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お好み夜話-Ver2

戸隠、奥社へ

朝の通勤時間は湯田中から長野まで(始発から終点)直通の特急はなく、信州中野で10分ほど待って普通電車に乗り換えなくてはならなかった。

しかし通勤電車といっても都心の激混み鮨詰めとは違い、席もまばらに空いているし車内はのんびりした雰囲気があった。

 

長野駅に着くと、7番バス乗り場の前にある売り場で戸隠高原までのフリー切符を買ってバスを待った。

せっかくだから戸隠へ行って、奥社に詣でてから美味しい蕎麦を食べることにしたのだ。

 

バスは善光寺の周りをぐるっと回って北参道を進み、浅川ループラインを上って飯綱高原を通って、戸隠の宝光社・中社を経て奥社へ至る1時間ほどの道程。

 

車窓から景色を眺めながら、この道にまったく記憶がないのが腑に落ちなかった。

 

かつて戸隠の中社まで自ら運転して上ったのに、この山の景色をちっとも覚えていない。

 

浅川ループラインのような特徴的な坂道を、なぜ記憶していないのだろう?と訝る。

 

途中のバス停にスパイラルという名前がついていて、1998年の長野の冬季オリンピックでボブスレーなどの競技が行われたためとアナウンスがあった。

 

なるほど、それか⁉️

 

その昔戸隠へばあさんや叔母(ばあさんの姉)を車で連れて行ったのは、25年以上前だったのだ。

 

そりゃあ覚えていないはずだ、浅川ループラインなんてなかったんだから。

 

それがはっきりしたのは飯綱高原に入って、見覚えのある風景が現れた時。

 

そこからは中社まで、以前にここを通った、走ったということを思い出してきた。

 

 

 

ばあさんと叔母を乗せて車で戸隠へ来た時は中社までで、その先の奥社へは行けなかった。

 

戸隠まで上る「七曲り」でばあさんが酔ってしまって、とてもその先に進めなかったからだ。

 

しかし今回はじめて奥社まで歩いて、もし車酔いしなくても年寄り二人はこの坂道・階段を上って奥社・九頭龍社までたどり着くことはできなかったろうと思った。





ここまでは楽チンだが、この先は日光の杉並木街道よりももっと鬱蒼と茂る杉の大木の下を徐々に上っていく道が2㎞ほど続き、




それから階段というには荒々しい石段を上ることになる。



空気は澄んで涼しいが、上るごとに汗が滴り落ちてきて息が上がってくる。

 

しっかりマスクをしている小僧に、人がいない場所ではマスクを取れといってタオルを頭に巻いてやり、汗に寄ってくる虫を払いのけながら急な石段を上り振り返れば、いつの間にかかあちゃんの姿が見えなくなった。

 

きっとへばっているのだろうと、しばらく息を整えながら待っていたらヒイヒイ言いながらかあちゃんが上ってきた。



汗を拭きふきさらに上ると、ようやく九頭龍社が現れ、



最後の階段を上がって奥社にたどり着いた。



「天手力雄命」が「マイティ・ソー」の数万倍のパワーで放り投げた天の岩戸が着地したのがここ戸隠山、そのパワーの数百分の1でも授かれればとお賽銭55円を入れて二礼二拍手一礼。

 

今年の1月くらいまでは、しゃがんだら自力で立てないほど筋力が落ちていたポンコツだったが、この奥社までの上りでずいぶん体力・脚力が回復したことを実感した。

 

少なくともかあちゃんと小僧よりは歩きがしっかりしていると、少し自信がついた。

 

かあちゃんが御朱印をもらい、麦茶でのどを潤し、帰り道を下った。





転んだり足を痛めるのはだいたい下り坂、ゆっくり石段を下り坂道を進んでいくうちに汗が引いて涼しくなってきて、


カッチョいい狛犬に別れを告げて



参道入り口までやってくると、タイミングよくバスがやってきたので小走りでバス停へ。

 

かあちゃんも小僧ももう歩くのはいいというので、バスで中社まで行くことにしたのだ。

 

奥社まで行って帰ってきて約450分、スマホのアプリで見ると片道3㎞ほどで往復6㎞くらい、平地ならなんてことない距離だが坂道・階段はグッと堪えるだろう。

 

バスで一休みしながらほんの数分で中社へ。



ここで再び階段を上り



お賽銭25円を入れてパンパン。

 

 

 

さあお昼でございます。

 

⁉️

 

中社からすぐの、昔からずっと混んでいる「うずら家」には相変わらず列ができていて、その奥の蕎麦屋は休業、さてどうすると大杉の奥、駐車場の向こうを見れば、フリーキップで特典のある蕎麦屋「ゆたかや」が見えた\(^ω^)/



行列なんかには一切並ばない我らは、一目散に「ゆたかや」さんへ。

 

そして長野へ来たら是非食べたい「おしぼり蕎麦」か辛味大根のお蕎麦がないかとメニューを見れば、ありました🤞「辛味大根おろし蕎麦」\(^o^)/



かあちゃんは蕎麦コロッケなどのセット、小僧は夏限定の大葉とツマたっぷりでエビ天ののった蕎麦を。



飢えたケモノのように、ダイソンの掃除機のように蕎麦を啜りこんだ小僧は、つゆに蕎麦湯を入れて大相撲の優勝の大盃のように飲み干した。




ああ旨かった。

 

久しぶりの辛味大根に満足。

 

蕎麦は小布施で食べたものより喉越しが良くて、別注文の蕎麦コロッケも旨くて一同大満足。

 

さすが蕎麦博物館のある戸隠、どこで食べてもハズレはない。

 

ネットや雑誌で見て行列に並んで知った気になっていないで、足で探して美味いものに巡り会うのも旅の醍醐味だと思うのですよ。

 

 

 

蕎麦を食べ終えるとこれまたタイミングよく長野駅行きのバスの時間、空きすきの車内で揺れに任せてウツラウツラ😪

 

気がついた時は善光寺の裏まで来ていて、3時半過ぎに長野駅到着。

 

帰りの新幹線の特急券を買って、お茶してお土産を見つくろって、ケモノのように蕎麦を食べた小僧は焼肉弁当なんぞ買って、オヤジは車内で飲むカップ酒を買って、北陸新幹線「かがやき」で東京に戻ってきた。

 

いい旅だった、墓参りもすんで予定どおりの時間にすべてがうまくいき、体力的にも自信がついたし、コロナがもっと酷くなる前に長野に行ってこれて良かった。


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