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支流からの眺め

国民の思い違いー日本優秀説

 デフレの前の繁栄の記憶を辿ろう。焼土に平和が戻った1945年、1ドルは360円で、旺盛な輸出で高度成長が続いた。米国は対日収支が大赤字となり、1970年代は約250円、プラザ合意(1985年)後は100円前後(最高75円)まで円高を誘導してきた。その円高をも日本は克服し、ドル建てのGDPで米国に迫るまでとなった。高品質の日本製品や高価格の日本旅行は憧れの的だった。

 この日の出の勢いを日本の優秀さの成果だと持ち上げる書籍が多く出た。この日本優秀説を今も信じているとしたら、それは思い違いだ。日本が急速に復興できたのは、過度な円安、朝鮮戦争やベトナム戦争の特需、途上国からの安い資源調達、米国の市場開放・技術供与・学術支援・軍事的安全保障などのお陰であった。多分に勝者たる米国の贖罪・寛容・庇護の恩恵だったのだ。

 それが証拠に、日本が行う金融政策は失敗続きだ。円高不況に公定歩合を下げ過ぎてバブルを招いた。次に強過ぎる総量規制と公定歩合の引き上げでデフレを招いた。その後も「国の借金」を唱えて公共投資を抑え、消費税(1989年の導入時3%から2019年の10%へ)で消費を圧迫した。いかにも「頭が悪い」(嘆息!)。考えてみれば、戦争に負けた国(無謀な戦争を始めた国)の指導者が優秀なわけがない。

 幸い今の日本の信用はほどほど高い。しかし、資産、安全保障、行動様式、生産性、将来性などの状況はどうか。資源と食糧はほぼ完全に輸入依存だ。国土は地震大国・火山大国で、中露北鮮に接する米国防衛の最前線にある。働きバチと揶揄された貪欲さは今やいずこ。人口も高齢化かつ減少中だ。信用を下げる事情は多々ある。この状況に危機感がないとしたら、それも信用を下げる。

 どうすべきか。信用を上げるには国も人も変わらない。己をよく知り、悪友を避け、誠意をもって精励することだ。具体的には、生産拠点の国内回帰(国内は安全で賃金も安くなった)、成長分野(IT関連、健康増進、国土強靭化、資源開発等)での技術開発を通して、中間層を回復させることだろう。もっとも、「頭の良い」政策が前提だし、これら全てが順調でも心配がなくなるわけではない。

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