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お好み夜話-Ver2

名画座に入り浸りだった頃

先日本屋でチラッと立ち読みして、もっと読みたくなって買った雑誌「東京人」。
今は無き名画座の話しを懐かしく読んで、今から45、6年前の名画座に入り浸りだった頃のことを思い出した。
あの頃はビデオもDVDもBlu-rayもなくて、ネット配信なんて夢のまた夢ちっとも考えもしなかった時代だったから、ロードショーが終わって見逃した映画が2番館、3番館へ下りてきたら「ぴあ」や「シティロード」をこまめに探して、北は宇都宮、南は藤沢あたりまで名画座を渡り歩いて観に行ったものだ。
 
名画座では2本立て3本立ては当たり前で、オールナイトで5本立てなんてのもあったから、1日最高10本の映画を観たりもした。
 
コンビニもまだない時代だったから、家でおにぎりを作って水筒にお茶を入れて、入れ替えなんて無粋なシステムなんかなかったから一歩も映画館から出ずにスクリーンに釘付けになっていた。
 
 
家の中を片付けていて見つけた1978年のDIARYにはその年に観た映画の感想文がびっしり書き留めてあり、この年は131本の映画を観ていたので月に約10本観ていたことになる。
 
しかし自己最高は年間258本だから、それほど多い数ではない。
 
DIARYには名画座のパンフレットや半券が挟んであり、色褪せたそれらを眺めてあの頃夢中になって観た映画のストーリーや印象的なシーンやセリフを想い出した。
 
神楽坂の「ギンレイホール」のパンフレット。
「ちち」のタクシーに乗せてもらって女子医大へ行く道すがら、まだあることを確認していたけれど、ビルの建て替えで一時閉館するのだと記事を読んで知った。
 
貴重な名画座として再び開館してくれたら、また観に行きたいと思う。
 
あの頃のヤングは78年2月に「黒木太郎の愛と冒険」を観たくてギンレイホールに出かけたのだ。
今は亡き「田中邦衛」主演で「森崎 東」監督のフリー第1作だ。
 
しかし併映の「田中 登」監督の「女教師」もよいよねぇ。
 
当時は女優がバンバン脱いだし、「大竹しのぶ」も「青春の門」で「織江」しゃんで脱いじゃったもんねぇ。
 

飯田橋「佳作座」、ここもよく行ったなぁ。

この⇧プログラム全部観たよねぇ。
 
しかし、暖房完備 350円均一が泣かせる(;_;)

「イージーライダー」のポスターは自宅のトイレに貼って毎日眺めてるもんなぁ。
 
 
大塚駅前にあった「大塚名画座」、小さいけど清潔な「小屋」で今じゃ家庭でも可能な100インチくらいのスクリーンだったと記憶している。
この中では「ポール・ニューマン」主演の「太陽の中の対決」がなぜか妙に印象に残っている。
 
 
そして池袋の「文芸坐」。
 
ここは最も頻繁に通った名画座で、オールナイトの定番劇場だった。
 
こちらは「新文芸坐」として今でもやってくれているので、ホームページはたまに見ていつか行こうと考えている。

「フェリーニ」「ルイ・マル」もうずいぶん観ていない、「キートン」「ロイド」「チャップリン」すごい!!この動き、中途半端な芸人というテレビタレントは見習うべきアクションコメディアン👍

そして「ジョージ・ロイ・ヒル」ですよ、なんたって「明日に向かって撃て!」、もう何十回観たことか。
 
 
で、銀座「並木座」。
 
この名画座は地下1階で、観客席の左右にでっかい柱があるという今じゃ考えられない見晴しの「小屋」。
 
何度もここで観ているが、ある時映写機のトラブルで映画のはじまり早々に中断して、しばらくして再開した時にはシーンが飛ばされていた。
 
これには劇場内の映画ファン、映画小僧は激怒し、映写室へ押しかけ始めからやり直せと抗議した。
 
そして押し問答の末に最初から上映を再開したという出来事があった。
 
そうまでして観た映画が何だったか覚えていない、はて?「黒澤明」だったか?それとも「溝口健二」だったか?

「水谷豊」の「青春の殺人者」、良いよねぇぜんぜん「右京」さんじゃなく「傷だらけの天使」の「アキラ」が残っていて、「原田美枝子」の豊満なオッパイも見事!

「仁義なき戦い」とか「健さん」の任侠ものなんかを観て出てきた野郎どもの後ろ姿はみんな笑っちゃうくらい与太って揺れていたりさ、劇場で「よっ、待ってました!!」とか指笛とか拍手なんか日常茶飯時だったもんなぁ。
 
浅草の名画座でオールナイトを観て出てくると、角刈りのミニサイクル(当時はママチャリのことをこんな風に言った)に乗ったアニキがすっと寄ってきて、
 
「おにいさん、いい仕事あるよ」
 
なんて耳打ちされたものだ。
 
これにそそのかされて「いい仕事」に行った友人は、バンに中国人らしき連中とギューギューに詰め込まれて乗せられて、クリーニング工場のようなところで朝まで働かされたそうな。
 
 
南千住にあった小便と汗の饐えた匂いのする映画館前には酔っ払いが転がっていて、中に入ると飲んだくれが数人寝ていて、映画が始まるとどこからか酒臭い男が隣に座りこちらの膝をさすり始め、それを避けて席を移動するとしばらくして今度は後ろに回って首に腕を巻かれ、酒臭い息を耳に吹きかけられ、また席を移動すると今度は前の席で後ろ向きにニヤニヤ笑いを向けてきた。
 
二十歳そこそこの「こうがんのびしょうねん」の昭和の良い子は、南千住の名画座で初めて野郎から痴漢行為を受けたのであった
 
 
嗚呼、今は無き名画座、というより、もう何ヶ月も映画館にご無沙汰だ⤵️
 

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