猫と共に余生を穏やかに過ごす

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序章

2022-03-24 09:14:43 | 戯れの小説。内容はしょうもないです。恥ずかしいので読まないで下さい

序章

 

来年の秋ごろに、また君たちの時代へ人を送ることになった。またと言っても数十年ぶりの事らしいが。そこで、私にお鉢が回ってきた。「我が国とMWGの現状と歴史を簡略に紹介する一文をしたためよ」とのことである。報酬も悪くないので引き受けたのだが、結局はこの序章だけを書くこととなった。私が書くこの序章に続くのは、先年、我が国全土で発刊されたとあるノンフィクション小説である。どのような経緯でこのような結論になったのかを私は知らない。想像は自由に出来るのだが、敢えて触れないでおこう。執筆依頼が修正された時に「この小説の前文として書いてくれ」と結論だけを伝えられ、その小説を受け取ったただけである。

この小説だが、全く売れなかったのも頷ける内容であった。しかし、既に報酬を受け取った以上は、その分の仕事はせねばなるまい。そこでこうして嫌々ペンを取った次第である。その小説の著者が何者なのかについては言及を避けるのが礼儀というものだろう。もし、つまびらかにここで書いたとしても、それをもって私が何らかの危害を受けることは無い。その点は、我が国の誇るべきところだと言って良い。小説の内容だが、それなりにCGIの国内事情を良く説明してはいる。

何から書くべきか。推敲時にもかなりの迷いがあった。まずは、このテキスト全体が誰に届けられるのか、について軽く述べておこう。このテキストの宛先は、我が国がかつて君たちの時代より少し前の時代に送った者たちの子孫の当主である。つまり、君たちの言う西暦で二十一世紀よりもかなり前の時代に、我が国は人を複数回送っているのである。その当主は、このテキストを受け取ったとしても驚きこそすれ、真贋を疑う事はないはずだ。問題は、このテキストを当主がどのように取り扱い、誰に見せるのか、である。

次に時代、及び世界線について述べておく。君たちの時代と、現在の我が国の間に時間的な連続性はない。君たちの世界がこの先、どのような道を辿るのか、確かにある程度はほぼ確定している。だが、時を経るにしたがって、我々の間のずれは大きくなり、全く異なる歴史を辿るであろう。連続性がないのに、どのようにして時を越えて人を送れるのか、という疑問は尤もである。その点については、既に解決しているとだけ答えておこう。我々の間にどれくらいの時差があるのかについては、当主へは業務連絡として別便で知らせるらしい。君たちには、五十六億七千万年の時差がある、とでも言っておこう。正直に言うと、私も正確な時差は知らされていないのであるが。

二十一世紀に限らず、二十二世紀にも渡るのだが、君たちから見た近い将来に起こる大事件について、警告を込めて早めに書いておく。結論から言うと、二十世紀を遥かに超える流血の時代となる。現在、君たちの全世界が直面している大きな問題がふたつある事はご理解いただけるだろう。その後にも大きな問題は次々に発生する。地域的な危機は今後も度々発生し、巨大な自然災害も複数回発生するが、ほとんどが君たちの時代、いや世界の内部構造に起因するものである。アメリカ合衆国は大きな問題を引き起こすし、中華人民共和国も同様である。この両国が引き起こす問題も、ほぼ間違いなく発生する。我々の世界線では、その危機の際、核戦争は辛うじて回避され、膨大な流血を伴いつつも人類は滅亡を免れた。その遥か遠い延長線上に我が国は存在している。翻って、君たちの世界ではどうなるだろうか。民主主義を尊重し、各国民による国家権力の監視を着実に行い、それの暴走を防ぐための制度を確立するしか、人類が生き残る道はないと断言しておく。我が国が君たちの時代に人を送り続けているのは、君たちの世界の崩壊、人類滅亡を防ぐためである。ただ、君たちの世界が完全崩壊しても、我が国に影響は無い。先ほど述べたように、我々の世界線は既にずれているからである。他の無数の世界線にも我が国は人を送っているが、それはここでは関係のない話である。

