娘と息子は、仲良し兄弟だ。
山登りが趣味の新社会人、楽。
浪人を経てなんとか大学生になれた、善。
ふたりは3歳違い。
昨日も善は、楽の一人暮らしの部屋に泊まりに行かせてもらった。
次の日が1限目からなので、
大学に近い楽の部屋が断然便利なのだ。
弟が泊まりにくると、姉は張り切る。
洋食屋さんでごちそうしてあげたり、
手作り料理を振舞ってあげたり。
思えば、小さいころから仲良し兄弟だった。
善は楽に一目置いていて、
楽の言いつけにはちゃんと従った。
楽は善を可愛がっていて、
あれやこれやと世話を焼いていた。
3歳違いだと喧嘩をよくするものだけど、
楽と善は、喧嘩をしない。
善が一方的に叱られていることはあったけれど。
善が生まれたときから、
楽は張り切ってお姉ちゃんらしさを発揮していた。
病院の大部屋で、赤ちゃん善を抱っこしていると、
楽が駆け込んできた。
「あんなあ、名前決めたで~!いたずらっこっぽいから、バイキンマン!」
「ええ。やだなあ、それ」
「じゃあ、新しいの考えてくる」
大部屋のみんなが笑っていた。
3歳の楽と、赤ちゃん善が家の2階で遊んでいる。
善の笑い声がゲラゲラ聞こえるけど、何をしているんだろう。
不思議に思って、そっと見に行った。
おたふく風邪で膨らんだ顔で、面白いポーズをきめている楽がいた。
身体全体で、善を笑わせようとしている模様。
善は笑いすぎて、背中からどてんと転がってしまう。
それを楽がよいしょと優しく戻してあげては、
また笑わせる。ゲラゲラゲラ。背中からどてん。
ずっと繰り返している。
小学校のときは、二人そろって悪ガキだった。
二人ともしょっちゅう校長室に呼ばれて𠮟られる。
善が喧嘩した、楽がいたずらした。
すると私も呼ばれて校長室へ。
「お母さん、今日は午前中に娘さん、午後に息子さんが来ましたよ。
ふたりとも常連さんですね」
そんな二人を可愛がってくれる、とてもやさしい校長先生だった。
浪人生だったころの善は、
精神的に落ち込むことが多かった。
一人部屋にこもって、生気のない顔をして。
おとんが説得しても、おかんがおろおろしても、
部屋にこもって反応を見せない善。
そこで、登場するのが、楽。
善の部屋に入っていって、数時間かけて話し合ってくれた。
すると、善は、少し元気になって部屋からでてくる。
善は、楽の言うことにはいつも耳を傾ける。
頼りになる楽。
これからも兄弟助け合っていってね。
おかんは二人を見ていると
なんだか幸せな気持ちになってくる。
7月4日 おかん
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