言葉の旅～猫と犬～

先週の世界ふしぎ発見で猫のことをやっていましたね。

世界の言葉でいう「猫」、そして「犬」、鳴き声との関係に思いをはせてみました。

まず猫。
「猫」という漢字のなりたちについて。ずばり鳴き声からきていて、「苗」が鳴き声を表している。現代中国語では「猫」は「māo マオ」と言い、鳴き声を表すときは口へんの「喵」（miāo ミアオ）と区別している。
沖縄方言で猫は「まやー」と言う。鳴き声に由来するという説や中国語に由来するという説があるが、どっちみち鳴き声由来と言える。「まやー」とよく似ているのがスペイン語で「（猫が）ニャーと鳴く」という動詞「mayar」（マヤール）、「maullar」（マウヤール）。猫の鳴き声のオノマトペに由来する動詞に違いない。

「犬」を西洋の言語で言うと
イタリア語:cane（カーネ）
フランス語:chien（シエン）
ポルトガル語:（カオン）
ガリシア語:can（カン）
カタルーニャ語:ca（カ）
ドイツ語:Hund（フント）
そして英語のhound（ハウンド）「猟犬」も同系。
グリムの法則によればロマンス諸語（ラテン系）の/k/(c)がゲルマン諸語の/h/に対応するため、これらすべて同じ語源。そしてこれら（特にラテン系言語）は漢字の「犬」の字音（日本語「けん」、中国語「quǎn チュアン」）に似ている点が興味深い。ただし、現代中国語では「狗」（ゴウ）と言うことが多い。ちなみにスペイン語で「犬」はperro（ペロ）で、同じラテン系でもなぜか全然違う。あと、ドイツ語以外のゲルマン系でもおおむねhundだから、英語のdogっていうのもゲルマン系としては特殊といえる。
エジプト、ギリシャ、メソポタミアでは古代から犬が飼われていて、それから世界に広まった。犬が世界各地に広まると同時にその動物を指す単語まで伝わっていったのかしら？
「犬小屋」のことを英語でkennel（ケネル）と言い、これもラテン系の言語で犬を意味する語に由来する。那覇市天久の国道58号線沿いに「Kennel / 犬寝る」と書かれた看板がある。犬小屋はまさに犬が寝る所。当て字で意味が通るぐらいだから、やっぱり似てるなって感じる。

さて、ここからは「猫」、「犬」という名前がついた食べ物の話。

日本語で「猫舌」といえば熱い食べ物や飲み物が苦手なことだが、フランス語で「猫の舌」を意味する「ラング・ド・シャ（langue de chat）」は薄い小麦粉の生地にチョコレートやクリームなどをはさんだお菓子。ウィキペディアで「ラング・ド・シャ」を調べたら、本来は「猫の舌」の名の通り細長い楕円形のものらしく、同じような生地が使われててまんまるの物から四角い形をしたもの（「白い恋人」が有名）までラング・ド・シャと呼ばれるが、そういう形のまでラング・ド・シャというのは日本だけかもしれない。フランスのラング・ド・シャとは形などが多少異なるが、それぞれの言語で「猫の舌」と呼ばれるお菓子はヨーロッパ各地で見られる。英語版ウィキペディアでのページ名は「cat tongue」となっている。日本ではフランス式のラング・ド・シャだけが広く知られていて、他はなじみがない。

ホットドッグといえば、普通ソーセージをパンにはさんだ料理、あとアメリカンドッグもこの類に入るけど、英語の「hot dog」はパンにはさんだものとソーセージ単体の両方を指す（こういうもの多いね。Hamburgerも日本語で言うハンバーグをも指すし）。
さて、ホットドッグの起源はというと、ドイツのソーセージ「フランクフルト」をアメリカでドイツ原産の犬ダックスフントに似ていることから「Dachshund（ダックスフント）」という商品名で発売したことに端を発する（ホットドッグ - 語源由来辞典）。のちに「hot dog」（熱い犬）という名前で、多くはパンにはさまれて売られるようになった。一応ソーセージ単体でも「hot dog」と言うけど、それだと他にも言い方があるから（sausage、Frankfurt、frankなど）、どっちかといえばパンにはさまれたものでしょうね。
日本語を含め多くの言語で英語の「hot dog（ホットドッグ）」をそのまま用いるが、スペイン語では「perro caliente（ペロ・カリエンテ）」、中国語では「熱狗（ジュゥゴウ）」というふうに、「hot dog」を直訳した言葉で言う。

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