岡山大学PRTimes情報データ保管庫

国立大学法人岡山大学の情報発信サイトのひとつである「PRTimes」の情報データ保管ブログ

「岡山大学 J-PEAKS MONTHLY DIGEST」Vol.10刊行~「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に関連する岡山大学の社会変革の取り組みなどを月刊で発信!~

2025-03-06 00:49:44 | 研究全般

2025(令和7)年 3月 5日
国立大学法人岡山大学

https://www.okayama-u.ac.jp/

 


◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)は、2023年12月22日に文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」(実施主体:日本学術振興会)に採択されました。本事業はこれまでにない規模の大型の大学支援事業(1件あたり約5年間で55億円)であり、我が国全体の研究力の発展等を牽引する研究大学群を形成するものです。


 岡山大学では、岡山大学長期ビジョン2050「地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学」の実現に向け、J-PEAKSの趣旨に共感し、これを活用するとともに、さまざまなステークホルダーとともに研究力強化・イノベーション創出戦略を強力に推進しています。


 これらの取り組みを中心とした本学の活動状況をタイムリーにお知らせする「岡山大学J-PEAKS MONTHLY DIGEST」の第10号を発行しました。


 本号では、前号に引き続きJ-PEAKSの取り組みに深く関係するトピックスについて紹介しています。
 また巻末には、「イチオシの研究設備」としてペプチドシーケンサーの共同利用について取り上げています。


 岡山大学はJ-PEAKSにおいて、単に研究開発拠点を築くだけではなく、地域の中核大学として、我が国を代表する研究大学群として矜持ある歩みを続けるため、“常識”にとらわれない大学法人全体の組織・制度改革を実行しています。この改革こそが従来の「学内の一部の組織だけが汗を流す改革」や「“国立大学法人”ではなく、狭い“大学”の枠組みでしか捉えなかった改革」とは異なる点ともいえます。そのため、これらの法人全体の組織・制度改革などについても併せて掲載しており、採択⼤学間に共通する課題について、好事例・ノウハウ等を共有する一助となればと考え、「岡山大学J-PEAKS MONTHLY DIGEST」を刊行しています。岡山大学のみならず、「世界に誇れる研究大学の山脈(PEAKS)」を築きあげようとする挑戦に、どうぞご期待ください。

 

 本件は、2025年2月10日に岡山大学から公開されました。

 

 

○岡山大学研究・イノベーション共創管理統括部産学連携課の阿部純一課長のコメント
 J-PEAKSの取り組みは多岐にわたっていますが、「取組2」では「①規制緩和」、「②新医療技術開発」、「③まち・仕事・暮らし変革」という3つのテーマを掲げ、地域の中核研究大学として産業界とともにイノベーションを創出し、地域課題を解決し、Well-Being社会を実現することを目指しています。
 このうち「③まち・仕事・暮らし変革」においては、関係自治体等が抱える地域課題をDXの力で解決し、安全・安心・便利な暮らし改革をアカデミアの知の協働により実現することを目指します。具体的には、農業・林業・物流・移動のDX化など、技術開発を通じて地域住民が真に必要とするサービスを提供し、安心・安全かつ快適な生活環境を創成することに取り組んでいます。
 今回は林業DXに焦点を当て、地上移動ロボットとドローンを用いて点群データを収集し、山林資源を可視化することにより、森林資源の価値向上と地域産業の発展を目指す取り組みについて紹介しています。是非ご一読ください。

 

 

・「岡山大学J-PEAKS MONTHLY DIGEST」を下記からぜひご覧ください。

 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/profile/jpeaks_digest.html

 

<掲載Topics>
①山林資源の可視化で地域課題解決に挑む
②那須保友学長が文部科学省主催シンポジウムに登壇 J-PEAKSでの本学の挑戦を紹介
③本学卒業生がスタートアップという環境の面白さを紹介するイベントを開催
④ついにできた!常温・可視光でアルカンから水素を取り出す触媒を開発
⑤岡山大学起業部が学生の起業の可能性を広げるためのイベント「年末感謝祭」を開催
⑥「デジタル革新~ものづくり研究・技術の最前線~」を岡山理科大学と共同開催~ものづくりにおけるデジタル技術活用事例を紹介~
⑦冨樫庸介教授(医)が第7回日本医療研究開発大賞「日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞」を受賞
⑧岡山大学次世代研究者挑戦的研究プログラム(OI-SPRING)認定者が「吉備学会」で産学連携研究について発表
⑨おかやまデジタルイノベーション創出プラットフォーム OI-Startの会員数が100機関を突破!
⑩岡山大学病院のロボット支援肝胆膵外科手術が300例に到達~ロボット支援膵頭十二指腸切除術100例、ロボット支援肝切除術100例実施~
⑪イネのケイ素吸収を制御する長距離シグナルタンパク質を発見!ケイ素蓄積を増やし、ストレスに強い作物に期待
イチオシの研究設備「ペプチドシーケンサー(島津 PPSQ-31A型)」

