有名なクリムトの”Kiss”が表紙の第一巻は本当に衝撃的であった。第二巻はご覧のようにやはりクリムトの"Girl in White"。光源氏が明石の”エグザイル”から戻って地位も磐石、男盛りの三十代が第二巻です。美しい姫が居れば馳せ参じて次々に新御殿に住まわせまめに面倒を見る…変わらぬプリンス・ゲンジです。難しい解釈を易しい少女小説を読む如くに誘われて読んでしまうから可笑しくなります。アーサー・ウェイリーはケンブリッチ大学の古典学科を卒業し中国語と日本語に興味を持ち独学で学び日本へは来た事がなかったと言うのですから驚きます。御簾内は”カーテン・オブ・ステイ”硯を”インク石”、藤袴は”ブルー・トラウザース”などと訳しているらしいから彼の理解度は高いと思う。一度日本を見て欲しかったとつくづく思う。