【お断り】下記の説明は株式を上場していない比較的小規模な会社を前提としております。
倒産処理(民事再生、会社更生、破産、事業再生ADRなど)は弁護士の仕事ですが、会計事務所(公認会計士、税理士)に藁をも掴む思いで相談をしてくる人が後を絶ちません。
★会社が消滅するまで記帳と税務申告はしなければならない
このことを受け入れていただけない場合には、会計事務所としてはお話することは何もありません。「どうせ会社を消滅させるのだから適当でいい」「そんなことに費用と手間をかける余裕はない」ではどうにもならないのです。
「倒産」の二文字がちらつき始めたならば、今までにない経理処理が必要になります。「節税」「銀行対策」とは次元の異なる処理をしなければなりません。そうしておけば、最終的に弁護士や裁判所に世話になる場合もスムーズに事が運びます。
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◆資産の内容と金額を明らかにする
資産で内容がはっきりとしているのは「預金」だけではないでしょうか。「売掛金」は大口得意先については確かであっても、小口や取引回数が少ない得意先については案外不確かなことが多いです。「在庫(製品・商品)」のたな卸し(検数)が正確にできていないことがあります。「固定資産(減価償却)」は会計事務所に任せきりだと思います。「出資金」「保証金」は出金がずいぶん以前であることも多く、その存在にさえ気が付いていないことがあります。
念のため預金についても通帳や金融機関の報告書などと照らし合わせてください。決算書に反映されていない預金口座があるかもしれません。すでに解約している預金口座が計上されたままのことがあります。
◆不良資産の損失処理
不良資産とは貸借対照表に計上されている金額で回収や売却ができないものをいいます。資産の内容が明らかになったならば、不良資産をどんどん損失処理します。貸借対照表計上額を回収可能額や売却可能額まで減額します。結果として多額の損失(費用)が生じますが、倒産を意識するような状況ではもうこれ以上借りられないので金融機関の評価を意識する必要はありません。
◆負債を漏れなく把握する
金融機関からの借入金はともかくとして、それ以外の負債が計上されていないことがあります。放置している請求書を整理し処理をしてください。従業員の給料や公租公課(各種税金や社会労働保険料)も正確に把握し未払となっている分は負債として計上しなければなりません。
念のため金融機関からの借入金についても返済予定表などで確認してください。借入時や返済時の処理誤りで貸借対照表計上額が間違っていることがあります。
◆信用保証協会
信用保証協会は通常時はあまり意識することはありません。しかし、倒産となると信用保証協会と接触する機会が増えます。保証契約書や保証料の計算書を整理して、現状での保証の状況(どの金融機関の借入に保証を受けているのか)を明らかにしておく必要があります。
◆担保の状況
「抵当に入っている不動産」「誰が保証人になっているか」も非常に大切です。契約書などをもとに正確に把握しておく必要があります。
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★税務上認められない費用・損失に注意
「豪快」「爽快」に不良資産を処理した結果生じた損失の中には税務上認められないものもあります。遅れて計上した負債に対応する費用も同じです。税務上認められないとは、決算書では損失(費用)として利益を減額させる要素になるけれども、法人税の申告においては利益に加算して所得を計算するということです。しかし、倒産を意識するような状況では、もはや「どう転んでも」法人税は課税されないでしょうから心配は無用です。
★現状の資金繰り(収支)を把握する
資産と負債が明らかになったならば、次は資金繰りです。一年先くらいまでの入出金を把握し、払うべきものが払えるかの予測をします。倒産を意識するようになったら、会社の継続を前提とする「損益計算書」なんて無意味です。
★一発逆転!