 

 

ペプチドシーケンサー

 

 

 <地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)採択時プレスリリース>

 https://prtimes.jp/a/?f=d72793-2346-37b55a2c99cd63aeb51f4023cb9e2835.pdf

  <地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)における岡山大学の取組概要(JSPS公表)>

 https://prtimes.jp/a/?f=d72793-2192-a81e02b7f193b28a1198d950b22037fd.pdf

 

 

◆参 考
・岡山大学ビジョン3.0・岡山大学長期ビジョン2050

 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/profile/ou-vision.html

 

 

◆参考情報1

・【岡山大学】「岡山大学最重点研究分野」を制定~地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学を実現するために~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001601.000072793.html

・【岡山大学】文部科学省「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」採択と今後の取組概要について

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001451.000072793.html

・【岡山大学】「岡山大学研究力・イノベーション創出強化実現会議」を設置・始動~矜持とスピード感を持って社会変革を実現する研究大学を目指し、司令塔機能を一本化~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001788.000072793.html

・【岡山大学】岡山大学長期ビジョン2050をより確実に実現させ、社会変革を起こす”力”がある研究大学:岡山大学を目指して「岡山大学研究ポリシー」を改正

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001798.000072793.html

・【岡山大学】岡山大学4研究所が「高等先鋭研究院」として始動 ~組織としての「箱」ではなく、卓越、イノベーション創出、流動、育成を兼ね揃えた「システム」として運用を開始~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001835.000072793.html

・【岡山大学】文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html

・【岡山大学】岡山大学「大学院修学支援制度」を始動 ~大学職員の高度化のひとつの手段としてナレッジワーカーとしての博士人材を育成・活用し、かつ大学法人経営や大学院改革の強化へ~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002317.000072793.html

・【岡山大学】岡山大学「大学院修学支援制度(2024年後期)」認定式を挙行~大学職員の高度化を強化促進し、ナレッジワーカーとしての博士人材の育成・活用へ~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002534.000072793.html

・【岡山大学】第1回 岡山大学 地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)シナジーセッションを開催 ~わが国の研究大学の山脈を築くためのシナジーの種をまく~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002335.000072793.html

・【岡山大学】日本学術振興会(JSPS)主催「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)キックオフシンポジウム」に那須保友学長が登壇~わが国の研究大学の山脈(PEAKS)形成のために、「競争」から「共創」への転換で社会変革を!~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002353.000072793.html

・【岡山大学】地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)をひとつの手段として大学を、社会を変えていく~文部科学省科学技術・学術政策局長らとの意見交換を実施~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002516.000072793.html

・【岡山大学】液体ヘリウムの利用促進・安定供給に向けて、文部科学省科学技術・学術政策局長らと意見交換の場を開催~「ヘリウム供給拠点構想」実現に向けた具体的な制度設計について大学、研究機関、高等専門学校とも意見交換を実施~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002564.000072793.html

・【岡山大学】技術職員の見える化の強化推進として岡山大学「研究者総覧」を「研究者・技術者総覧」へ~わが国初の試みを実施~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002697.000072793.html

・【岡山大学】わが国初の試みである「共生型連合体」のキックオフミーティングを開催~国家戦略特区における大学群が協働して社会変革を推進へ~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002518.000072793.html

・【岡山大学】「共生型連合体」の第1回個別ミーティングを開催~国家戦略特区における大学群が協働して社会変革を推進~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002780.000072793.html

・【岡山大学】文部科学省 広報誌「ミラメク」(note版)に岡山大学の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の取り組みが紹介されました

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002694.000072793.html

・【岡山大学】那須保友学長が文部科学省主催シンポジウムに登壇~地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)での岡山大学の挑戦を紹介~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002850.000072793.html

・【岡山大学】"新しい学問の府"の構築への挑戦 「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」JSPS伴走チームによる岡山大学サイトビジットを開催

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002883.000072793.html

・【岡山大学】令和6年度「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」採択大学の立命館大学と意見交換会を開催

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002950.000072793.html

 

 

