
世界的に猛威を振るっているウイルス、外出自粛こんな時こそ、イタリアのある学者が「古典を読みなさい」とメッセージを発信していた。”狭き門”は高校に通う電車の中で読んだ。中途半端なラブストーリーと思っただけだった。しかし歳を重ね経験を積んだ今、アリサが恋愛をする中でプロテスタントとしての信仰に強く引き付けられていき、アリサの振る舞いにイライラしていた高校生時代、それを私は理解できなかった。相思相愛でもアリサは”清らかさ”を求めジェロームを苦しめる。しかしそれはアリサも生身の恋と信仰としての神への愛の間で大いに揺れ、自らも苦しんでいる時だった。「汝のもてる物をことごとく売りて、貧しき者に分かち与えよ」「神さまあの人を私から救うため、私が消えなければならないとしたら、どうかそのようにしてください」などとアリサの強い信仰心が成就する。イエスの言った”狭い戸口から入るように努めなさい”クリスチャンではないけれど、解る。