
日台、尖閣周辺に2水域 漁業協定調印
2013年4月11日(木曜日)読売新聞朝刊1面
台湾漁船の自由な操業を認めれば沖縄の漁業には打撃になる。この海域を「伝統的な漁場」と見做す台湾の漁民の要求に応えた結果であり、支持率低迷にあえぐ馬英九政権の浮揚につながる。昨年9月の尖閣国有化に反発した中台が「共闘」して巡視船等を日本の領海に侵入したため、日本側は、「尖閣、中台にくさび」とは裏腹に、日本側の大幅な譲歩で中台側の勝利である。
というのは、日本も米国も「2つの中国」「一つの中国、一つの台湾」も認めていない。台湾問題は中国の内政問題としているので、中台の経済的一体化が進めば台湾は中国に吸収される可能性もある。
中国も台湾も東シナ海の大陸棚は沖縄トラフまでと主張しているだけでなく、沖縄即ち、中国のいう“琉球”を奪還するための工作を展開している。20,30年、50年という期間は日本人には“長期”であるが、中国人にとっては“わずか”50年である。習近平の政権は今後10年続く。日本側は2,3年で政権が交代するような状況が続けば一貫した対中戦略が展開できない。領土問題に関しては中華民族として手分けして対日政策を展開しているとみるべきであって戦略なき国家は挫折する。この譲歩は、その一歩になる可能性を秘めている。
常態化、この日も接続水域に中国船3隻が航行
2013年4月11日(木曜日)読売新聞朝刊38面
日本の領海侵犯や接続水域における航行が常態化したが、何年この状態が続くのか、日本は当分の間、「領海に入るな」と “嘆願” する以外なす術がない。
キッシンジャーが秘密訪中で周恩来と話し合ったこと
第2回周恩来・キッシンジャー会談、1971年7月10日、場所 北京・人民大会堂で周恩来とキッシンジャーはニクソン訪中の環境づくりのため会談し、次のような会話を交わした。
以下、2001年に機密が解除された「周恩来キッシンジャー機密会談録」を、毛里和子・益田弘 監訳 「周恩来キッシンジャー機密会談録」 岩波書店から転記する。
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周恩来総理 しかしそれはあなた方が駐留軍(台湾の米軍)を撤退させる用意があるというだけで、両国の友好へ踏み出す用意があるというのではないでしょう。それが外交関係ですか?それは私には矛盾しているように見えます。関係を改善すればその当然の帰結として外交関係の樹立があるでしょう。これは大使級会談でも言われました。最近あなた方は我々に中華人民共和国と呼びかけています。我々はあなた方にアメリカ合衆国と呼びかけています。それが正常な関係を示唆していませんか?あなた方の大統領は公然と我々のことをこの呼び方で言っています。
キッシンジャー博士 まだ話し終わっておりません。総理は私が不完全だと批判なさって、私の見解の実質は批判されません。あなた方の質問にお答えするため、我々は考えた上で、合衆国の公式文書の中で初めてあなた方のことを中華人民共和国と呼び、我々が進みたいとしている方向を象徴させました。あなた方は我々の意図を正しく理解しました。我々が正常化を望み、友好を望んでいるということです。私がこちらにやってきて、総理はほかに四つの点をあげられました。
― 中華人民共和国を中国の唯一の正当な政府として認めること。
― 台湾が中国に属することを認めること。
― 我々が二つの中国や一つの中国、一つの台湾を支持しないという前提を受け入れること。
― 台湾独立運動を支持しないこと。
周恩来総理 昨日のお話ではあなた方は二つの中国や一つの中国、一つの台湾を支持しないということでした。
キッシンジャー博士 そうです。
周恩来総理 国務省のスポークスマンが台湾(日本が放棄した台湾の領有権)の法的地位は未定だと言ったときのことを昨日私が言うと、あなたは、彼はそれを繰り返さなかったと一言いました。
キッシンジャー博士 それも偶然のことではありません。
周恩来総理 その通りです。
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キッシンジャーの秘密訪中では、双方が経済的に強大化する日本と軍事的に強大化するソ連にいかに対処するかについて多くの時間を割いて話し合われている。台湾問題は米国にとっては中国の内政問題となっており、中国の軍事的経済拡大が今後も続けば、数十年後には中台“統一”といった状況もやってくることを予期しなければならない。
(グアム島の戦略的地位)
しかも沖縄の米軍はグアムへ撤退する、
対中包囲網が緩み日本の抑止力は低下する
