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お好み夜話-Ver2

かくやのこうこ

霊園の墓守りを弟にバトンタッチした今年は、ばあさんが亡くなって10年目。

 

ばあさんとは言っているが実の母親で、最晩年はパーキンソンと認知症が酷くなり、施設に面会に行っても実の息子が誰だかわからず、暑い夏の日に静かに誰も気がつかないうちに息をひきとった。

 

そのばあさんの形見のひとつが50年ものくらいの糠床だった。

 

子どもの頃よく糠をかき混ぜさせられ、その所帯じみた匂いがついた手がイヤだったが、漬けあがったキュウリやナスは抜群に美味かった。

 

糠床の底には古漬けになったキュウリや生姜が埋もれていて、ときどきそれを取り出しては刻んでちょっと醤油をかけて親父の晩酌のアテになっていたが、これがまたあと引く旨さで、横から箸を伸ばしてとってはメシをかっこんだものだ。

 

それが「さんやのおこうこ」とか「かくやのこうこ」だと教えられ、落語の「酢豆腐」のなかで貧乏長屋の連中が酒のアテにしたものだと後に知った。

 

 

ばあさんの形見の糠床はもう何年も前にうっかりダメにしてしまい、新しく糠と甕を買ってしばらく漬けていたが、それも甕を落っことして中身をぶちまけてダメにしてしまった。

 

それからはどこかで買ったものか、お手軽に漬け込んだ糠漬けしか食べていない。

 

入院生活で食べられないものの一つに糠漬けがあり、「かくやのこうこ・古漬け」なんて絶対に出るはずもなかった。

 

そう考えるとなんだか無性に食べたくなってしまった。

 

 

ようやく入院生活とは縁が切れて、特に食事制限もなくなったこともあり、散歩に出たついでに簡単糠漬けの素を買ってきた。



 

試しにキュウリとナスを漬けてみたらけっこう美味かった。

糠に漬け込んだら冷蔵庫に入れて、毎日かき混ぜなくていいので楽チンだ。

 

これで「かくやのこうこ」を作ろうと、キュウリと生姜を漬け込んではや3ヶ月。

 

そろそろ良い感じの古漬けになっているだろうか?

 

もうちょっと放置して置いたほうがいいか?

 

それとも放置しすぎてダメになってはいまいか?

 

 

恐る恐る冷蔵庫の片隅に置いてあったビニール袋を取り出し開けてみた。

いいんじゃないの😁

 

キュウリと生姜を刻んで混ぜて白ゴマをフリフリして、

ちょいと一口・・・😆旨い‼️

 

こりゃ日本酒がすすんじまう😏

 

が、しかし、もう大晦日までは飲まないと誓ったのだった。

 

で、仙台の「バーバーくん」からいただいた金華鯖を焼いて、

「かくやのこうこ」と代わりばんこに箸をつけ、白メシもすすんじまう〜‼️

 

さて、大晦日、新年に向けて、またキュウリと生姜を漬け込んでおこう👍


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