 

我が国の名はソールという。英語でSoleと書く。我が国にも当然、英語は伝わっている。幾分、形を変えながらも、大半の州や合州において公用語とされている。更に言えば、我が国の公用語は英語である。歴史的にそうなっただけであるので、他言語の保全にも国家を挙げて努めている。我が国以外にも、英語を共通語や公用語とする星間国家が幾つも存在しており、これらは全て地球を祖とする諸民族による国家である。小説の舞台となるCGIにおいても英語はImperishと呼ばれ、現存している。

幾つかの固有名詞について説明が必要である。

我が国の名称であるソール、すなわちSoleは形容詞としては若干、尊大な意味を持つ。「唯一の、ただひとつの、単独の、独占的な 」という意味であるが、これは副次的なものである。本来的には名詞としての「底、足の裏」という意味が正しい。なぜなら、我が国は地球を居住地域とせず、太陽を中心とする半径約2億kmのダイソン球の内側を居住地域としているからである。まさに底に張り付いて居住しているのである。なお、シタビラメは今でも地球の海に生息しており、我が国の国旗にもあしらわれている。カレイ目であるのだが。

次にMWGであるが、これは「Milky Way Galaxy」の事で、我々の天の川銀河の事である。MWGは地球を祖とする我々人類だけのものではなく、人類とは別系統である数多くの知的生命体のものでもある。MWG全域に渡って、知的生命体が様々な発達段階で存在している。一部の知的生命体は、恒星間航行能力を獲得しており、恒星間国家をも形成している。これらの恒星間国家の形態は様々であり、極めて多数の恒星系を束ねる巨大国家から、一星系のみに閉じこもり、鎖国状態にある国家まである。我が国は歴史から多くの事を学び、現在その鎖国状態にある。

ここでついでなので、世界について触れておく。 「a world」である。一言で言うと、居住地域である。ほとんどが独自の暦を持つ。例として述べると、同じ星系内でも居住地域は複数ある。主惑星、他惑星やスペースコロニー、採掘基地などである。これらの独立した居住地域を、それぞれ世界と呼ぶ。世界の中でも時差はあり得るが、その時差はあくまでも世界標準時とのずれである。暦自体がことなるわけではない。

さらについでなので、暦についても印しておこう。暦は非常に複雑な事になっている。世界により暦が異なるのだから当然である。しかし、実害はないに等しい。全て機械が換算してくれる上、大抵の場合、例えば主惑星と特定の採掘基地の往復、といったように航路が固定されている艦船が非常に多くあるためである。また、小規模な世界では、その従属する世界の暦をそのまま使っている場合もあり、更に単純化される。

最後にCGIについて説明しよう。これは「The Constitutional Galactic Imperium 」の事であり、「立憲銀河帝国」ということになる。大層な名前を自称しているが、確かに大国ではある。しかし、銀河帝国というのは個人的には不相応に感じる。恐らく、建国者が何かを拗らせていたのであろう。

ひとつ追加があった。国家群という概念である。MWGには多数の国家群があるが、互いに遠方すぎて相互に連絡が取れず、存在も互いに一切認知していない状態である。よって、当然ながら、下記の帝国=CGIでは、他の国家群の存在を知らないため、単語としての「国家群」のImperish訳はフィクションの世界のみで存在し(例として、another nations,other nations,)、概念も存在しない。ある一つの国家群内では、比較的距離が近いため、大変な時間がかかるが相互に通信が可能ではある。これは技術レベルに依存する。一つの国家群に属するのは三~十ヶ国程度と考えて良い。一ヶ国の場合もあり、極端に言えば一世界の場合もある。一部あるいは全部で戦争中の国家群も、もちろんある。

 

上記は下書き状態です。お一方だけアクセス解析により読者が判明しましたので、上げないで更新します。



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