与那国島に陸自配置 国境防衛の意思明示
政府は7月4日、日本最西端に位置する沖縄県の与那国島に陸上自衛隊の部隊を配置する方針を決めた。年内に策定する次期中期防衛力整備計画(平成22~27年度)に盛り込む。複数の政府・与党関係者が明らかにした。実現すれば、沖縄で本島以外へ陸上部隊を配置するのは初めてとなる。
付近を航行する船舶の監視を行うとともに、離島防衛の意思を明確にするのが目的で、軍事力を増強し東シナ海での活動を活発化させる中国に対抗し、南西諸島の防衛力を強化する狙いがある。
中国の海洋権益確保が本格化、 中国,西沙で最大規模の監視活動
中国の全国人民代表大会の常務委員会が6月22日、北京の人民大会堂で始まり、中国の離島に関する管理運営措置を規定する島しょ保護法案の審議に入った。法案は、離島の資源の所有権や開発する際の権利と義務などを規定。日本に対し領有権を主張する東シナ海の尖閣諸島や、フィリピン、ベトナムなど6カ国・地域が領有権を争う南シナ海の南沙諸島も含まれるとみられる。
両諸島が法案の対象と判明すれば、反発を招くのは必至だ。海洋権益強化の一環で、東シナ海や南シナ海で対立を抱える日本や東南アジア諸国は警戒を強めている。
日本は何時も後手後手だ!
北朝鮮は7月6日ミサイルの発射を日本海に向けて発射した。日本、米国、韓国などが北朝鮮制裁の国連決議と並行して独自の制裁措置と相互に連携して制裁の実効性を高める必要がある。李明博政権下の韓国は、すでに北に対して厳しい経済制裁を科しており、日本もいくつかの制裁措置を追加している。オバマ米政権も、独自の金融制裁措置やテロ支援国家の再指定を検討している。
日本は国連決議を踏まえ米韓との緊密な連携を図りながら、日本海や東シナ海での貨物の検査に参加する姿勢を一刻も早く表明すべきである。安保理に諮った日米の決議草案は、公海上での強制的な貨物検査を求めていた。それより抑制された決議が採択されたのに、“日本はできません”では国際社会の失笑を買うだけだ。
政府は、公海上での船舶検査を可能にする新しい特別措置法を今国会で成立させる方針のようである。新法の可決までには時間がかかる。新法が成立するまでの間、公海上での貨物検査は米軍などに任せざるを得ない。しかし万一、疑惑船舶が米軍などの検査を拒否した場合どうするか。船舶の旗国が問題の船を日本の領海内に移動させるのを待って、海上保安庁が連携して検査任務を果たすのだろうが具体策を決定しておく必要がある。
北朝鮮に出入りする船舶の検査で北側との小競り合いや日本の港湾に入ってからの自爆の可能性なども有りうる。公海上での小競り合いは、他の地域での武力衝突を引き起こするかもしれない。ノドンミサイルによる攻撃など不測の事態、敵のミサイル基地を攻撃することで武力紛争が拡大した場合の対応はどうするか課題は多数ある。これらの事態における日米の対応を決めておく必要がある。
領海に関して日本では「領海及び接続水域に関する法律」(昭和52年法律第30号)によって原則として基線から12海里(約22.1km)の海域と定めており、一部の特定海域については3海里(約5.6km)となっている。
特定海域とは、宗谷、津軽、対馬東水道、同西水道及び大隅の、領海の幅が通常の12海里から3海里にとどめられた5つの海峡をさす。上記5海峡も領海が12海里になるはずだが、この5海峡にかぎって3海里にとどめられている理由は非核三原則にある。仮に、この5海峡の領海幅を12海里にしてしまうと5海峡は完全に日本の領海になる。
一方、国際法では、国際海峡における外国の船舶及び航空機の通過通航権が認められている(それは核兵器を搭載した外国の軍艦あるいは軍用機であっても同じである)。とすると、核兵器を搭載した外国の軍艦が当該海峡を通過する場合、日本は国際法上、軍艦の通過は拒否できず、結果として領海内に核兵器が持ち込まれたこととなり、非核三原則の「持ち込ませず」の原則を堅持できなくなる。
そこで海峡上に領海に含まれない海域を残し、核兵器を搭載した軍艦をこの海域上を通航させることによって、こういった事態に対処しようとした。ソ連、アメリカ、そして将来は中国の核搭載艦艇も自由に通過してよいという、一時しのぎの姑息な解決策だ。
近い将来、特定海域の領海3海里がアキレス腱になる
現在、中国海軍がの増強著しく航空母艦を建造中である。5、6年後には核を搭載した空母艦隊が宗谷、津軽、対馬東水道、同西水道及び大隅海峡を遊弋することもありうる。
「領海等における外国船舶の航行に関する法律」で、我が国の領海及び内水(以下「領海等」という。)における外国船舶の航行の秩序を維持するとともにその不審な行動を抑止し、領海等の安全を確保するため、として次のことが禁止されている。
・領海等における外国船舶の航行は、継続的かつ迅速に行われるものでなければならないこととする。
・外国船舶の船長等は、当該外国船舶に次の航行をさせてはならないこととする。
・領海等においては、荒天、海難その他の危難を避ける場合等のやむを得ない理由がある場合を除き、停留、びょう泊、係留、はいかい等を伴う航行
沿岸から約5.6kmの沖では法律に違反しない。放置しておくと約5.6kmの沖を中国の航空母艦が遊弋することも起こりえる。核兵器を搭載した中国の空母艦隊の恫喝に挙手傍観する事態が起こりうることも予期しなければならない。
特定海峡の領海3海里や非核三原則も早急に見直して米国の核ミサイル搭載艦の日本寄港を容認することも真剣に検討すべきである。