法人税の税務調査が行われ修正事項が発見された場合、修正申告書の提出だけでなく次のような手続や作業が必要となります。
◆追徴課税分の納付
当初申告分で不足する税額を修正申告書提出と同時に納付しなければなりません。この納付が遅れると延滞税がさらに増えます。
追徴課税分を納付した場合の勘定科目は「法人税・住民税及び事業税」です。追徴課税分については「未払法人税等」を計上していないからです。なお、本税のほか加算税と延滞税も「法人税・住民税及び事業税」で処理します。
追加課税分の納付が修正申告書を提出した事業年度中にできない場合には、その事業年度末に未納付部分について「未払法人税等」を計上しなければなりません。
◆修正事業年度の決算書を修正しない理由(株主総会の承認は覆らない)
例えば、第10期の決算書において売上計上が漏れている場合、第10期の修正申告書は提出しなければなりませんが第10期の決算書は修正しません。なぜこのようにするかといえば、決算書はすでに株主総会の承認によって確定しているので、税務署に修正事項を指摘されたからといって覆すことができないからです。
◆修正申告書を提出した事業年度の帳簿で仕訳が必要な場合
上記のとおり、ある事業年度の修正申告書を提出してもその事業年度の決算書(帳簿)は修正しません。しかし、修正申告書を「提出した事業年度」の帳簿では一定の仕訳をしてその事業年度の決算書に反映しなければならないことがあります。
例えば、次のようなケースです。
「減価償却を過大にしていた」
この場合、固定資産の帳簿価額を必要以上に減額しているわけですから、これを正しい額に修正しなければなりません。この修正仕訳を、修正申告書を提出した事業年度にします。
次のようなケースでも同様の修正仕訳が必要です。
「売上計上漏れ(計上遅れではない)の結果として売掛金が過少に計上されている」
「仕入の過大計上(早期計上ではない)の結果として買掛金が過大に計上されている」
【翌期認容の場合は仕訳不要】
修正申告をした事業年度では売上が漏れているけれども翌事業年度で売上計上されている(売上計上が遅れた)、修正申告をした事業年度では仕入計上は認められないが翌事業年度には認められる(仕入を早期計上していた)といった、いわゆる「翌期認容」の場合には仕訳は不要です。修正申告をした事業年度の誤りが翌事業年度には自動的に修正されているからです。ただし、このような場合にも修正申告書は提出しなければなりません(修正申告書で加算して翌年度の申告書で減算します)。
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修正申告書と決算書の関係は大変複雑で、法人税の修正申告を何度か経験した人でなければ理解できません。
修正申告書については調査官と打ち合わせのうえ作成しますので問題は生じませんが、決算書(帳簿)については自身の判断で処理しなければなりませんので注意が必要です。決算書(帳簿)で誤った処理をしてしまうと、「帳簿」「決算書」「申告書」の三者間の関係に矛盾が生じ収拾がつかなくなります。さらに、次回の税務調査の修正事項となってしまうこともあります。
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◆追徴課税分の納付
当初申告分で不足する税額を修正申告書提出と同時に納付しなければなりません。この納付が遅れると延滞税がさらに増えます。
追徴課税分を納付した場合の勘定科目は「法人税・住民税及び事業税」です。追徴課税分については「未払法人税等」を計上していないからです。なお、本税のほか加算税と延滞税も「法人税・住民税及び事業税」で処理します。
追加課税分の納付が修正申告書を提出した事業年度中にできない場合には、その事業年度末に未納付部分について「未払法人税等」を計上しなければなりません。
◆修正事業年度の決算書を修正しない理由(株主総会の承認は覆らない)
例えば、第10期の決算書において売上計上が漏れている場合、第10期の修正申告書は提出しなければなりませんが第10期の決算書は修正しません。なぜこのようにするかといえば、決算書はすでに株主総会の承認によって確定しているので、税務署に修正事項を指摘されたからといって覆すことができないからです。
◆修正申告書を提出した事業年度の帳簿で仕訳が必要な場合
上記のとおり、ある事業年度の修正申告書を提出してもその事業年度の決算書(帳簿)は修正しません。しかし、修正申告書を「提出した事業年度」の帳簿では一定の仕訳をしてその事業年度の決算書に反映しなければならないことがあります。
例えば、次のようなケースです。
「減価償却を過大にしていた」
この場合、固定資産の帳簿価額を必要以上に減額しているわけですから、これを正しい額に修正しなければなりません。この修正仕訳を、修正申告書を提出した事業年度にします。
次のようなケースでも同様の修正仕訳が必要です。
「売上計上漏れ(計上遅れではない)の結果として売掛金が過少に計上されている」
「仕入の過大計上(早期計上ではない)の結果として買掛金が過大に計上されている」
【翌期認容の場合は仕訳不要】
修正申告をした事業年度では売上が漏れているけれども翌事業年度で売上計上されている(売上計上が遅れた)、修正申告をした事業年度では仕入計上は認められないが翌事業年度には認められる(仕入を早期計上していた)といった、いわゆる「翌期認容」の場合には仕訳は不要です。修正申告をした事業年度の誤りが翌事業年度には自動的に修正されているからです。ただし、このような場合にも修正申告書は提出しなければなりません(修正申告書で加算して翌年度の申告書で減算します)。
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修正申告書と決算書の関係は大変複雑で、法人税の修正申告を何度か経験した人でなければ理解できません。
修正申告書については調査官と打ち合わせのうえ作成しますので問題は生じませんが、決算書(帳簿)については自身の判断で処理しなければなりませんので注意が必要です。決算書(帳簿)で誤った処理をしてしまうと、「帳簿」「決算書」「申告書」の三者間の関係に矛盾が生じ収拾がつかなくなります。さらに、次回の税務調査の修正事項となってしまうこともあります。
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