お好み夜話-Ver2

シャント閉鎖

アナログラジオの配線をするように、人の血管を切ったり繋げたり簡単にできるもんだなぁ、としみじみ思ったのは2019年12月27日、日帰りでシャント
(ブラッドアクセス増設手術=動脈と静脈を直接繋いで多量の血液が静脈に流れるようにして「ダイアライザー」(人工腎臓)に入れ、老廃物を取り除き血液を浄化する)の手術をしたときだ。

局所麻酔で痛みはなかったが、感覚はあるし音も丸聞こえだったからちょっと気持ち悪く、およそ2時間程度で手術は終わり、手首に包帯を巻かれて手術室から出てきた。

2週間後に抜糸するまでそのまま、左手にはなるべく負担をかけないようにシャワーや水仕事にはゴム手袋をして年末年始を過ごした。


明けて2020年1月、ついに透析をすることになり入院。

これまでの2年間、なんとか血液透析を避けるべく悪あがきをしてきたが、どうあがこうとも体調は改善されぬばかりか悪くなる一方で、腎臓移植の前段階として必要不可欠だということもあり透析を決断したのだった。

初透析は1月28日、入院2日目のこと。

6日間入院して1日おきに3時間程度のお試し透析をしながら、退院後に通う(しばらくの間? 一生? )ことになる自宅近所の透析クリニックを決めた。


腎クリニックでの初透析は2月5日、それからわずか9ヶ月後の11月10日に入院前の最後の透析となった。

お世話になったクリニックの何人もの看護師から「早かったねぇ」と励まされ、「もう戻ってこないように」と刑務所の看守が出所する受刑者にいうような言葉もかけられた。

普通だったら腎臓移植までに軽く1年以上かかるのだが、こんなに早くできるようになったのはひとえにかあちゃんのおかげとコロナのせいだ。


世の中のコロナ禍がひどくなってきて、移植手術を予定していた患者が次々と予定を延期したため、お後に控えていたオヤジの順番が上がったというわけだ。

まさに不幸中の幸い、「どうします?」と担当医から聞かれ、一も二もなく「やる、やる、やらいでか(⌒▽⌒)」となったのだ。

ホント世の中何があるかわからん。


かあちゃんの腎臓を移植したあとはみるみる体も回復してきてあの絶不調はなんだったのかと思うほどで、拒否反応もなく腎生検の結果も良好、だから透析のなごり、左手首のシャントを閉鎖できることになった。

シャントのおかげで透析は順調だったが、寒いと左手がまるで毒殺された人の手のようにつりまくり、足もよくつっていた。

それにギュンギュン血液を送るので心臓に負担をかけることになり、移植腎が適合したならばシャントはもう不要になる。

で、今月28日の水曜日、余丁町のクリニックでシャント閉鎖の手術を受けた。


受付をしてそのクリニックの主みたいなナースから

「緊張してる? ちょっと不安?」

なんて聞かれたが、ぜんぜん。

だって今まで散々痛い目をみてきたし、たかがリストカットくらい屁でもねーし。

それに小一時間で済んじゃうというし、日帰りだし、緊急事態宣言でず〜っと休みだし、何よりまたひとつ元気になれるかもしれんし💪


1時の予定より15分くらい早く呼ばれて手術室に入り、上着とズボンを脱いで手術着に着替えベッドに横になった。

ナースも患者も慣れたもので、左腕を横に伸ばし右手に血圧計のカフとパルスオキシメータをつけられ気楽に世間話しなどして待つ。

このクリニックでは未だ全然コロナワクチンの接種の予定はないという。

「私たちって、医療従事者とみられてないのかなぁ」

なんて笑う。

なんてところへ若手の医者が登場、ざっと説明をしてるところへ院長も手術着を着て登場。

「すぐ終わりますからご心配なく」

というが、相変わらずまったく心配していない。


心電計がピッピッと規則正しく鳴り、血圧計が右腕を締め付ける。

左腕に赤い消毒液がタパタパ塗られ、まるでプロムの夜にステージで豚の血を浴びせられた「キャリー」の血塗れの腕のようになる。

頭からすっぽり布を被せられ、このまま何をされたって見えない状態にされ、患部にチクリと局所麻酔を打たれ、感覚がなくなり手術開始。

レーザーメスが手首を切っているのだろう、血がタラリと流れているのだろう、ハサミでパッチンと血管を切っているのだろう、鉗子でパチッと止めているのだろう、糸でキリキリ絞めているのだろう、何にも見えないから想像を逞しくする。

と、

「あと少しで終わりますよ」

だって。

聞けば、マニュアル通りに適正な場所にシャントが作られていれば簡単に閉鎖できるが、医者が術後に跡が残らないような職人技みたいなことをすると手間がかかってしまうんだそうな。

幸いオヤジのシャントはマニュアル通りに作られていたので短時間で閉鎖できたのだ。

しかし手術室を出るとナースたちが

「エッ、もう終わったの? チョー早くない」

などと喋っていたので、あーあ人間もシャントも単純でよかったと思った。

手首から肘のすぐ下まで包帯を巻かれたが、それは稀に血栓ができることがあるのでその予防だそうな。

親指は痺れてあんまり感覚がないが、それは次第に治ってくるという。

当然のことながら濡らさないように、あまり重いものを持ったり握ったりしないようにして、当日はシャワーはNG、次の日から自分で消毒して養生することと、消毒液と抗生剤と痛み止めを処方されて帰宅した。


翌日はな〜んにもせず1日中パジャマで、朝から晩まで「スティーブン・キング」を読んで過ごした。

夜シャワーを浴びて傷の消毒をする。

おおっ、手首からヒゲが生えとるわい😆

まだ親指の痺れは取れないし、ときどきピキッと痛みが走るが、まあなんてことはない。



本日、再びクリニックへ行き診察。

もうちょっと水分を摂るようにとのことだけで、あとは問題なし。

せっかくの長い休みだから、ゆっくり養生しよう。

来月の14日に抜糸予定で、それまで酒はご法度。

まあ、いい休肝日だ。

それにしても全身「清水次郎長」並みに傷だらけだぜ、渡世人はつれぇなぁ( ̄◇ ̄;)

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コメント一覧

売れない落語家
すいません🙇🏻♂
ネタ切れです❗
mogmas
そのネタ何回も使ってまっせ😆

ブルワーカーでシックスパック、諦めたらいかんぜよ!!!
昭和の漢
モグラ爺❗ まさに
あんたにドンピシャの歌 鶴田浩二「傷だらけの人生」
お大事に🙇🏻♂
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