asahi.com:静岡の運送会社の配車責任者逮捕 過労運転命じた容疑 ― 社会
いわゆる通信販売において、
「送料無料」といううたい文句は確かに魅力的です。
しかし、当然のことながら、無料で配達してくれる業者などいません。
本来なら買い手が払うべき送料を、
誰かが代わりに負担しているだけ、ということです。
道路交通法違反(過労運転下命)
という罪名が示すように、この事故を引き起こした責任は、
当事者のドライバーだけでなく雇用側にもあるということです。
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社長ら幹部に関しては、
同法違反(過労運転容認)の疑いで捜査を進めたが、
橋本容疑者が運転を指示した日は出勤しておらず、
立件は見送られる見通しだ。
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実際のところ、配車係が独断で決めたはずはなく、
上層部からのプレッシャーがあったことは想像に難くありません。
ただ、こうして事故を起こした業者を後追いで送検しても、
根本的な原因究明には程遠いと言えます。
「送料無料」のからくりに、
買い手である僕ら自身が気付かない限り、
同様の事件は今後も起こり続けていくのではないでしょうか。
便利になることはありがたいことです。
業者間の競争も、消費者の利益になるのなら歓迎されるでしょう。
しかし、「安さ」や「便利さ」の裏側に、何が潜んでいるのか。
何を得て、代わりに何が犠牲になっているのか。
そこに思いを寄せない限り、
かけがえのない命がまた奪われていくことになるでしょう。
不景気な社会情勢にあっては、誰しも出費を抑えたくなります。
しかし、「本当に必要なお金」まで渋ってしまっては、
結局「より大きなもの」を失うことにもなりかねません。
まずは、自分の人生のために。
そして、その人生を支えてくれる周囲の人生のために。