「もうおしまいだ!」という段階になって、「特定の金融機関が融資をしてくれる(すでにリスケをしている場合は無理なことが多い)」「出資者(株主)が現れる」「会社あるいは一部の事業を譲渡できる」ということもあります。そのためにも、決して自暴自棄にならず「やるべきこと」、記帳と決算申告はしておく必要があるのです。「実態の掴めない会社」「実態を隠そうとする会社」「実態を歪曲する会社」を誰も助けてはくれません。
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倒産処理(民事再生、会社更生、破産、事業再生ADRなど)は弁護士の仕事ですが、会計事務所(公認会計士、税理士)に藁をも掴む思いで相談をしてくる人が後を絶ちません。
★会社が消滅するまで記帳と税務申告はしなければならない
このことを受け入れていただけない場合には、会計事務所としてはお話することは何もありません。「どうせ会社を消滅させるのだから適当でいい」「そんなことに費用と手間をかける余裕はない」ではどうにもならないのです。
「倒産」の二文字がちらつき始めたならば、今までにない経理処理が必要になります。「節税」「銀行対策」とは次元の異なる処理をしなければなりません。そうしておけば、最終的に弁護士や裁判所に世話になる場合もスムーズに事が運びます。
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◆資産の内容と金額を明らかにする
資産で内容がはっきりとしているのは「預金」だけではないでしょうか。「売掛金」は大口得意先については確かであっても、小口や取引回数が少ない得意先については案外不確かなことが多いです。「在庫(製品・商品)」のたな卸し(検数)が正確にできていないことがあります。「固定資産(減価償却)」は会計事務所に任せきりだと思います。「出資金」「保証金」は出金がずいぶん以前であることも多く、その存在にさえ気が付いていないことがあります。
念のため預金についても通帳や金融機関の報告書などと照らし合わせてください。決算書に反映されていない預金口座があるかもしれません。すでに解約している預金口座が計上されたままのことがあります。
◆不良資産の損失処理
不良資産とは貸借対照表に計上されている金額で回収や売却ができないものをいいます。資産の内容が明らかになったならば、不良資産をどんどん損失処理します。貸借対照表計上額を回収可能額や売却可能額まで減額します。結果として多額の損失(費用)が生じますが、倒産を意識するような状況ではもうこれ以上借りられないので金融機関の評価を意識する必要はありません。
◆負債を漏れなく把握する
金融機関からの借入金はともかくとして、それ以外の負債が計上されていないことがあります。放置している請求書を整理し処理をしてください。従業員の給料や公租公課(各種税金や社会労働保険料)も正確に把握し未払となっている分は負債として計上しなければなりません。
念のため金融機関からの借入金についても返済予定表などで確認してください。借入時や返済時の処理誤りで貸借対照表計上額が間違っていることがあります。
◆信用保証協会
信用保証協会は通常時はあまり意識することはありません。しかし、倒産となると信用保証協会と接触する機会が増えます。保証契約書や保証料の計算書を整理して、現状での保証の状況(どの金融機関の借入に保証を受けているのか)を明らかにしておく必要があります。
◆担保の状況
「抵当に入っている不動産」「誰が保証人になっているか」も非常に大切です。契約書などをもとに正確に把握しておく必要があります。
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★税務上認められない費用・損失に注意
「豪快」「爽快」に不良資産を処理した結果生じた損失の中には税務上認められないものもあります。遅れて計上した負債に対応する費用も同じです。税務上認められないとは、決算書では損失(費用)として利益を減額させる要素になるけれども、法人税の申告においては利益に加算して所得を計算するということです。しかし、倒産を意識するような状況では、もはや「どう転んでも」法人税は課税されないでしょうから心配は無用です。
★現状の資金繰り(収支)を把握する
資産と負債が明らかになったならば、次は資金繰りです。一年先くらいまでの入出金を把握し、払うべきものが払えるかの予測をします。倒産を意識するようになったら、会社の継続を前提とする「損益計算書」なんて無意味です。
★一発逆転!
「もうおしまいだ!」という段階になって、「特定の金融機関が融資をしてくれる(すでにリスケをしている場合は無理なことが多い)」「出資者(株主)が現れる」「会社あるいは一部の事業を譲渡できる」ということもあります。そのためにも、決して自暴自棄にならず「やるべきこと」、記帳と決算申告はしておく必要があるのです。「実態の掴めない会社」「実態を隠そうとする会社」「実態を歪曲する会社」を誰も助けてはくれません。
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出口 秀樹,片山 雅也,長峰 伸之,仲田 理華 | |
中央経済社 |