とし’s ブログ

▼社会人になってから、趣味で音楽活動を始めました。

発表会の思い出

2005年10月15日 | (未分類)
 発表会が来るといつも思い出すことがあります。

 今から2年前の10月。母が慢性骨髄性白血病で、病状はすでに末期。車椅子ながら一見、普通の入院患者のように生活していましたが、何かのきっかけで血液のバランスが崩れれば、一気に死に至るのがこの病気です。そして、それは時間の問題でした。
 母は私がギターを習い始めたことを知っていて、一度ステージを見に行きたいと行っていました。
 病状が悪いなりに安定していたこともあって、この時期、医者からは週末の外泊を許可されていました。しかし、次の発表会まで生きている可能性はほぼゼロ・・・とすれば、ステージを見せるチャンスは今回しかない。
 しかし、免疫力が極度に落ちていて、普通に空気中にある菌ですら肺炎を起こす恐れのある母が、タバコの煙など、空気の悪いライブハウスに行くのはあまりにも無謀。出演順が前後したときに、私の出番を長時間待つことも、体力的に難しい・・・

 森本さんに事情を話して、相談することにしました。すると、「待ち時間がないように、出演順をトップにしますので、お母さんには、そこから何組か見ていただければ結構です。また、来られている間は、場内禁煙にさせます。どうぞ見に来てもらってください。」と快く承諾いただきました。難しい条件で、そこまで対応していただけるとは思っていなかったので、正直、非常に驚きました。

 かくして、当日、ライブハウスにもかかわらず、場内は禁煙。嫁に車椅子を押されて現れた母は、トップの私から5組ほどを見て、満足して病院に帰っていきました。

 その2ヵ月後、母はこの世を去りました。あの発表会が、文字通り最後のライブ見物になったわけです。まだ60歳代でしたので、早いかなとは思いますが、最後にできるだけのことをしてやれたので、満足しています。

 それができたのも、調整していただいた森本さんや、禁煙にご協力いただいた、スクールの生徒さんたち(ヘビースモーカーも多く、禁煙の事情については一切説明されなかったのに)のおかげです。今でも発表会が来ると、思い出します。
 ほんとうにありがとうございました。

 森本ギタースクールの人気は、もちろん、先生の技術がすごいというのはありますが、個々人の生徒に正面から向き合う森本さんの人柄によるところも大きいと思います。

 今回の発表会も、盛況であることを願っています。