牙を研ぐまわりの狼、アメリカが見捨てる"裸"で衰亡する日本

北朝鮮の「サイバー部隊」は１千人規模…専門家指摘   
　ケリー米国務省報道官は７月９日、同省へのハッカー攻撃は「続いている」と述べ、主要官庁が連携して対応策の検討に入ったことを明らかにした。「北朝鮮犯行説」を主張する専門家は少なくなく、対応策を求める声が強まっている。
　４日に始まった米国へのハッカー攻撃の標的は、ホワイトハウスなど８機関にのぼり、ワシントン・ポストなど大手新聞社や銀行など民間企業にも広がった。９日までに実際の被害は確認されていないが、米専門家の間では「北朝鮮は軍に１０００人規模のサイバー攻撃部隊を創設した」との指摘もある。
　今や、アメリカを正面から攻撃する北朝鮮の意図と軍事能力を侮るべきでない。

牙を研ぐ周辺各国、軍備の概観

・核兵器と非核３原則　
　アメリカ、ロシア、中国及び北朝鮮は、保有している。韓国は、過去に秘密裏に核開発を行った、持ちたい衝動がある国だ。将来はどうなるか分からない。アメリカが提供する「核の傘」の信頼性と日本に対する報復心、敵愾心の勃興いかんによるだろう。
　日本は、「持たず、作らず、持ち込ませず。」で、ドンキホーテその者だ。中国は核戦力の増強に邁進している。核兵器を保有している国は、どこの国に対して使うのか？　ロシア、中国、北朝鮮が一番先に使ってみたい国は、反撃できない日本だろう。
　北朝鮮のミサイルや核実験に一番脅威を受けている日本は、脅威に目覚めるかと思いきや、相変わらず”眠った”ままである。周辺の各国だけでなく欧米も“眠ったまま"でホッ としたのではないか。　「持たず、作らず、持ち込ませず。」といっても、アメリカの艦船は核兵器を搭載している。日本の姿勢はあいまいだ。
　その日本は、原爆の惨禍を蒙った唯一の国といいながら、地球上から核兵器をなくす運動を展開してきたわけでもない。さりとて”眠り“から目覚めることもない。他国は、ひ弱で情けない国と内心、軽蔑していないかとさえ思う。

・長距離ミサイル
　アメリカ、ロシア、中国及び北朝鮮は、保有している。どこの国にに向けて発射するのか？ 日本に打ち込みませんと宣言した国は一国もない。
　韓国はどうか。近年では、射程距離５００km以上の国産巡航ミサイル「天龍」を軸に、射程距離１６５～３００kmの米製ミサイルATACMS、射程距離１８０～３００kmの国産玄武I、II、などの地対地ミサイル部隊を新たに統括するミサイル司令部が新設された。
　また、誤差約５メートル以内の精密さと１０００kmの射程を誇る国産巡航ミサイル玄武IIIBの実戦配備が０４年、０５年から進められており、中国の沿岸部や北京、北海道と東北地方の一部を除く日本全域が射程に収められている。
　射程１５００kmの玄武IIICの開発もかなりの段階まで進んでおり、２００７年には陸軍が射程１０００km超の巡航ミサイルを確保したと発表している。 韓国は、日本に一撃を食わせたいのだ。

　長距離ミサイルを保有している国で、日本に照準を合わせていない国があるとでもいうのか？　日本は、「敵地攻撃能力」の論議を少しばかりやったが、周辺の国は日本が非武装化・非戦の方向へ進もうと隙あらば突いてやろうという姿勢がありありだ。

・原子力潜水艦と航空母艦　
　　アメリカ、ロシアは保有している。中国は原子力潜水艦を保有しており、現在空母を建造中である。中国はなぜ空母を建造するのか、日本の安全保障に関係ないとでも言うのか？
　将来、万が一、尖閣諸島で日中の対立が起こったとき日本の津軽海峡、対馬海峡、大隈海峡に核兵器を搭載した原子力潜水艦や航空母艦が遊弋したら,海上自衛隊は尖閣諸島へ出動できないはずだ。戦わずして敗北だ。 　　
   北朝鮮、韓国及び日本はこれらの艦艇を保有していない。韓国については、その国防や海洋戦略からみて将来、日本海を支配し、日本のシーレーンを制するため空母建造の可能性を否定できない。

・生物・化学兵器
　アメリカ、ロシア、中国、北朝鮮：　保有、どこの国に対して使うのか？　韓国は、保有している可能性がある。日本は、全くない。化学兵器の汚染を防護する能力が少しあるだけか。
　サリンを実戦的、実践的に公然と使用してその威力を世界に知らせたのはオウム真理教だ。外国はこれからヒント・教訓を得て有効性に気づいたはずだ。日本人は、外国の裏面を見ずノー天気だ。

・対人地雷
　アメリカ、ロシア、中国、北朝鮮、韓国は、保有している。これらの国は、何に使うのか？　日本は、周辺各国の動向を考慮することなく破棄した。ヨーロッパ各国が破棄するのは、ヨーロッパの統合で“国境”を挟んだ戦いが起こらなくなりつつあり、地雷を敷設する必要がなくなったからだ。日本周辺の軍事情勢は、欧米や太平洋の島嶼国家と根本的に違う。日本は、世界有数の海岸線が長い国だ。北朝鮮の不審船はどこからでも侵入できる長い海岸線を専守防衛に徹するならば対人地雷を破棄するのは滑稽である。ドンキホーテそのものだ。
　日本の国会議員は、安全保障に関心が乏しく軍事知識も無い、軍隊教育も全く受けたことがない。“教科書”的知識で、国家間の安全保障を受け止めている。
　日本人は、戦後”軍備（戦争）”を放棄した。国家の”主権”も放棄した。エセ”平和”憲法と日教組の教育に毒されて“平和ボケ”、“平和小児病”になった。

