女湯からなかなか出てこないかあちゃんを待っていたのだが、出てこれないワケがあったのだ。
かあちゃんの隣でシャワーを浴びていた二十歳前後の女の子が、突然倒れて床にゴツンと頭をぶつけたという。
彼女は友達とハーフマラソンに出場したのだそうだが、ちょっと頑張っちゃったのか、外気と浴槽内の温度差で貧血をおこしたようだ。
ただフラっとして倒れただけならまだしも、音が聞こえるくらいに頭をぶつけたのでかあちゃんも慌てて、彼女に駆け寄り介抱し、素っ裸なのでバスタオルで覆い友達に声をかけて施設の人を呼びにやらせ、浴衣を着せて浴室の外へ出した。
幸い温泉に来ていたマラソンを走った人の旦那さんが医者だという人がいて、その人が来るまでそばにいて声をかけていたのだそうだ。
女の子は意識ははっきりしていたが、倒れたことで狼狽えてしまって、かあちゃんはずっと手を握ってさすってやっていたのだという。
駆けつけた医者も、大丈夫そうだが頭を打っているので一応病院で検査を受けるようにと言って、彼女は車で来ていた友だちに連れられて近くの病院に行くことになった。
別れ際に、どうしてもかあちゃんにお礼が言いたいと名前と住所を聞いたそうだ。
かあちゃんは不思議と突然倒れた人のそばにいる事が多く、オヤジや小僧もその例外ではなかったので、応急処置というか倒れてすぐの対処の仕方に慣れている。
無意識に身体が反応してしまうので、迷惑をこうむることもたまにはあるが、すべては善意から出た行動なのでお礼など求めてはいない。
マラソンビギナーの若い娘が、こんなことで走るのをやめてしまわないでほしいと、あとでみんなと話した。
天草マラソンから1週間がたとうかという土曜日の午後、我が家に荷物が届いた。
差出人に覚えはないが、宛名はかあちゃんだ。
開けてみると⁉️
立派な箱に入った、な、な、な、なんと、
「宮崎牛」
ではないか😳
なんだなんだ、東国原知事が辞めて久しいが、彼が吉原のソープに花輪を出していたことをチクった覚えはないし、肉を贈られるほど宮崎県の焼酎を飲みまくったわけでもない・・・・・。
同封されていた手紙をかあちゃんが読んで、やっとお肉の贈り主があの時の女の子のお母さんだということが判明した。
娘さんもようやく元気になったと、きれいな字でお礼が綴られていた。
あらまあそれは良かったと思いながらも、このような高価なお肉を頂いちゃって、かえって申し訳ないよなぁ。
電話やメールで連絡をするよりもやはり手紙で、また天草マラソンで会いましょうということと、チームモグランポのように仮装して楽しく走るのもアリだということを伝えようとかあちゃんと話し合った。
で、立派な宮崎牛ちゃんですよ。
冷凍ではないから賞味期限も短いし、ありがたく頂くことにして、どうせ焼くなら店の鉄板の方がうまく焼けるからと店に持って行った。
そして日曜日の閉店後、せっかくだからスーパーで普通に売られている1200円の国産牛を買い、初めての宮崎牛と比較検討してみることにした。
フム、ナリはでかいが不自然なサシが入り、手で押した感触もいかにも結着肉、違いは一目瞭然。
両方を同じ条件で焼いてみる。
いい感じで焼けたらナイフを入れてみると、宮崎牛ちゃんの方はスッと何の抵抗もなく切れ、表面の焼け具合と真ん中のレアな感じが実に美味そう。
それに対して国産結着肉、筋を切るのに抵抗があり、中まですでに火はとおってしまっている。
それぞれ盛り付けて試食タイム👍
う、う、う、うまい‼︎
噛まなくていいほど柔らかく、旨味と肉汁が口中に広がる。
この夏に行って食べた米沢牛のステーキより、こちらの肉の方が上だ。
でもけっして米沢牛がダメというのではなく、ランチの値段相応のお肉よりはこちらの方が美味いということだ。
だが結着肉はどうだ、ファミレスや安いランチでお馴染みの味と噛みごたえ、これしか食べたことがなけりゃこういうもんだと納得もしようが、もはや後戻りのできない我ら夫婦、爪楊枝がほしいと顔を見合わせる。
やはりお肉には歴然とランクがあることを実感するし、いいお肉は余計な味付けがいらない。
こんな素敵なお礼を頂き本当に心苦しいが、じつに美味かった。
来年また天草マラソンに行けたら、ぜひ彼女にお目にかかりたいものだ。
ありがとうございます。 ご馳走様でした。
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