お好み夜話-Ver2

ビリーズブートな小Mなミヤさん

子供がいろいなことを覚えるのは、親や友達や良いと思った何かの真似をすることから始まるように、「調子コキ」もまたお手本があったということを「ミヤさん」という男の言動を知ると頷けるのだ。

かつて「バーバーくん」がその本領を発揮してブイブイ調子コイていた頃、チョキチョキの先輩である「ミヤさん」を連れてきてカウンターが占拠されたとき、な、な、な、なんだこいつらは‼瓜ふたつ、調子コキのコピー商品かっ⁉

と、思うほどの今となっては絶滅危惧種な調子コキだと知って驚いたものだ。

でも本人にもともとその素質がなきゃ、あんなおバカ野郎な調子コキにはならなかったわけで、付け焼き刃な調子コキはすぐに化けの皮が剥がれることを経験上このオヤジはよく知っている。


そんな「バーバーくん」の師匠的な先輩「ミヤさん」が、悔い改めてチョキチョキ一家の娘さんを娶りマスオさんとして隠棲して10年ほども経つのだろうか?

彼らは職業柄たびたび髪型が変わるし、体型も変わっちまったらちょっと見??ということもあるので、昨夜ひょっこり現れた「ミヤさん」を見て、オヤジもかあちゃんも一瞬わからなかった。

だがカウンターに着いて口を開けば、まあ衰えようもない調子コキトーク。

少々肥えたが、二児の父のマスオさんともなればさもありなん。

ふだん飲みにもいかず、ちょっと家を離れるのにも気を遣い、お舅、お姑とは争わず、サザエさん一家みたいな生活を続けているという。

だから久しぶりに調子コキを全開にできる店に来て嬉しいとおっしゃり、このオヤジにまだ飲まないのか、なぜ飲まないのか、飲んだらいいだろうと、それがアンタ普通だろうと、人を呑んだくれみたいにけしかける。

そりゃあねぇ「ミヤさん」、飲まないわけじゃないけどまだ8時前、それにあの頃と違ってカウンターに並み居る酔っ払いが揃うなんてことは近頃じゃ滅多にないのだよ。

常連さんなんて呼べる方は数えるほどで、しかも足しげくは来ないのが現状なのだよ。

だからアナタと同様、このオヤジだって遠慮なく話ができる呑み助がいらっしゃることはとても嬉しいのですよ。


てな社交辞令な会話をするうち、なんかおすすめの酒をくれという声にお応えして大分の「常蔵」からはじまり、すすめろすすめろと言われるままにでは乾杯( ^ ^ )/□

「ミヤさん」酒が進むうちに口が弾み、自ら若いオネエさんに声をかけることはもう卒業したが、若いオネエさんから声をかけてもらえるオッさんになろうと体を鍛えているんだと宣う。

なので今は懐かし「ビリーズブートキャンプ」でヒィコラ鍛えてるんだと。

今では打つことも打たれることもない生活だから、「ビリー ~ 」で自らを攻めているんだと😒

フン、アンタはドMかっ‼

と言えば、そこまでじゃなくて、小Mかな、だと。


二杯が三杯になり四杯、五杯とすすみ、そろそろマスオさんのパパはお帰りにならなくていいのかい?と問うと、帰る帰る、帰らにゃ怒られるといいつつも根っこが生えたように動かず、相変わらずの長っ尻。

それではしょうがない、お掃除ビールで乾杯だ🍻 まだ足りぬか、まだ飲み足りぬかとジャックダニエルでダメ押し。

小Mのマスオパパはようやく腰を上げて、また来るまで元気でやってくださいと名残惜しげにお帰りになった。


ありがとう、絶滅危惧種の調子コキよ、次回会うまでそのテンションを維持しておくれ👋

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