を見極めるのって、頭を使うし、とっても楽しい。絶対的な正解がないから、なおさらです。
まぁ、ここまで書いておいて「実は、本当に仲間から嫌われていました」っていうオチになっちゃうと寂しいわけですが。
…大丈夫だよね? マイ・フレンズ。
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