◆参考情報2:岡山大学 J-PEAKS MONTHLY DIGEST

・「岡山大学 J-PEAKS MONTHLY DIGEST」Vol.1刊行 ~「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に関連する岡山大学の社会変革の取り組みなどを月刊で発信!~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002192.000072793.html

・「岡山大学 J-PEAKS MONTHLY DIGEST」Vol.2刊行 ~「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に関連する岡山大学の社会変革の取り組みなどを月刊で発信!~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002261.000072793.html

・「岡山大学 J-PEAKS MONTHLY DIGEST」Vol.3刊行~「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に関連する岡山大学の社会変革の取り組みなどを月刊で発信!~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002346.000072793.html

・「岡山大学 J-PEAKS MONTHLY DIGEST」Vol.4刊行~「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に関連する岡山大学の社会変革の取り組みなどを月刊で発信!~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002421.000072793.html

・「岡山大学 J-PEAKS MONTHLY DIGEST」Vol.5刊行~「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に関連する岡山大学の社会変革の取り組みなどを月刊で発信!~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002525.000072793.html

・「岡山大学 J-PEAKS MONTHLY DIGEST」Vol.6刊行~「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に関連する岡山大学の社会変革の取り組みなどを月刊で発信!~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002588.000072793.html

・「岡山大学 J-PEAKS MONTHLY DIGEST」Vol.7刊行~「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に関連する岡山大学の社会変革の取り組みなどを月刊で発信!~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002699.000072793.html

・「岡山大学 J-PEAKS MONTHLY DIGEST」Vol.8刊行~「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に関連する岡山大学の社会変革の取り組みなどを月刊で発信!~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002797.000072793.html

・「岡山大学 J-PEAKS MONTHLY DIGEST」Vol.9刊行~「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に関連する岡山大学の社会変革の取り組みなどを月刊で発信!~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002853.000072793.html

 

 

 

 

岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)

 

岡山大学鹿田キャンパス(岡山市北区)

 

 

◆本件お問い合わせ先

 岡山大学研究力・イノベーション創出強化実現会議 

 (担当窓口:研究・イノベーション共創管理統括部 研究協力課)
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階

 TEL:086-251-8442
 E-mail:innovation◎adm.okayama-u.ac.jp
      ※@を◎に置き換えています

 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id14003.html

 

<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
 岡山大学病院 新医療研究開発センター
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/

<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
 岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
 E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

 

<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階

 TEL:086-251-8745、086-251-8746
 FAX:086-251-8748

 E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp

 https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/


<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
 https://venture.okayama-u.ac.jp/


 岡山大学統合報告書2024:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002801.000072793.html

 岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
 岡山大学Image Movie(YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002954.000072793.html

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【岡山大学】次世代アルミニウムイオン電池革命! 安全・低コスト・高容量を実現する正極炭素材料の設計指針を提案

2025-03-06 00:45:19 | 理工農系

2025(令和7)年 3月 5日
国立大学法人岡山大学

https://www.okayama-u.ac.jp/

 

 

<発表のポイント>

  • 比表面積・平均細孔径・全細孔容積が異なる多孔質炭素(PC: Porous Carbon)を正極とするアルミニウムイオン電池で、平均細孔径の制御により放電容量が向上する可能性を示しました。

  • 高い放電容量を実現するため、従来の比表面積重視の設計とは異なり、最適な細孔径を維持しつつ比表面積を増やす新たな設計視点を提案しました。

 

◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)大学院環境生命自然科学研究科(工)に所属し、OU-SPRING生でもある陳逸楓大学院生、同大学学術研究院環境生命自然科学学域の鈴木弘朗研究准教授、西川亘助教、林靖彦教授等は、星和電機株式会社の梅澤成之博士(同大大学院自然科学研究科博士後期課程修了)と共同で、多孔質炭素の平均細孔径制御とアルミニウムイオンの吸脱着反応によって、安定に充放電できる高容量のアルミニウムイオン電池(AIB: Aluminum Ion Battery)に必要な正極PC材料の細孔物性の同定に成功しました。 

 

 今回の研究成果は、2025年2月12日に英国王立化学会(Royal Society of Chemistry)の学術雑誌 「Journal of Materials Chemistry A」に掲載(First published)されました。 

 

 リチウムイオン電池(LIB: Lithium Ion Battery)は幅広く活用されていますが、資源問題、環境問題、安全性などの課題を抱えており、LIBに代わる次世代電池技術の開発競争が加熱しています。

 

 本研究グループは、資源が豊富で、低コスト、安全性が高く、高速充電が可能で高い理論容量が期待されるため、金属負極にアルミニウムを用いた電池(AIB)の研究開発を実施しています。

