見ればうどん屋の角で、酔っぱらったあんちゃん、ねえちゃんのグルーブが何やらモメて大声を出していた。
昨夜と一昨夜は赤門寺の縁日、子ども達が遅くまでウロウロしているわけで、とかくケンカやらトラブルはこんな時に起こる。
「アホらしっ」と思って引き上げようとすると、羽をむしられたブロイラーみたいに痩せて生っ白い一人のあんちゃんが近づいてきてこう言った。
「すいません、ビンないっすか ? 」
よく見ると高校生に毛が生えたくらいの小僧で、明らかにわずかなジュースみたいな酒で酔ってフラフラしている。
「売るほどあるけど、何するんだい ? 」
「ひと、ぶん殴るんすよ・・・・」
「ふーん、そりゃやめたほうがいいなぁ」
と言うと、プイッと行きかけた。
その背中へ、
「殴りたいんなら、自分の手で殴りな。そうすりゃ痛みがわかるぜ」
と浴びせると、あんちゃんUターンしてきて、まるで迫力のかけらもないどんよりした目でガンを飛ばし、
「いまなんつった、クソオヤジ !! 」
「自分の手で殴りなって言ったんだよ」
と穏やかに言うと、
「てめえ殺すぞ、クソおやじ!! 」
詰め寄ってきたので、足払いでもかけてやろうかと思ったが思いとどまり、にっこり笑っていってやった。
「そうだよ、クソオヤジだよ。だからほっといてももうすぐ死んじゃうかもよ、クソオヤジはね」
かかってくるかと思ったが、口の中で
「てめ、ばかやろ、クソオヤジ・・・」
などとつぶやきながら、まだ大声あげてモメている仲間の方へ行ってしまった。
遠くからサイレンの音が聞こえてきた。
なんだかすごくおかしくなって、
「いいなぁ、青いなぁ、青臭くってたまんねぇなぁ。青い春って書いて青春って読むんだよ~ !! 」
大声で言ってやったが、無反応。
店に戻ってかあちゃんにこのことを言うと、
「へぇ、クソオヤジでよかったじゃない。ジジイじなくて」
なるほど、そういやあのあんちゃん最初はすいませんって言ったし、オヤジを正しくオヤジと認識したんだ。
まあクソはついたけど・・・。
クソオヤジと言われたのは、「マミちゃん」以来だ
なぜか懐かしく思えてしまうワテクシはやはり、クソなんだろうか ?
「わたしなんか、若い子にクソババアって言われちゃうんだから、クソオヤジの方がマシだよ。でもね、そう言われたらクソは拭けばきれいになるんだよって言い返してやるの」
なるほど、ここ2、3日かあちゃん冴えてる
今度オヤジもそのセリフ使わしてもらおう
店を閉めて表通りに出ると、5、6人のあんちゃんねえちゃんが道路の端に座り込み、一人のあんちゃんが額のあたりをタオルかなにかで押さえており、自転車の巡査が無線で連絡を取り合っていた。
パトカーは怪我を負わせた野郎を追いかけたのか姿が見えず、救急車も到着していないし、警官も一人だけだからたいしたことがないのかもしれない。
額を押さえているあんちゃんもダラダラ血を流しているわけでもないし、ちょいとはり倒されて酔っぱらっているからヘタっただけかもしれない。
が、しかし、ビンで殴りたいと言ったあんちゃんの姿が見えなかったので、悪さをして逃げているなら情報提供した方がいいと思い、巡査にそのことを伝えた。
いっそのことコイツら全員ブタ箱にぶち込んで、ギュッと説教した方がいいのに。
ああ、バカらしい。
ニュースで言ってたけれど、足立区は犯罪多発地帯だそうな。
だから千住の町の通りには監視カメラがいっぱい設置されたんだと。
学校がいっぱいできて、酔っぱらった若いのが路上でうずくまっているのをよく見るが、まだ町がそいつらの受け入れに慣れていないんだよなぁ。
今度の花火は、そんな連中がまたなんかやらかすかもね。
やだね。
そんな連中にこの詩をおくりませう。
「康珍化」作詞
「吉田拓郎」作曲
「THE MOVIE こちら葛飾区亀有公園前派出所」
主題歌「気持ちだよ」の一節を。
♫ 固めた拳はやわらかいものを
きっと最後に叩くんだろう
だけど それを止める拳も
きっとどこかにあるんだろう
気持ちだよ 気持ちだよ ヒトをつないでいるのは
気持ちだよ 気持ちだよ そんな気持ちだよ ♫
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mogmas
純生野郎
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