ふぃー大分書いたじょー!
続きです。
旅行の主役は、母です。これは、間違いない事なのです。私は、母をヨーロッパから無事に日本に連れて帰る事が、旅の使命です。時期も時期であったので、危険から出来るだけ避けて、自分の体で守れるようにつかず離れずに旅を続けていたのですが、ルノワールのコーナーに着いて絵を見ていると、子供の頃、銀行のポスターに心を奪われてしまった時と同じように、心を奪われていました。
代表的な作品群が並べられてあるコーナーを母親と解説しながら歩いていると、母が、
「何で、ルノワールがそんなに好きで、そんなに詳しいとね?」
と、子供のように聞いてきました。私は、
「・・・・・(無言)」
またもや、母
「何なー、無視せんでもよかろうもんっ!」
と母、
「もーっ、ちょっと静かにしてくれんかいな?」
「なんで、他人の前とか、美術館でとか質問するとな?こっちの方が聞きたいばい!」
「しかも、静かな美術館で大きな声で。」
朝からの質問攻撃に大概に嫌気がさしてきていた私は、
「頼むけんくさ、もう少しでルノワールのコーナーも終わるけん、10分くらいやけん。」
といって歩き、とうとうその絵はありました。
題名は、[イレーヌ・カーン・ダンヴェルス嬢 ]です。
私は、
「母ちゃん、ちょっとこれば見てん。」
母、
「何な、この絵がどうかしたとな?」
私、
「この絵、昔、見たことがあるったいね、憶えてない?」
母、
「・・・・・(無言)」
私、
「ほらっ小学校2年の時、俺が母ちゃんに西日本銀行についていってくさ、福岡市博物館の展覧会のポスターば見とれ取ったら、母ちゃんが2週間後くらいに連れて行ってくれたろうが、あの時の絵がこの絵たい。」
母は一瞬、言葉をなくし、ずーっとその絵を見続けていました。
そして、母、
「綺麗かねー。」
私、
「うん、綺麗やね。」
「変わらんね。綺麗やん。」
母は、ポツリと、
「あの頃は、やおいかんやった。」
と小さな声で、ポツリと私に聞こえないくらいの声でつぶやきました。
私は、
「うん。」
「俺が見たかったとは、この絵やけん。これで、俺はいいけん。じゃっ、出ようか?」
母は、私たち兄弟が幼い時から、「やおいかん」とか「キツい」とか言った事がありませんでした。いつも、明るく、大きな笑い声で子供に接していました。私たち兄弟は、幼い頃、家計が苦しいとかを感じる事がありませんでした。母のおかげだと思います。実情は悲惨な状態であったのでしょうが。
・・・・・つづく
続きです。
旅行の主役は、母です。これは、間違いない事なのです。私は、母をヨーロッパから無事に日本に連れて帰る事が、旅の使命です。時期も時期であったので、危険から出来るだけ避けて、自分の体で守れるようにつかず離れずに旅を続けていたのですが、ルノワールのコーナーに着いて絵を見ていると、子供の頃、銀行のポスターに心を奪われてしまった時と同じように、心を奪われていました。
代表的な作品群が並べられてあるコーナーを母親と解説しながら歩いていると、母が、
「何で、ルノワールがそんなに好きで、そんなに詳しいとね?」
と、子供のように聞いてきました。私は、
「・・・・・(無言)」
またもや、母
「何なー、無視せんでもよかろうもんっ!」
と母、
「もーっ、ちょっと静かにしてくれんかいな?」
「なんで、他人の前とか、美術館でとか質問するとな?こっちの方が聞きたいばい!」
「しかも、静かな美術館で大きな声で。」
朝からの質問攻撃に大概に嫌気がさしてきていた私は、
「頼むけんくさ、もう少しでルノワールのコーナーも終わるけん、10分くらいやけん。」
といって歩き、とうとうその絵はありました。
題名は、[イレーヌ・カーン・ダンヴェルス嬢 ]です。
私は、
「母ちゃん、ちょっとこれば見てん。」
母、
「何な、この絵がどうかしたとな?」
私、
「この絵、昔、見たことがあるったいね、憶えてない?」
母、
「・・・・・(無言)」
私、
「ほらっ小学校2年の時、俺が母ちゃんに西日本銀行についていってくさ、福岡市博物館の展覧会のポスターば見とれ取ったら、母ちゃんが2週間後くらいに連れて行ってくれたろうが、あの時の絵がこの絵たい。」
母は一瞬、言葉をなくし、ずーっとその絵を見続けていました。
そして、母、
「綺麗かねー。」
私、
「うん、綺麗やね。」
「変わらんね。綺麗やん。」
母は、ポツリと、
「あの頃は、やおいかんやった。」
と小さな声で、ポツリと私に聞こえないくらいの声でつぶやきました。
私は、
「うん。」
「俺が見たかったとは、この絵やけん。これで、俺はいいけん。じゃっ、出ようか?」
母は、私たち兄弟が幼い時から、「やおいかん」とか「キツい」とか言った事がありませんでした。いつも、明るく、大きな笑い声で子供に接していました。私たち兄弟は、幼い頃、家計が苦しいとかを感じる事がありませんでした。母のおかげだと思います。実情は悲惨な状態であったのでしょうが。
・・・・・つづく
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