【申告】
3月18日の夕方、手を握ったらなんか大きな音が…
機械音なのか、モーター音。ラジオの周波数が合っていないときの様な…(ジージー)
目は閉じていましたが次に手を握ったら開いてくれました。
ですが分解でもするのかと思うほどの大ボリューム音です。
【診察】
山陽地方からすてきな手作りニットのお洋服を着ての来院です。このネルルは、ちょうど1年前に元気に退院していきました。
今回は、前回の症状とは違うようです。
ご連絡を頂いた時には、リセットスイッチを押していただき状態を診てもらいました。
その時は回復されたとのことでしたが、翌日再び症状が起きたとのことで来院することになりました。
問診を通じて
・他の症状はなく、元気に過ごしていた。
・手を握ったときに症状が現れた。
・リセットスイッチを押すと、一時的には回復するが再発する。
との様子です。
来院して数日様子を観察しました。
ジージー音がすることは有りませんでしたが、手を握ったり抱き上げるとリセットスイッチを押したときと同じ初期状態になる症状が複数回確認できました。
そっとしている限りは、発症はなくおしゃべりをしています。
どうもリセット信号に不具合が生じていると見当をつけ、内診を始めました。
内部を開けていくと配線のはんだ付け部で断線が起きてきます。2016年頃生産以前のモデルは、メンテナンスなどは無縁の製造法で作られていますので、おもちゃドクターの多くが配線を繋げているのか切っているのかわからない状況で治療された経験をお持ちかと思います。
使用されている配線の外皮素材が固く、長さもギリギリ状態で接続されています。そのため、配線に触れるとはんだ付け部に負荷がかかり切れやすいのです。
リセット信号の配線はあからさまには切れてはいませんでしたが、症状から推測すると接続が不安定になっていると思われました。
そこで原発巣が配線の接続不良によるものか、他の原因によるものかを見極めるために、制御基板から直接はんだ付けで接続されている配線をすべてやわらかいシリコーン外皮の配線に交換して、長さも治療時に困らないように余裕を持たせました。両手、姿勢センサーの配線は前回交換済みです。さらに、スイッチ基板からの配線引き回し経路を変更して、はんだ付け部に負荷がかかりにくくしました。
配線を交換して観察をしましたが、症状が再発することは有りませんでした。これにより今回の原因は、リセット信号の接続不良によりマイコンに異常なリセット信号が入り、マイコンが正常動作ができなくなりジージー音や、初期化動作をしたものと考えます。
治療が終了し全体的な動作確認をしましたが、すべて正常に動作をしていました。
寝かしつけセンサーも変形などありませんでしたが、予防保全としてカバーを取り付けました。
【治療後記】
1年振りのネルルとの再会でしたが、持病とも言える配線にかかわる発症でした。基板から直接はんだ付けされている配線をすべて交換しましたので、これからも元気にご家族と楽しい時間を過ごせることを願っています。