球根を植えて2年目のムスカリが綺麗です。いつか娘がムスカリの花束を買ったらとてもいい匂いがしたと言っていました。ムスカリはギリシャ語のムスク(麝香)からきているそうです。麝香は香料で漢方薬の一種ですからそんな香りでしょうか。爽やかとは言えませんが、個性のある、ヨーロッパの香りです。青紫が大人の色で素敵ですね。
BS、NHKで京都大原に住むイギリス人女性ベニシアさんの拘りの生活”猫のしっぽカエルの手”が放映されています。100年もたつ古民家で自然を大切にした生活は今の私達の憧れです。其処へ友達として登場した人がこの本の著者千松信也さん。京都大学文学部を卒業して猟師になった、興味が湧きました。銃を使わない猟師、いろいろ葛藤はあったけれど猟師の美学を追及している人だと思った。捕獲すれば捌かなくてはなりません。彼は丁寧に綺麗に捌いて行きます。動物に対しても礼儀だと言ってすべての部位を無駄なく食す。自然の恵みに感謝して身の程だけの獲物を頂く。大変な肉体労働の中に猟師としての哲学もあります。罠を仕掛けてからの見回りの様子などスリルがあり面白かった。残酷だと思う人もいるでしょう。しかし彼の猟師としての美学、哲学がそれを超越していると私は感じました。狩猟の文化も廃れている今日、自然とのバランスをとりつつ伝えて行って欲しいものです。
昨年の夏娘一家とデンマーク、スウェーデンを訪ねました。スウェーデンはリンドグレーンの「長靴下のピッピ」の郷です。ノーベル賞の授与式が行われるコンサート・ホールの前のヒョートリエット市場、骨董市場で娘はボロボロの「長靴下のピッピ」のスウェーデン語版を手に入れました。1965年出版。出版社はストックホルムのBABENA&SJOGRENらしい。表紙は本体から剥がれ途中2,3ページも剥がれていました。しかし文庫本タイプで可愛い本です。私に修復して貰えると考えたそうです。製本教室のT先生に教えて頂き立派に纏まりました。読めるようになるのは何時でしょう。
この包装紙見た事ありませんか。1960年代の西武デパートの包み紙です。娘はイギリスでミッド・センチュリーの骨董に興味を持ち、帰国後学習に余念がありません。西武デパートの包装紙が1900年半ば頃、名を馳せたスウェーデンのデザイナー、スティグ・リンドベリのものである事を知って私の家で見たことがあると言って来ました。納戸を探したら洋裁の型紙の中から見つけた。よく見るとデパートで売られている色々なアイテムを図案化したもので自由な発想で楽しい遊び心、北欧らしい雰囲気に溢れています。当時は全く知らなかったし図柄を気にしてみる事もなかった。リンドベリは1982年66歳で亡くなっているがテーブル・ウエアや手書きのセラミックなど温かみのある可愛い作品を残しています。西武が如何にして北欧のデザイナーに眼をつけたか…。社史を紐解けば明らかでしょう。折りしも有楽町の西武デパートが閉店と聞いたが、包装紙にも拘りを持っていた会社が勢いが無くなって行くなんて寂しい…。
結婚前、夫と鎌倉へ遊びに行った。もう半世紀も前の事です。とある小さな鎌倉彫の工房に立ち寄り、私にプレゼントしてくれた直径7㎝ほどの小さな手鏡。私は古典的な柄の物が欲しかったのですが、彼は雰囲気が私に似ている(?)と言って…任せました。先日、娘が50年も前によくこんな現代的な柄の鎌倉彫があったと言って驚いています。言われてみればそうです。若い人にも鎌倉彫を…と言う波が立ち始めた頃と思います。彫りは簡単な柄ですが色も綺麗で確かな作りです。娘の推薦でここに載せて見ました。
チェーホフ生誕150年記念企画で未知谷から出版されたチェーホフ・コレクションの一冊「黒衣の修道僧」を読んだ。”大人も愉しめる瀟洒な絵本”のキャッチフレーズに捕まり買ってしまった。これは幻想的な物語、文学修士のゴヴリンは精神的に疲れていたが彼の前に現れる幻の修道僧と宗教や哲学の話をする事で元気になる。家族愛に包まれながらもそれは狂気、誇大妄想へと進み破滅の道へ。この過程が良く書かれていてぐいぐい引き込まれた。これは訳者の文学的な素養も大きいと思う。幻想的な物語ですが読後、納得し肯定出来る思いが湧きました。それはゴヴリンの死顔に微笑が浮かんでいたと終わりに書かれていたからです。
コレクションと謳っているだけあってカヴァーを外した表紙は布張りで上等です。”大人も愉しめる瀟洒な絵本”は正にその通りだった。
