【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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年末調整って、何をするの?

2015-12-03 11:30:00 | 源泉徴収と年末調整
今年もいよいよ年末調整が始まりました。年末調整の担当者の方は、続々と回収されてくる扶養控除等申告書と保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書にため息をつかれていることでしょう。特に年末調整の作業を初めてする方は、個々の作業の目的や意味が理解できずに右往左往してしまうものです。

■年末調整は個々の従業員の税金を会社が計算する
これが大前提です。源泉徴収した税金を納めるのも年末調整の作業をするのも会社ですが、計算の対象は個々の従業員です。「自分(従業員)の税金は自分で計算してほしい!(計算したい!)」と思えるでしょうが、従業員の税金を計算するのは会社なのです。従業員が計算して会社や会社に報告するのではありません。この仕組みは我が国の税制の基幹のひとつですのでこれに逆らうことはできません。

■年末調整では国税(所得税)を計算する
サラリーマンの給料や賞与には国税と地方税が課税されますが、年末調整の対象になるのは国税である所得税です。地方税の計算は、会社からの年末調整の結果報告を受けた各従業員の住所地の市町村が行います。国税である所得税と地方税である住民税は計算プロセスの多くが共通しているので、市町村は年末調整の結果から計算することができるのです。

■年末調整をしなければ従業員の税額は確定しない(源泉徴収額との精算)
従業員の税額は年末調整をしなければ確定しません。給料や賞与を支払う都度に源泉徴収している税額は仮の税額にすぎません。その仮の税額を精算するのが年末調整です。

■税額は1年単位で計算される
給料や賞与に課税される所得税は暦年という1年間を単位に計算されます(1年間の合計額に課税されます)。ですから、1年が終了する年末にならなければ税額を確定することができないのです。

■給与台帳の整備が年末調整の第一歩
年末調整といえば「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」、つまり所得控除(配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除など)に目を奪われがちですが、最初に必要となるのは給与台帳です。給与台帳とは各従業員に支払った給料と賞与の記録です。給料と賞与を支払った都度記録し、最終的には年額(1月から12月)を集計しなければなりません。

■給与計算ソフトを活用する
給与計算ソフトは給料や賞与の手取り額の計算や明細書の発行だけでなく年末調整作業もできます。従業員数が多く、さらに毎月の給料が変動する者が多い場合には是非とも給与計算ソフトを活用すべきです。ただし、給与計算ソフトは毎年バージョンアップをしなければ使い物になりません。バージョンアップの料金は年間数万円であることが多く、従業員数が少ない会社には負担が大きいです。

■会社全体での集計
年末調整作業は基本的には個々の従業員の税額の計算作業ですが、源泉所得税の納付書や法定調書合計表など、会社全体としての給料や税額を集計しなければならないこともあります。

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★個々人の税額計算は年内の最終給料日までにしなければならない
これがつらいところです。年内最後の給料を支払う際に、各従業員の最終的な年税額を計算して、それまでの給料や賞与から源泉徴収してきた税額との差額を精算しなければならないのです。「給与台帳」なんてあるのが当たり前です。「源泉徴収した税額の納付」「給与支払報告書(市町村への報告)」「法定調書合計表(税務署への年末調整の結果を要約した報告)」なんて考えている余裕などありません。回収した扶養控除等申告書と保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書とその添付書類に食らいつく毎日です。