この模型の上刃の長さは10センチほどありますから、実物の7ミリの10倍以上
ですね。そして黒い板を平やすりに見立てています。丸やすりもベベルやすりも長
さ分を最大まで使って一方向への押し研ぎが基本です。しかし、平やすりでは約1
センチほどのストロークを繰り返す特殊な研ぎ方をします。それは、やすりの目が
前後に利くためですが、7ミリほどの刃に1センチの動きですから完全な直線研ぎ
が容易になるからです。つまり、上刃の直線をキープしながらメッキ部が復活する
ポイントまで確認しながらゆったり研ぐことで刃の減りを最低限に抑え、最も肝心
なカッテイングコーナーの鋭角が蘇る目立てが誰にでも確実に出来るのです。
では、ベベルやすり(六角)を用いるとどうなるか?と言いますと、カッテイング
コーナーが容易に蘇るのは同じですが、押し出しが長いために上刃の正確な直線を
出すのは困難で、研ぐほどに切れない刃になるし、目が粗いために削り過ぎとなり
やすく早々に刃が短くなってしまいます。最大の問題は、2千円ほどと高価である
ことです。ソーチェンは3千円程度ですから、例えば3本程度の目立てで効果が低
下するなら価値は低いとなる訳です。その点、高級なツボサンの平やすりは600
円から800円ほどですし、小さなストロークでは目の傷み面も最低で済み、3倍
は持つことになります。
しかも、油目で仕上げるなら、新品レベルの刃が生まれる利点もあります。このよう
に、平やすりなら誰でも熟練者に負けない目立てが可能となることを見出したもので
あり、世界中にこの目立て法を広めたいと考えこのブログを始めました。
また、それでは横刃は?となりますが、当然上刃を研磨して若干の段差が生じた時
に丸やすりで整えます。上刃には関係ないために2,3度シュシュッと押すだけで
十分です。この目立て法はチゼル、セミチゼル共に用いても問題ありません。例え
ばセミチゼルにベベルやすりで研ぐと切れ味が速攻で蘇ると評判ですが、あまりに
も三角のカッテイングコーナーの鋭角がきついためにキックバックの可能性が高まり危険
です。平やすりでは極端な尖りとはなりませんし、丸やすりで整える目立ては新品
時の刃の形状が維持されます。