温家宝首相の親族が27億ドル蓄財…米紙報道
【ニューヨーク=柳沢亨之】26日付米紙ニューヨーク・タイムズは北京電で、中国の温家宝(ウェンジアバオ)首相(70)の母親や妻、弟、長男ら親族が計約27億ドル(約2150億円)相当を蓄財したと伝えた。 親族は国有会社の支援などを受けて投資を拡大してきたという。
株式保有に関する公開資料などに基づき、同紙が調査報道した。それによると、温首相の親族は、友人や勤務先の同僚などの第三者を介した複雑な投資手法で、金融、貴金属、観光開発、通信などの企業の株式を保有。この中には08年北京五輪のスタジアム「鳥の巣」建設関連企業も含まれる。
母親は、温首相の出身地、天津に登録された投資会社の名義で、金融会社の株式1億2000万ドル(約95億円)相当を保有。この投資会社は、温首相の妻の親友で天津出身の女性企業家が創設したという。
(参照)温家宝首相の親族が27億ドル蓄財…米紙報道(読売新聞)
温家宝の親族の不正蓄財が示すように中国共産党上層部の腐敗は、他の党上層部にも見られることである。これに対する一般国民の反発が激化し、共産党はかってない危機感に覆われている。中国では働いて金持ちになった人も汚職官僚も皆、金を米国に移している。最大の共通点は、中国の制度や見通しに不信感を持っていることである。
このような事態に中国共産党は党存続の正当性が問われているとし危機感を示している。共産党幹部の最高養成機関である中央党学校(校長は習近平)の機関紙「学習時報」は、このほど、中国はいま「3千年に一度の変局に直面している」として明言した文書を出した。それによると中国社会が抱える深刻な問題として
●社会の道徳体制の崩壊、イデオロギーの破綻、主流価値観の欠如
●近視的外交になっており、包括的な視野・戦略や具体的な道筋に欠け、国際情勢の変動を有効に利用できていない
●政治改革と民主化発展の停滞など をあげている。
権力闘争が終末段階か、
離島奪還訓練を実施すれば権力闘争の具になる
権力闘争の最終段階に到達したのだろうか、薄煕来への刑事捜査が開始された。10月26日、国営新華社通信の報道によると中国検察当局が、重慶市の元トップの薄熙来氏に対する刑事捜査を正式に開始した。
新華社は、検査当局は一連の調査を経て「薄熙来を刑事犯罪の疑いで捜査することを決定した」と伝え、「法に則して強制措置を講じ捜査を進める」と薄熙来が拘束されていることを示唆した。
これに先立ち、前日の25日、全国人民代表大会(全人代)は薄の代表資格の取り消しを決定し、薄はこれにより不逮捕特権を失ったばかりである。11月8日に控える共産党大会を前に、当局は薄熙来の処分を急いだものと観察される。
9月28日の共産党政治局会議で、薄熙来はすでに党籍剥奪と公職追放処分となり、身柄を司法機関に送られていた。処分の理由には巨額の収賄容疑や、妻の英国人殺人事件に関連する職権乱用、不適切な女性関係などが挙げられていた。
薄熙来はこれまで、政法(公安・司法)委トップの周永康書記や江沢民一族とその腹心に巨額な賄賂を渡してきた。このことは党の調査機関がすでに把握しているとの情報もある。江沢民一派の巻き返しを徹底的に封じ込むため、習近平体制が発足する前にして、胡錦濤主席ら党指導部が薄熙来と彼に連なる江派をいっそう抑え込みにかかったものと言われている。
薄煕来失脚後、同じ江沢民派のメンバーで、薄煕来と盟友関係にある中央政法委トップの周永康氏の失脚に関する噂も絶えない。「政権の調和と安定」をアピールする、胡錦濤・温家宝はなんとしても、党大会での政権交代を無事に済ませたいと考えている。これが江沢民一派に生き延びる隙を与え、彼らは社会的混乱を引き起こすなどして、胡・温政権に圧力をかけ、捲土重来を図ろうとしていた。尖閣諸島を巡る日中の対立は、江沢民一派にとっては権力闘争のための恰好の材料である。
9月15日からはじまった反日デモが招いた混乱は文化大革命以来とも言われているが、デモ隊に毛沢東思想と薄氏支持のプラカード、スローガンが掲げられた。現場で指揮するのは私服姿の警察幹部など周永康氏が率いる中央政法委・・・・・警察・公安、司法等を主管する・・・・が裏で糸を引いていた。このようなことから、ニュヨーク・タイムズの「温家宝首相の母親や妻、弟、長男ら親族が計約27億ドル相当を蓄財」との報道は、江沢民派が“最後っ屁”としてリークした可能性がある。中国共産党は、現在、次期体制発足前に江沢民派を排除するため最後の段階にさしかかっていると見られる。
日米が中国と戦う覚悟が無い以上
中国を挑発すべきでない
訓練を実施すれば中国は武力衝突を惹起させる
2012年10月27日(土曜日) 読売新聞朝刊 2面
中国内部のこのような状況を見れば、日本側が中国共産党の権力闘争の具に使用されるような行動をとるのは下の下である。日米が予定していた離島奪還訓練は、建前とは裏腹に中国を挑発するものであり、訓練を実施すれば、胡錦濤・温家宝らは日米に対し「厳正な対応」を取らねばならない状況にある。この場合、訓練海域や空域に中国軍が出没し”偶発的”衝突が発生する可能性がある。
日米は”偶発的”衝突勃発以降の対応を考えていなのであれば、該当の島や海域で離島奪還訓練そのものを実施する資格はない。単なる挑発目的の訓練である以上、中止は当然である。また、訓練を中止するくらいであるから、中国との武力衝突が生起した場合、米国が日本とともに戦う意思がないことが明らかになった。日本は米国に踊らされて動いていることも明らかになった。
(参照)集団強姦事件で在日米海軍トップが沖縄に謝罪 軽視は基地存続の危機、沖縄分離の中国を利する (2012-10-24 08:12:57)
(参照)勝利したのはどこの国? 尖閣諸島を巡る日中の対立 2012-10-23 22:55:56
(参照) マッチポンプが野田首相に「尖閣はもう止めだ」と火消しに来日、おめでたい国日本、やめる国日本 2012-10-22 22:07:16