 

 AIBの正極材料の候補として、資源が豊富で、低い製造コストという両方の条件を満たす多孔質炭素PCの利用に注目していますが、一方でPCを用いたAIBは放電容量が低いという課題を抱えています。

 

 そこで、異なる細孔物性(比表面積・平均細孔径・全細孔容積)を有するPCを正極として使用することで、平均細孔径が放電容量に大きく影響することを明らかにしました。最適な平均細孔径と大きな比表面積をもつPCを選択することで、AIBの放電容量を増大させることが可能となりました。

 

 この研究成果から、高容量のAIB実現に向け、従来の比表面積重視の設計とは異なる新たな視点を取り入れた電極設計の知見を提供しました。

 

 

※OU-SPRING生

 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)「次世代研究者挑戦的研究プログラム」を用いて、大学院の博士後期課程又は博士課程に進学する優秀な人材の確保を図るとともに、岡山大学の「最重点研究分野」の研究を推進する若手研究者の養成、ひいては、我が国の科学技術・イノベーション創出を担う研究者の養成等を目的に運用している制度です。選抜されたOU-SPRING生には、研究奨励費(生活費相当)と研究費を支給し、より研究に専念できる環境を提供しています。

 https://www.ou-spring.orsd.okayama-u.ac.jp/

 

 

PC正極の作製とアルミニウムイオン電池(AIB)セルの作製と構造

 

(a) 正極活物質としてPC1、PC2、PC3、PC4、PC5、PC6、PC7を用いたAIBの電流密度0.10A/gにおける放電容量と細孔特性。(b) 正極活物質としてPC4を用いたAIBの異なる電流密度における定電流充放電曲線。(c) 正極活物質としてPC4を用いたAIBの繰り返し特性、クーロン効率とCレート。

 

 

◆陳逸楓大学院生と林靖彦教授からのひとこと

<陳逸楓大学院生>

 本研究は、多孔質炭素正極の設計指針となり得る成果で、次世代高容量アルミニウムイオン電池の実現に寄与します。今後も持続可能なエネルギー社会の実現に向けて、安全・安 心の蓄電デバイスの研究を進めていきます。

 

陳逸楓大学院生

 

<林靖彦教授>

 2価金属イオン電池の開発が加速する一方で、3価金属イオン電池の研究は未だ大きな壁に直面しています。今回、数々の困難を乗り越えた革新的な成果は、学生の発想と挑戦から生まれたものです。今後、水系および固体電解質を用いたアルミニウムイオン電池(AIB)の実現を目指し、国際共同開発を視野に入れたポストリチウムイオン電池の研究を牽引する研究開発拠点を築いていきます。

 

林靖彦教授

 

 

◆論文情報

 論 文 名:Enhanced capacity of aluminum-ion batteries by adjusting the average pore size of the porous carbon cathode

 掲 載 紙: Journal of Materials Chemistry A

 著   者: Yifeng Chen*, Hiroo Suzuki, Shu Fukumoto, Chiyu Nakano, Takeshi Nishikawa, Shigeyuki Umezawa, and Yasuhiko Hayashi*

 D  O  I: 10.1039/D4TA08671F

 U  R  L: https://doi.org/10.1039/D4TA08671F

 

 

◆研究資金

 筆頭著者の陳逸楓は、JST SPRING(JPMJSP2126)の支援を受けて本研究を実施しました。

 

 

◆詳しい研究内容について

 次世代アルミニウムイオン電池革命!安全・低コスト・高容量を実現する正極炭素材料の設計指針を提案

 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20250305-1.pdf

 

 

◆参 考

・岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(工)ナノデバイス・材料物性学研究室
 https://hayashi-lab.org/

・岡山大学大学院 環境生命自然科学研究科
 https://www.elst.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学 工学部
 https://www.engr.okayama-u.ac.jp/

・岡山大学次世代研究者挑戦的研究プログラム(OU-SPRING)

 https://www.ou-spring.orsd.okayama-u.ac.jp/

・星和電機株式会社

 https://www.seiwa.co.jp/

 

 

◆参考情報

・【岡山大学】工場や車体の排熱を電気に変える! 高い熱電変換性能と安定性を持つ「n型カーボンナノチューブ糸」の作製に成功

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002182.000072793.html

・【岡山大学】次世代太陽電池・ペロブスカイト太陽電池の欠点を補完する画期的な添加材“ベンゾフェノン”を発見!~性能と耐環境性の向上により、再生可能エネルギーの発展に貢献~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001930.000072793.html
・【岡山大学】ヤーヌス構造をもつ二次元半導体の生成と生成過程の解析に成功 ~二次元半導体の新しいデバイス応用展開に期待~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001426.000072793.html

