しかし、ウィキペディアの「炒め物」という項目の英語版「Stir-frying」の記事本文の冒頭で中国語の「炒(chao)」が併記されていて、その項目の言語間リンクを見ると言語によっては「Chao」というページ名になっていたので、炒めるという調理法は本来中国のものなのかしらと思って、いろいろ調べてみました。
伝統的な和食(純和風料理)に炒め物がほとんどないのは、炒めるという調理法が中国から伝わったもので、日本には本来なかったかららしい。
英語で「炒める」は「stir-fry(スターフライ)」と言うが、本来中華鍋を使って炒めるという意味で、中華料理の調理法というイメージがある言葉らしい。
日本人は「揚げる」だけが「fry」と思いがちだが、英語のfryは「油で調理する」という意味で「揚げる」の他「炒める」、「焼く」という意味でも使われる。より具体的な調理法を示す言い方もあって、「炒める」は「stir-fry」だが「油で調理する」ということだけを伝えたい時は単に「fry」で良い。「Pan-fry」は「フライパンで炒める/焼く」。「揚げる」は「deep-fry(ディープフライ)」だが、これも油で調理するということだけを伝えたい時は単に「fry」で良い。
「フライパン(frypan/frying pan)」は油で調理(炒めたり焼いたり)するための鍋だからそう呼ばれている。
英語で「炒める」という表現は他に「sauté(ソウテイ)」がある。これはフランス語からの外来語でフランス語では動詞の原形は「sauter(ソテー)」、動詞の過去分詞形及び名詞は「sauté(ソテー)」だが、英語では動詞も「sauté」とつづる。「Stir-fry」が主に中華料理をはじめアジア系の料理を作る際の「炒める」に使われるのに対して、「sauté」は主に西洋料理を作る際の「炒める」(場合によっては「焼く」)に使われる。油を使うので「sauté」を「fry」に言い換えることも可能だろう。
フランス語では英語のstir-fryの意味にも「sauter」が使われ、どこの国の料理かを問わず広く「炒める」という意味で「sauter」が使われるようである。
英語では例えば、スパゲッティを炒める場合はsauté、ひき肉を炒める場合はコロッケに入れるひき肉ならsauté、麻婆豆腐のひき肉ならstir-fry、沖縄料理のチャンプルーを作る時の炒めるはstir-fryを使えば良いだろう。
カレーに入れるじゃがいも、玉ねぎ、人参を炒めるという時は、カレーがインド料理、つまりアジアの料理ではあるけど、バターやマーガリンで炒めることが多いから、sautéかな?
日本語の「炒める」と「焼く」は若干かぶる場合もある。炒めて作るものであっても焼きそば、焼き飯、焼きビーフンなど「焼き」って付くものけっこうあるね。
伝統的な和食に炒め物はあまりないが、日本の中でも沖縄は中国の影響を受けて「チャンプルー」という炒め料理が発達している。
調理器具売り場でフライパンに似た「いため鍋/炒め鍋」なるものも見かける。フライパンは大きいもので26cmで、28cmのものは「炒め鍋」として売られていることが多い。炒め鍋と区別しているかは知らないけど28cmのもので「深型フライパン」と書かれていることもある。品名に英語表記がある商品では、炒め鍋はフライパンと同じ「frying pan」と書かれているのもあれば、中華鍋を意味する「wok」と書かれているのもある。炒め鍋のパッケージに中華料理の写真が載っていることが多いし、炒め鍋は中華料理向けの調理器具らしい。フライパン風にアレンジした中華鍋って感じね。
英語でもsautéというフランス語からの外来語を使うから、イギリスにはもともと炒めるという調理法はなく、フランスから伝わったのかもしれないね。
「炒める」という調理法は古代、地域限定のものだったらしいね。
コメント一覧
最新の画像もっと見る
最近の「言語・語学」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事