小川国夫の本は全く読んだことがない。彼はフランスに留学しクリスチャンであり、故郷の藤枝に住み執筆活動をしていた事ぐらいしか知らない。新聞の紹介蘭で”銀の月”を知り読んでみた。地味な書き方であるが夫が亡くなって越し方を振り返り、その思いが清新な筆致で静かに綴られています。始まりは他人どうし出会って好きになり結婚し、甘えたり拗ねたり、怒ったり涙したりした日々。やがて務めるようになり、許すようになり、すべてを受け入れるようになった永い年月…と彼女は書いています。私には結婚するまでの困難(親の反対)がここに加わるが同じような年月であったと懐かしく思う。高ぶる感情を抑え、静かに語られる回想録は美くしく、ご主人の”ぬくもり”を求めた想いが度々語られるが、胸が痛くなった。第七回小島信夫文学賞・特別賞を受賞。
当市M大社から西へ100メートルの本町大通りに野々山紙店はあります。三姉妹が先代から引継ぎ経営している。此処ではいろいろな種類の紙製品が見つかります。各種カードは勿論、トラディショナルな和紙や神仏用紙、結い納品一式など。私は和とじ帳の半紙や表紙のための柄付き和紙を購入している。三姉妹の長女の方がそれは、それは達筆で結い納品のお品書きなど要望があれば書いて頂ける。今、また復古調で結い納品一式の注文があるといっていました。、私が余り紙で作った”吟行帳”を差し上げたら大変喜んで、ショゥ・ウインドゥへ飾ってくださった。早速撮りに行って来た。手前の金色の縦長の小さな和とじノートです(ガラスに反射しておかしな写真ですが)。お店の張り紙も勿体無いような達筆で書かれています。こんな田舎の街に古くからの紙専門店がある、M大社の歴史と共にあるのでしょう。