【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

会計ソフトか?丸投げか?

2014-06-28 10:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
中小零細企業向け会計ソフトの売れ行きも以前ほどの勢いは失われ、「丸投げ」という選択が会計ソフトに替わって徐々に広がりつつあるようです。丸投げとは、文字通り、帳簿付けから決算申告までの全てを会計事務所に依頼するという方法です。依頼者が用意するのは「預金通帳」「請求書(請求した分と請求された分)」「領収書」など、記帳と決算申告の基となる資料です。

丸投げは楽です。依頼者側ではPCでの入力作業は当然として、「切る」「綴じる」「貼る」という事務作業は一切不要です。「必要書類を残す」だけでいいのです。あとは会計事務所が「つなぎ合わせて」くれます。

会計ソフトのセールストークは「簡単」「誰でもできる」ですが、それは入力をはじめとした操作方法のことであり、実際に会計ソフトを使いこなすには(会計ソフトが算出した数値を理解するには)、一定水準以上の簿記会計の知識が必要です。最近では、この会計ソフトを使いこなすための資質についての情報が豊富で、会計ソフトの導入に失敗することのリスクを認識している人が増えつつあります。かつてのように会計ソフトに「飛び付く」時代ではなくなりました。

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しかし、丸投げには次のような致命的欠陥があります。

●必要書類の入手漏れや紛失
当然のこととして必要書類の入手漏れや紛失をした場合にはどうにもなりません。

●資料だけでは会計事務所が事実関係を把握できない
預金通帳に表示される個々の入出金の中には、「入出金の理由」が表示されないものが数多くあります。領収書の中には支払の内容が明示されていないものもあります。これでは帳簿に記入することはできません。

「(会計事務所なら)適当に済ませる方法を知っているのでしょ?」

確かに、ある程度は「推定」できます。しかし、それにも限度があります。

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会計ソフトには簿記会計の知識が必要で、丸投げには大きなリスクがあります。そこで、会計事務所に依頼する場合には、下記の専門知識がなくても作成できる帳簿は会計事務所に教えてもらいながら依頼者が作成するという方法が主流となっているのです。

金銭出納帳(現金出納帳)
預金出納帳(銀行帳)
売上一覧表(月々の得意先別の販売額と代金回収額が分かる資料)
仕入一覧表(月々の仕入先別の仕入額と支払額が分かる資料)

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ただし、丸投げが可能なケースもあります。入出金のパターンも決まっており、しかも件数が少ない場合です。また、多少のリスク(税務調査での追徴課税)は許容する場合も丸投げは可能です。どうしても自分では金銭出納帳などを用意できないという場合には会計事務所に相談するのも一法です。