(台湾の馬英九はこんなことも言っている)
馬氏 両岸華僑は外国人の笑いものにならないように
タグ: 馬英九 華僑
発信時間: 2010-06-09 10:17:59 | チャイナネット |
「中国新聞ネット」は8日に台湾メディアの報道として、馬英九氏は8日午前に台北市でアジア地域の華僑団体代表と会見し、「就任後に両岸関係を改善し、紛争を止めることを呼びかけたことは、台湾に大きな助けとなった。たとえ大陸部でも台湾地域の華僑にしても、互いに助け合い外国人の笑いものになってはならない。中華民族の知恵を通して、必ず解決の道を見つけることができると信じている」と述べた。
そして「両岸の交流はかつてより多くなり、台湾は『外交』で引き続き以前の紛争をする必要はない。台湾と外界の相互信頼はしだいに回復しており、台湾は世界保健機関(WHO)と世界貿易機関(WTO)の政府調達協議に参加でき、それは台湾にとって大きな助けとなっている。私が就任するまでの8年間、台湾は外界との関係で何事も成し遂げなかった」と指摘。
また「たとえ大陸部でも台湾の華僑でも、なごやかに付き合い、互いに助け合い、外国人の笑いものになってはならない。みんな中華民族、中国人であり、他の国でも助け合い、互いに尊重すべきだ。華人華僑の団体は、中華民族の長い歴史の知恵を通して解決の道を見つけることができる」と語った。
その他にも馬氏は、台湾の「華僑事務委員会」が各華僑団体に提供する中国語の教科書には繁体字と簡体字が並び、これは多くの問題を解決することができると述べ、両岸の持続的な交流は、通信技術の発達により世界各地の華僑社会の距離を近くさせ、往々にして多くの改革を促進することはプラスの現象だと強調した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年6月9日
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尖閣諸島問題で博士号を取得した馬英九にいとって「両岸の華僑」も「両岸の中国人」も同じ中華民族である。彼は台湾政府が表面に出るのが都合悪い場合は、民間人に代役をやらせるなど硬軟両面にわたって対日工作を展開している人物、“中国の代理人”である。
「中台にくさび!」というのは甘すぎる。
台湾、沖縄の主権 日本に認めず
1995年1月14日(土曜日)読売新聞
台湾の警備艇が1月8日、沖縄県与那国島周辺の日本側領海を侵犯した事件で、台湾・外交部のスポークスマンは「琉球やその領海に対する日本の主権を認めていない。従って、たとえそのような事実があっても、領海侵犯のにはならない」との立場を示した。台湾が正式にこうした強硬な“原則論”を表明した。
この記事は19年前のものであるが、最近は台湾だけでなく中国もこのような主張が見られるようになった。それだけではない、防衛省による与那国島へ部隊配備の用地取得交渉が、島側から大金を吹っかけられ決裂した。沖縄県本島やこれら島嶼にも中国人・台湾人が流入し、“民族自決”による“琉球奪還”に向けた工作が行われているの。
10年、20年先には、中国海軍の増強に伴って太平洋への進出がより活発化する反面、米軍の東方への戦線後退で中国に対する抑止力が低下すれば、このような漁業協定は沖縄の分離独立の動きにも大きな影響を及ぼす。
中台にくさび? 中台のタグマッチにやられたか?
4月11日の読売新聞の4面に「日本が譲歩、合意急ぐ」、「日本と台湾の漁業協定の合意は、沖縄県の漁業者の根強い懸念にもかかわらず、首相官邸主導で日本側が大きく譲歩した。尖閣諸島をめぐる問題で挑発的行動を続ける中国に対し、政権発足以来厳しい姿勢を示してきた安倍首相の外交戦略の一環ともいえる。」とか、「菅官房長官は10日、記者団に『歴史的な意義を有する。今後の地域の安定にもつながる』と満足げに合意を評価した。」とある。
“首相官邸主導” や “日本側が大きく譲歩” の文言は田中角栄の屈辱な “日本の譲歩で、合意急を急いだ” 日中国交回復の交渉と似たようなパターンである。
また“沖縄県の漁業者の根強い懸念”は、米軍の基地問題と相まって中台の沖縄分離独立に向けた工作の素地となる。このような結果になったのは、戦後日本の尖閣諸島に対する無為無策のツケである。
中国は長いスパンで勝負をかけてくる。「中台にくさびを打った」と早とちりをするのは禁物である。むしろ中台によって沖縄の分離独立に向けて、くさびを打たれたのではないか、そのようにも観察される。
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