・クラスター爆弾
　アメリカ、ロシア、中国、北朝鮮、韓国：　保有、保有している、保有している国は何に使うのか？　
　日本は、破棄した。対人地雷と同じで、日本はドンキホーテのような国だ。

・情報・諜報能力及び秘密保護
　　アメリカ、ロシア、中国、北朝鮮及び韓国は、情報・諜報能力及び秘密保護関係法制が整っている。これら各国の諜報活動の手先になってうごめく輩は政財界、学会等々国内各界に（本人が手先となっていることを自覚していなくても）公然、非公然と動いている。国論が分裂している大きな要因でもある。
　日本は、情報・諜報能力及び秘密保護は、ないし丸裸も同然だ。同盟国のアメリカは、価値ある情報を提供できないし、提供しない。
　日本人の意識に“国家”,”主権”、“国益”などがないので、秘匿すべき情報か口外して差し支えない情報かを判断する基準を持っていない。無意識的に機密情報の類の情報が責任ある人物の周辺から漏れ出すので、外国の情報機関は、スパイ活動をしなくても情報を簡単に入手できる。恥ずかしいことではあるが”開けぴろげ”だ。何もかも丸見えだ。

・サイバー攻撃能力
　アメリカ、ロシア、中国は強力な力を持っている。北朝鮮は、今回のサイバーテロで高い攻撃能力を実証した。
　中国は靖国神社のホームページなどを度々攻撃した。ロシアはバルト諸国や東欧の国にハッカー攻撃をしたことがある。
　北朝鮮のハッカー部隊は１０００人規模と報道されている。中国の部隊は、１５００か１６００人に迫る規模だ。
　韓国は、国のＩＴ化を進めている、攻撃能力攻撃能力を構築中だろう。日本は、ハッカーを防ぐ能力も攻撃する能力もない。挙手傍観だ。

・武器輸出３原則
　こんな原則があるのは日本だけ。韓国は武器を各国に輸出して開発力を向上させるとともに外貨を稼いでいる。先端兵器の開発は巨費がかかるので自国のみでは開発できないので、各国は他国と共同開発をする。日本はアメリカ以外の国と共同開発が出来ない。したがって先端兵器の開発や取得に齟齬をきたしている。

・集団的自衛権もない
　アメリカと共同防衛はできるが、その肝心要のアメリカは、米中関係重視に傾斜しつつあり、いまや日本を死活的重要な国とみなしていない。日本の防衛のために一肌脱ぐことはないということだ。
　軍備も防衛費も法制度も何もかも、その場しのぎで済ませてきたツケが回ってきた。日本には、独力で国を守る意思も力もない。
　今までは、アメリカの尻にへばり付いていれば事足りた。米中“同盟”、牙を持った北朝鮮、日本からハイテク技術を得たいと微笑しているロシア、日本を仮想敵国Ｎｏ.1とする韓国に囲まれた日本の安全保障を如何に構築するかは大きな課題である。　

・防衛予算も削減だ
　　スエーデンのストックホルム国際平和研究所が６月９日に発表した２００９年版年鑑によると中国の０８年の軍事費は前年比１０％増の８４９億ドル（約８兆３７００億円）とアメリカの６０７０億ドル(５９兆)８５００億円）に次いで２位に浮上した。

　中国は、情報化された近代戦に備えているほか、戦闘機、防空システム、中距離ミサイル、潜水艦の開発に力を入れている。　３位がフランス(６５７億ドル)、４位がイギリス（６５３億ドル）、日本は７位（４６３億ドル）だった。日本の防衛予算は年々削減されている。日本は国を守る余裕がなくなった、その日暮らしで精一杯だ。

日本は“ガラパゴス”、戦略なき国家は没落する
　周辺各国が“牙”を問いでいるにも関わらず、予算削減とは、まさに“太平天国”だ。
　日本は、自分で自分の手足を縛っている不思議な国だ。外の進化に取り残された島“ガラパゴス”そのものだ。
　こんな、無定見・無策で無防備な日本がアメリカに「核の傘」を提供してくれと申し出ること自体ナンセンスだ。
　国の安全保障は、周辺各国の軍事能力と意図によって脅威であるかないかを見極めるべきであるが、日本の政治家や官僚は、もともと、“軍事”“軍隊”“戦争”という概念が意識にないので、他国の動向を表面的にしかとらえることが出来ない。政治の無能で自ずから辺縁化しつつあるにもかかわらず“先進国”と思い込んでいる。

　“平和小児病”、“非軍事イコール平和”という錯覚にとらわれている。何もかもが、場当たり的で、長期的視点に立った戦略がない。軍事面だけでなく、他の分野でも国家としての目標、戦略がない。戦略なき国家は没落する。
　政治の停滞、経済の衰退で“中進国”だ。衰亡の歩みが速いので２１世紀中頃には“後進国”だろう。