・【岡山大学】原子層半導体の一次元構造化に成功 ~次世代ナノスケール光電子デバイスへの応用に期待~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001417.000072793.html
・【岡山大学】閉じ込め空間を利用した原子レベルに薄い半導体の大面積・高品質合成に成功~次世代フレキシブル光電子デバイスの実現に期待~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000764.000072793.html
・【岡山大学】メモリスティブな振る舞いを持つ新規材料を発見 ~人間と同様の思考を持つコンピュータの実現に向けて~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000224.000072793.html

 

 

岡山大学津島キャンパス

 

 

◆本件お問い合わせ先
 岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(工)教授 林 靖彦
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 工学部3号館
 TEL:086-251-8230
 FAX:086-251-8230

 E-mail:hayashi.yasuhiko◎okayama-u.ac.jp

     ※@を◎に置き換えています。
 https://hayashi-lab.org/


<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

 

<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階

 TEL:086-251-8745、086-251-8746
 FAX:086-251-8748

 E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp

     ※ ◎を@に置き換えて下さい

 https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/


 岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
 岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
 岡山大学統合報告書2024:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002801.000072793.html

 岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
 岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
 岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw

 産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2025年1月期共創活動パートナー募集中:

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002800.000072793.html

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください

  • 岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~

    https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id13987.html

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002955.000072793.html

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

火星深部に存在する岩石よりも重いマグマの正体は?-国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟搭載の静電浮遊炉で火星内部の謎に迫る-〔関西学院大学, 岡山大学, 島根大学, 愛媛大学, 海洋研究開発機構〕

2025-03-06 00:37:22 | 理工農系

関西学院大学と岡山大学、島根大学、愛媛大学、海洋研究開発機構の共同研究成果プレスリリースです。

 

 

2025(令和7)年 3月 5日
国立大学法人岡山大学

https://www.okayama-u.ac.jp/

 

 

 2019年、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査機InSightにより初めて火星の地震が観測され、火星内部を伝搬した地震波の解析から火星内部構造の理解が進みつつあります。その成果の一つとして、火星の中心をなす核とその上の岩石層であるマントルとの間にマグマの層が存在することが発見され、この深部マグマの理解が火星の形成・進化の理解に重要な鍵であると考えられています。特に、液体であるマグマが火星深部に重力的に安定に存在するためには、マグマの密度がマントルを構成する岩石の密度よりも重くなる必要がありますが、どのような組成のマグマであれば火星深部に重力的に安定に存在しうるかは謎でした。

 

 関西学院大学理学部 河野義生教授、岡山大学惑星物質研究所 近藤望特任助教、島根大学材料エネルギー学部 尾原幸治教授、愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター 桑原秀治特任講師、海洋研究開発機構高知コア研究所 中田亮一主任研究員、宇宙航空研究開発機構 小山千尋研究開発員、織田裕久主任研究開発員、石川毅彦教授、株式会社エイ・イー・エス 渡邊勇基主査らの研究グループは共同で研究を行い、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟搭載の静電浮遊炉を用いたマグマの実験により、これまで地上での実験では困難であったSiO2量が少なく、鉄に富むケイ酸塩組成のマグマの密度測定に成功しました。そして、実験結果を基に構築した密度モデルから、鉄に富むケイ酸塩マグマが火星マントルの岩石よりも高密度になり、火星深部の核-マントル境界に重力的に安定に存在しうることを示しました。

 

 研究成果は。Springer Nature社が刊行する国際誌「Communications Earth & Environment」に2025年3月3日(日本時間)に掲載されました。

 

 

【本研究成果のポイント】

 国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟搭載の静電浮遊炉を用いたマグマ実験により、これまで困難であった超高温下における鉄に富むケイ酸塩マグマの密度測定に成功しました。

 

 鉄に富むケイ酸塩マグマは火星マントルの岩石よりも高密度になることを明らかにしました。

 

 火星形成初期において存在したマグマの海(マグマオーシャン)が結晶化する中で、岩石よりも重いマグマが深部に沈み、火星深部の核-マントル境界において重力的に安定なケイ酸塩メルト層を形成した可能性があることを示しました。

 

 

 

 

