ギリシャの島々クルーズ
「PネットクルーズのY でございます。山ちゃんとお呼びください」
「ギリシャクルーズ10日に申し込みたいんですけど…」
「ではお調べして折り返しお電話致します」
「PネットクルーズのY ちゃんでございます」
「2〜3日前電話したんですが、折り返しの電話がないので…」
「え! 申し訳ありません、もう一度お名前とコースを教えてください」
調べてなかったのか…山ちゃん。
その後もちょくちょくこんな感じの少し頼りない山ちゃんの担当で
私とヤツはベニス発着ミコノス島〜コルフ島〜クレタ島〜クロアティア・ドブログニク周遊の
クルーズツアーを申し込んだ。
ヨーロッパは言葉が通じないし、日本からの飛行機の手配もついてたので
楽チンだった。
ただ、アリタリア航空は
ずっと前乗った時信じられない事にCAが最後尾でタバコを吸っていた。
それ以外の航空会社をお願いしたら、幸いANAだったのでホッとした。
ベネツィアに到着して1日目少し時間があったので
リド島に定期船で渡った。
やっぱりベネツィアとは少し雰囲気が違っていて
静かでこじんまりしてはいるが、品が良い街並みだった。
今はもう見る事が叶わない、本物の映画を見れる時代撮られた
ルキノヴィスコンティ監督の「ベニスに死す」
を撮影された地を巡った。
映画の舞台となったホテル、デ、パンは2010年取り壊されたと聞く。
その跡地は、一画面にも手を抜かない完璧な耽美を追及する監督の
残骸を見る気がした。
貴族である同氏が金に糸目をつけず撮った
「山猫」「ニジンスキー」「家族の肖像」等
俳優をはじめ衣装、装飾、美術、時代背景どれをとってもため息が出る美意識と世界観に
感銘を受けたものだった。
2日目はホテルから徒歩で行ける港から
いよいよ地中海クルーズ出航だ!
さすがに世界有数の観光地なので
何隻ものクルーズ船が出港の順番待ちで、
クルーズのデッキから離れていくベネツィアの街並みを見下ろし
一望できるパノラマに気分はハイになる。
船長主宰のウエルカムシャンパンをヤツの分も2〜3杯頂いて
船内をうろうろしてたら、すぐ夕食の時間になる。
今回はコスタクルーズと言う
エコノミーな価格の割にオシャレな船だ。
イタリア船は食事はハズレがないと聞いてたので
ウチらは十分楽しめた。
レストランに行くとツアーなので
日本人グループの大きなテーブルに案内された。
10人位のテーブル2つのテーブルには数組みの日本人が座っていた。
旅先であまり話す機会がなかったので
色々な人と会話できて楽しかった。
悠々自適の年配の方々が殆どなので
マウント気味の自慢話ばかりでうざく感じたら
別の席を取ることも出来たから
クルーズ中は数種類の生ハム三昧を良しとしてテキトーに楽しんでいた。
地中海周遊は夏期が良い。
海の色が断然碧い。それだけで価格が2倍は絶対納得できる。
この碧い海を見ず、どうするよってほど海の色が全てだ。
冬来ても地元人が言う「ゲーゲ海クルーズ」の意味を
身をもって知る事になるだけ。
(経験者だもん(泣)
最初の寄港地はベネツィアの遺跡を囲むコルフ島。
島の頂上に行くロープウェイにクルーズの乗客全員がごった返し
発着場までの長ーい階段を並んでいた。
すると夕食時チョット苦手だったKさん夫婦がウチらを見つけて
手を振ってかなり後列から、順番を飛ばしてこちらに割り込んで来た。
年金を沢山貰ってる元偉い肩書の人と奥さん。
ウチらがどのクラスの部屋か、頼んだシャンパンはいくらか
やっぱり自分らよりビンボーらしい、みたいな
島の遺跡よりそんな事に興味があるらしく、長い待ち時間
ずっと根掘り葉掘り色々聞かれていた。
ロープウェイで高台に着くと、
紺碧の海に浮かぶ遺跡の島を一望するのは圧巻に決まっていた。
戦国時他国からの侵略を阻止するため、至る場所に石畳や防壁は
古よりの歴史を思い至らせる。
クレタ島も全く趣は違う景観だが、
島自体、堅固な城砦になっていた。
ヨーロッパってどこに行ってもそんな感じだよね〜。
今まで十字軍とか遠い国の話だったもんで、ピンと来なかったけど。
3日目のミコノス島は白壁の街とボニの風車ってあまりにも有名な景色を確認した後は
基本あちこち行かない、ウチらの好きなブラブラ歩きして、
地元の音楽の流れる絶景のカフェでお茶飲んだり、港の猫と戯れて
ゆっくり流れるこの地の時間を楽しんだ。
サントリー島では
海と島が一望出来るアベマリアのオペラが流れるカフェで
ずーっと一日中だべっていた。
仕事の事や、これからの事、家族のことや、好きなこと…。
他愛もない事をズッーっと。
映画マンマミーアみたく
住人はこんな綺麗な景色を愛しながら
働いたりジタバタしたりして生活しているんだな、って
色々な世界を垣間見れる、旅って
ホントに面白い。
最後のクロアチアのドブログニクは
天候不良で帰港する事が出来なかった。
あっという間の楽しいクルーズももう終わる。
日本人はクルーズ船内で
忙しそうに色々なイベントに参加していた。
怠け者のウチらは食事以外、一日中部屋でゴロゴロしていた。
朝昼晩毎回数種類出る生ハムに
最初は大喜びだったのに一週間も経つと吐きそうになっていた。
「生ハムはもう良いよねー」
食事のテーブルでパスタ、ピザ、生ハムに辟易していた日本人は
ため息が混じりにグチっていた。
ちなみにウチらは帰国後一年以上イタリアンは食べなかった。
色々な地方から来ていた参加者と話していると
クルーズPネット社の話になった。
高年金夫婦が
「担当が書類を忘れて送ってこなかったから最後キレた」
「感じは良いから憎めないけど、私たちも…」
私はピンと来て担当の名前を尋ねると、皆さん
「山ちゃん!」と。
その後山ちゃんの話題で日本人のテーブルは大盛り上がりだった。
「ツアーも結構面白いね」とヤツ。
「うん、又来たいね」
モチロン山ちゃんの担当で、ね。