コレクションと謳っているだけあってカヴァーを外した表紙は布張りで上等です。”大人も愉しめる瀟洒な絵本”は正にその通りだった。
映画を観て来た。期待はしていなかったが原作の深みはなく失望しました。やはり活字から得られる想像の世界や考え探求などに全く及ばなかった。太宰治が何を引きずって絶えず苦しんで生きていたか、もっと掘り下げて欲しかった。でもジャニーズの主演男優や画家である太宰治では…仕様がない。
三島由紀夫が太宰治との束の間の出会いを「私の遍歴時代」に書いているがこれが面白い。世の中を斜めに見る事では同類の二人、三島由紀夫は徹底して太宰を嫌っています。「太宰の書く自己戯画化は生来最も嫌いなものであったし作品の裏にちらつく文壇意識や笈を負って上京した少年の田舎くさい野心の如きものは最もやりきれないものである」と言っています。才能は認めるが生理的に反撥を感じるそうです。「斜陽」の中の戦前の旧華族階級の生活習慣や言葉使いはでたらめでイヤ気がさしたとも…。伊勢谷友介は完全に主演男優を食っていたし寺島しのぶ、室井滋、大楠道代などの老練なバイプレーヤーが良かった。
太宰が当地三島市に滞在中書いたと言う「漁服記」は私の好きな一つ。短編の名手太宰治、やはり本で読むのがいい。
三島由紀夫が太宰治との束の間の出会いを「私の遍歴時代」に書いているがこれが面白い。世の中を斜めに見る事では同類の二人、三島由紀夫は徹底して太宰を嫌っています。「太宰の書く自己戯画化は生来最も嫌いなものであったし作品の裏にちらつく文壇意識や笈を負って上京した少年の田舎くさい野心の如きものは最もやりきれないものである」と言っています。才能は認めるが生理的に反撥を感じるそうです。「斜陽」の中の戦前の旧華族階級の生活習慣や言葉使いはでたらめでイヤ気がさしたとも…。伊勢谷友介は完全に主演男優を食っていたし寺島しのぶ、室井滋、大楠道代などの老練なバイプレーヤーが良かった。
太宰が当地三島市に滞在中書いたと言う「漁服記」は私の好きな一つ。短編の名手太宰治、やはり本で読むのがいい。
ロンドン滞在中、娘は毎朝アンティーク・マーケットのパトロールに精を出したお陰でスージー・クーパーの”ドレスデン”を手に入れました。日本でもフアンは多く高価です。ロンドンの郊外の田舎町にはまだこうした貴重なアンティークがマーケットに無造作に出るのですね。驚きです。スージー・クーパーは1900年代に活躍したイギリスの陶磁器デザイナーです。生まれ育ったのはスタッフォードシャー、ストーク・オン・トレント。中世以来イギリス最大の陶郷で「スポード」「ミントン」「ウエッジウッド」「ロイヤルドルトン」など有名陶磁器メーカーが集中しています。彼女は15歳の時、陶磁器の装飾をするグレイ社に入社した。これがスタートだったのです。デザイナーとしての才能が炸裂し27歳で独立、翌年スージー・クーパー・ポテリーが誕生しました。沢山のシリーズがありますが、アールデコ風、大正ロマン風で何処か懐かしさを感じる、日本で人気があるのも解ります。大切な一客を娘は私に…。
イギリスのアンティークのティーセットを貰いました。イギリスのヨークシャー地方ホーンジーの小さな陶器メーカー、柄の凸凹が特色だそうです。このティーセットはホーンジー・フロォー(Hornsea Fleur)という1970年頃の物で乳白色に黄色とうす緑の花柄。この柔らかい優しい雰囲気はデザイナーが北欧へ研修に行き影響を受けたらしい。1988年会社は閉鎖されてしまったので、今やコレクタブルアイテムとなっているのです。娘は住んでいたブロムリーや隣り街チャタートンのアンティーク・マーケットを走り回って手に入れたと言っています。使ってこそのアンティーク、ティータイムが楽しみです。
残り物を集めたスパゲッティ、立派なランチになりました。何方かのポルトガル土産のオイルサーディン、冷凍してあった残りトマトのソース、オリーブの浅漬け、みんな残り物です。ペペロンチーノのスパイス・ミックスを少々使いました。オイルサーディンはレモンをかけオリーブオイルで焼き付けた。トッピングはスウェ-デン産の似非キャビア。放ってあったサーディンがとても旨味があり美味しかった。レモンのお蔭で臭くないのです。ポルトガル産だから…?