【論文情報】
 著者:Yoshio Kono†,*, Chihiro Koyama, Nozomi M. Kondo, Koji Ohara, Hideharu Kuwahara, Ryoichi Nakada, Yuki Watanabe, Hirohisa Oda, Takehiko Ishikawa
†筆頭著者;*責任著者
 論文タイトル:Gravitational stability of iron-rich peridotite melt at Mars' core-mantle boundary
 掲載ジャーナル:Communications Earth & Environment
 DOI: https://doi.org/10.1038/s43247-025-02117-3

 


【特記事項】
 本研究は日本学術振興会、科学研究費助成事業(科研費)(課題番号:22K18736, 23KK0065)の支援を受けて行われました。

 

 

【詳しい研究内容について】
 火星深部に存在する岩石よりも重いマグマの正体は?-国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟搭載の静電浮遊炉で火星内部の謎に迫る-

 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20250304-1.pdf

 

 

 

 

◆本件お問い合わせ先
<研究に関すること>
 関西学院大学 理学部 物理宇宙学科 教授 河野 義生
 Tel:079-565-7284

 岡山大学惑星物質研究所 助教 近藤 望
 Tel:0858-43-3746

 島根大学 材料エネルギー学部 材料エネルギー学科 教授 尾原 幸治
 Tel:0852-32-6655

 愛媛大学 先端研究院 地球深部ダイナミクス研究センター 特任講師 桑原 秀治
 TEL:089-927-8153

 海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門 高知コア研究所 主任研究員 中田 亮一
 Tel:088-878-2275

<広報に関すること>
 学校法人関西学院 広報部 企画広報課(担当:中谷、和田)
 Tel:0798-54-6873  FAX:0798-51-0912

 岡山大学 総務・企画部 広報課
 Tel:086-251-7292  FAX:086-251-7294

 島根大学 企画部 企画広報課 広報グループ
 Tel:0852-32-6603  FAX:0852-32-6630

 愛媛大学 総務部 広報課
 Tel:089-927-9022

 海洋研究開発機構 海洋科学技術戦略部 報道室
 Tel:045-778-5690

 

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

 

<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階

 TEL:086-251-8745、086-251-8746
 FAX:086-251-8748

 E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp

     ※ ◎を@に置き換えて下さい

 https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/


<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい

 https://venture.okayama-u.ac.jp/


 岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
 岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
 岡山大学統合報告書2024:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002801.000072793.html

 岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
 岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
 岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw

 産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2025年1月期共創活動パートナー募集中:

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002800.000072793.html

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください

  • 岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~

    https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id13987.html

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002953.000072793.html

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【岡山大学】かみ合っている奥歯の数が多い患者の方が抗がん剤治療中に栄養状態が悪化するのはなぜか? ~歯科や栄養を含む専門家チームの早期介入の有無が鍵~

2025-03-06 00:32:11 | 医療系

2025(令和7)年 3月 4日
国立大学法人岡山大学

https://www.okayama-u.ac.jp/

 

 

<発表のポイント>

  • 食道がん手術前の抗がん剤治療中は栄養状態が悪化し、そのことが生命予後に影響を及ぼします。そのため、栄養状態の悪化に関与する因子を特定し、適切な対策を講じる必要があります。

  • 歯科的な因子を調べたところ、予想に反し、「かみ合っている奥歯の数が少ない患者」よりも、「かみ合っている奥歯の数が多い患者」において栄養状態が大きく悪化していました。

  • 詳しく調べると、「奥歯のかみ合わせの数が少ない患者」は、もともと全身状態が悪かったために、歯科や栄養の専門家が早期に介入しており、抗がん剤治療中も栄養状態が維持されていました。

 


◆概 要

 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)岡山大学病院歯科・予防歯科部門の山中玲子助教、岡山大学学術研究院医歯薬学域(歯)予防歯科学の江國大輔教授らのグループと、岡山大学病院消化管外科の野間和広講師らのグループは、食道がんの術前抗がん剤治療中は予後推定栄養指数(PNI)が有意に低下すること、特に「奥歯のかみ合わせの数〈機能歯ユニット(FTU)〉が多い患者」で著しく低下することを確認しました。

 

 これらの研究成果は、2025年12月19日、スイスの栄養関連の科学雑誌「Nutrients」の Research Articleとして掲載されました。


 食道がんの手術前の抗がん剤治療中の「PNI」と「歯科的な因子」との関連を探索的に分析したところ、予想に反し、特に「奥歯のかみ合わせの数が多い患者」において、「奥歯のかみ合わせの数が少ない患者」よりも栄養状態が大きく悪化していました。詳しく分析すると、「奥歯の噛み合わせの数が少ない患者」は、抗がん剤治療前から口腔内や栄養状態が悪かったために、歯科や栄養の専門家チームが早期から介入していました。


