その主を「日本天然党」の新たなホープだとオヤジは見ているのだが、当の本人はぜったい違うと言い張っている。
だが「日本天然党」総裁も、松本支部長も、夢の国支部長も、みんな最初は「わたしは、ちがう」と抵抗していたのだ。
でも次々と記録される天然発言が広まるにつれ、本人たちも自ら天然の自覚を持ってきたものだ。
そして彼女から先日、素晴らしい天然発言を頂いた。
ある晩オヤジがこう呟いた。
「そういえば、ポールはいつくるんだっけ ? 」
カウンターの向かいでそれを聞きつけた彼女は小首をかしげ、
「ポールって ?? 」
完全にわかってない様子で言った。
そりゃオヤジ世代のポールって言ったら、まず「ポール・マッカートニー」だろう。
その次は「ポール牧」か「ポール・アンカ」だ。
しかしこの時は何を差し置いても、「ボール・マッカートニー」の11年ぶりの来日が気になっていたのだ。
もうチケットなんて取れないだろうなぁ、なんて思っていたら、
「何をする人なの ? 」
と、彼女。
ん もしや彼女ビートルズも知らないのではないかと思い聞いてみると、名前は聞いたことがあるがなんだか知らないという、ぶったまげるお答え。
彼女は売れないインディーズバンドの追っかけもしていたというし、iPhoneに音楽データを詰め込みすぎてiOS 7 にバージョンアップできないほどなのに、今や音楽の教科書にものるくらいなビートルズを知らないとは、昭和は遠く成りにけりだ
ビートルズを知らないくらいだから、メンバーの名前なんて知るはずもないだろうが、ジョンなら知っているかもしれないと、
「オノ・ヨーコの旦那は知ってる ? 」
と聞いてみると、これも
いろいろカマをかけてみたのだがばかりなので、
「ジョンと言ったら }
と最大のヒントを与えると、即答で
「万次郎 !! 」
と、にっこり笑って叫んだ
「ジョン万次郎」ですか・・・、いきなり幕末まで飛んじゃう、と思いきや、彼女は「ジョン万次郎」も何者かは知らず、かつて北千住あったチェーン店の居酒屋「ジョン万次郎」をイメージしたのだった
素晴らしすぎる連想ケーム。
ポール、ビートルズ、ジョンときて、万次郎に落ち着くなんて、あなたはリッパな天然娘でございますよ。
そしてその時から「砲丸投げ子」改め、「万次郎ちゃん」と呼ばせてもらっている。
しかも、連日モグランポに通ってくれているので、
「わたし、ブタになっちゃうかも～」
なんて宣う、夢は「おしるこのお風呂に入って、パンのベッドに生クリームのふとんにいくらのクッションとたらこのまこらで寝たい」ともおっしゃる「万次郎ちゃん」なので、時には「明太子ブタの万次郎ちゃん」とも呼ばせてもらっている。
そんな「万次郎ちゃん」、
「わたしは縄跳びの三重跳びが出来る 」
と、片手を腰に当てて自信満々。
まあ普通なら、ああそうですか、それはすごいね、チャンチャン、で終わる会話なのだが、そこは天然「万次郎ちゃん」。
先日、縄跳びをもってご来店。
閉店後に店の前で、自慢の三重跳びを見せてもらった。
飛べ !! 明太子ブタの万次郎 !!!
ハアハア息を弾ませ、見事に三重跳びが成功したことをこの場を借りて関係各位にご報告致します。
嗚呼、こんな負けん気の天然は「日本天然党総裁」の「ヨウコリン」以来の逸材でございます。
時代は繰り返す、生きている間に二度もステキな天然娘にお目にかかれるなんて、つくづくワテクシは幸せでございます。
だがこの話しは後日、もうひとつのエピソードを付け加えることになった。
１年ぶりにご来店したまんじゅう娘の「マミちゃん」がこの「ジョン」の話を聞いて、「ボール」といったら
「マッカーサー !! 」
と即答したのである
いやはや、天然娘オンパレードだ。
これからの「日本天然党」の常識、
ビートルズのメンバーはといえば、
「ジョン万次郎にポール・マッカーサー、あとはリンゴなんとかともうひとりのひと」
オヤジ世代のビートルズファンの皆様、願わくばこの天然発言を寛容に見過ごして下されぃ