 これらのことから、口腔内や全身の状態に関わらず、全ての患者に対して、早期(術前の抗がん剤治療前)から専門家のチームが介入することが理想的であると考えられます。現在では、本院を含む多くの病院が、食道がんの術前抗がん剤治療前の早期から多職種の専門家チームが介入するシステムになっています。別の研究では、多職種チームが早期に介入することにより、抗がん剤治療中の口内炎が軽症化し、手術後の体重減少も抑えられることが確認されています。

 

 本件は、2025年2月28日に開催された岡山大学定例記者会見において公開されました。

 

 

本研究実施当時と近年の周術期管理チームの介入時期

 

研究成果を発表する山中助教

 

 

◆山中玲子助教からのひとこと

 以前の研究では、術前にPNIが低い患者さんでは、かみ合っている奥歯の数が少ないことを確認していました。そのため、術前の抗がん剤治療中も、かみ合っている奥歯の数が少ない患者さんにおいて栄養状態が悪化するのではないかと、予想していました。
 今回、正反対の結果になったため驚きましたが、かみ合っている奥歯の数が少ない患者さんは、栄養や歯科の介入が早期から始まっていたことがわかって、当然の結果だと思いました。

 

山中玲子助教

 

 

◆論文情報
 論 文 名:Association Between Change in Prognostic Nutritional Index During Neoadjuvant Therapy and Dental Occlusal Support in Patients with Esophageal Cancer Under Neoadjuvant Therapy: A Retrospective Longitudinal Pilot Study
 掲 載 紙:Nutrients
 著  者:Reiko Yamanaka-Kohno, Yasuhiro Shirakawa, Mami Inoue-Minakuchi, Aya Yokoi, Kazuhiro Noma, Shunsuke Tanabe, Naoaki Maeda, Toshiyoshi Fujiwara, Manabu Morita, Daisuke Ekuni
 D O I:https://doi.org/10.3390/nu16244383
 U R L:https://www.mdpi.com/2072-6643/16/24/4383

 

 

◆研究資金
 本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(基盤研究(C)・16K11858、研究代表:山中玲子)の支援を受けて実施しました。
 また、本論文のオープンアクセス化は、文部科学省「オープンアクセス加速化事業」の取組みの一環で実施している「インパクトの高い国際的な学術誌へのAPC支援」による支援を受けています。

 

 

◆詳しい研究内容について
 かみ合っている奥歯の数が多い患者の方が抗がん剤治療中に栄養状態が悪化するのはなぜか?~歯科や栄養を含む専門家チームの早期介入の有無が鍵~

 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20250228-2.pdf

 

 

◆参 考
・岡山大学 歯学部
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/dent/
・岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(歯)予防歯科学分野
 http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~preventive_dentistry/top.html
・岡山大学病院 予防歯科部門
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index159.html

 

 

◆参考情報

・【岡山大学】世界初! ガムを噛むトレーニングが食道がん術後の誤嚥、発熱予防に有用であることを発見

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002730.000072793.html

・【岡山大学】舌の筋力がサルコペニアと関連していることが判明!

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002036.000072793.html

・【岡山大学】歯の数が多く、嚥下機能が良好だと、2年後の栄養状態が良好!フレイルやサルコペニア予防に期待

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001919.000072793.html

 

 

岡山大学病院歯科、歯学部(岡山市北区)

 

 

◆本件お問い合わせ先

 岡山大学病院 歯科・予防歯科部門 助教 山中玲子

 〒700-8525 岡山県岡山市北区鹿田町2丁目5番1号 岡山大学鹿田キャンパス
 TEL:086-235-6712
 FAX:086-235-6714
 http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~preventive_dentistry/top.html


<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
 岡山大学病院 新医療研究開発センター
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/

<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
 岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
 E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

 

<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階

 TEL:086-251-8745、086-251-8746
 FAX:086-251-8748

 E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp

     ※ ◎を@に置き換えて下さい

 https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/


<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい

 https://venture.okayama-u.ac.jp/


 岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
 岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
 岡山大学統合報告書2024:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002801.000072793.html

 岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
 岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
 岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw

 産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2025年1月期共創活動パートナー募集中:

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002800.000072793.html

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください

  • 岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~

    https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id13987.html

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002951.000072793.html

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【岡山大学】岡山大学ヘルスケアスタートアップシンポジウム ~ヘルスケア分野のスタートアップ創出に向けて~〔3/13,木 ハイブリッド開催〕

2025-03-06 00:28:10 | イベント開催案内

2025(令和7)年 3月 4日
国立大学法人岡山大学

https://www.okayama-u.ac.jp/

 


◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)は、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」、「令和6年度地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」、および「大学発新産業創出プログラム(START)」の一環として、「ヘルスケアスタートアップシンポジウム」を、2025年3月13日(木)にハイブリッド形式で開催いたします。


 本シンポジウムでは、ヘルスケア業界の最新動向をはじめ、成功を収めたスタートアップの事例を紹介し、スタートアップ創出が続き、さらなる発展が期待されるヘルスケア市場において、市場特有の参入障壁を超えて、どのようにすればスタートアップを創出できるのかについて、豊富な知見を有するパネリストによる意見交換を通じて考えます。


 本シンポジウムには、世界的なヘルスケア・ロボット研究の第一人者であるCYBERDYNE株式会社の代表取締役社長 山海嘉之・ 筑波大学システム情報系教授/サイバニクス研究センター研究統括/未来社会工学開発研究センターセンター長/内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)プログラムディレクターに加え、経済産業省ヘルスケア産業課 山崎牧子課長補佐 、東京科学大学 加藤浩晃臨床教授が登壇。それぞれの専門分野における革新的な視点から、ヘルスケア産業の未来とスタートアップ創出の可能性についての講演を行います。


 また、講演会終了後には講師・参加者によるネットワーキングセッションを実施します。トップランナーたちの講演を通じて、最先端技術とビジネスチャンスをつかみ取るとともに、貴重な人脈を築く絶好の機会です。


 皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

 

 

【日 時】

 2025年 3月 13日(木)14:00~17:00(開場13:30)

 

【開催形式】

 ハイブリッド開催
 ・現地開催

  ホテルグランヴィア岡山 4階 フェニックスルーム

  https://www.granvia-oka.co.jp/access/

 

【プログラム】
 開会あいさつ(14:00~)
  岡山大学 副理事(地域共創・ベンチャー) 三村 聡

 ヘルスケア産業振興に向けた国の施策(14:10~)
  経済産業省 ヘルスケア産業課 山崎牧子 課長補佐

 ヘルスケアの事業化に向けたポイント(14:30~)
  東京科学大学 加藤浩晃 臨床教授

 ヘルスケア・スタートアップの事例紹介(15:00~)
  CYBERDYNE株式会社 山海嘉之 代表取締役社長
  筑波大学 システム情報系 教授/サイバニクス研究センター 研究統括/未来社会工学開発研究センター センター長
  内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)プログラムディレクター

 スタートアップ創出に向けた岡山大学の取組(15:30~)
  岡山大学 スタートアップ・ベンチャー創出本部 本部長 志水武史

 パネルディスカッション(16:00~)
  テーマ:「ヘルスケア・スタートアップ創出に求められるもの」
  パネリスト:山崎課長補佐、加藤臨床教授、山海代表取締役社長
  モデレーター:志水本部長

 閉会あいさつ(16:50~)
  岡山大学 学長 那須保友

 

 ※シンポジウム終了後には、参加者同士のネットワーキングセッション、岡山大学のヘルスケア関連シーズのポスター展示も実施いたします。学術研究と産業界の連携を深める機会として、ぜひご活用ください。


【参加費】

 無 料

【定 員】

 会場200人

 オンライン300人

【お申込み方法】

 下記のURLからお申し込みください。(締切日:3月12日(水)15:00)

 https://forms.gle/opGLpxUjNWVVcdqa8

【ポスター】

 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/event/250206SUflyer.pdf

 

【主 催】

 国立大学法人岡山大学

 

 

◆参 考

・岡山大学研究・イノベーション共創機構

 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

・岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部

 https://venture.okayama-u.ac.jp/

・岡山大学「岡大ベンチャーサポートテラスV-Story」起業相談窓口

 https://venture.okayama-u.ac.jp/consultation/

 

 

 

 

◆本件お問い合わせ先

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階

 TEL:086-251-8918
 E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※@を◎に置き換えています。

 https://venture.okayama-u.ac.jp/

 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/event/event_id3569.html

 

<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
 岡山大学病院 新医療研究開発センター
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/

<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
 岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
 E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

 

<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階

 TEL:086-251-8745、086-251-8746
 FAX:086-251-8748

 E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp

     ※ ◎を@に置き換えて下さい

 https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/


 岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
 岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
 岡山大学統合報告書2024:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002801.000072793.html

 岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
 岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
 岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw

 産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2025年1月期共創活動パートナー募集中:

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002800.000072793.html

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください

  • 岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~

    https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id13987.html

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002952.000072793.html

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする