お好み夜話-Ver2

静かなBARでTEN HIGHを

ひんやりと秋を感じさせる空気が心地良い。


ふと何ヶ月ぶりに、洋酒が飲みたいと思った。


コロナになるずいぶん前の、ある夜のこと。


店の粗大ゴミにシールを貼って表に出してきたのだが、マヌケなことに鍵を忘れ、自宅に戻ってまた出直し、すっかり汗をかいてしまった。


7時を回った頃で、駅前はそこそこの人手だったが、通りがかりの飲食店を覗いて見てもどこもあんまり賑わっておらず、人の流れは駅へ向かっている。


なるほど、コロナ禍で飲食店の引けが早くなっているのは間違いないようだ。


なんせ夜の7時にこんなんじゃ😵


ゴミを出し終えて、さてせっかくだから遠回りして帰るかと、駅の方へ向かわずに商店街を進んだ。


すると、いつものところにひっそりと小さな行燈看板が出ているのを目にした。


嗚呼、我が身の不調とコロナ禍で、もう45年夜のこの通りを歩いておらず、この看板にお目にかかることもなかった。


ということは当然店にも足を踏み入れていないわけで・・・。


足が自然に階段を上り、ドアを開けて薄暗い店の中に身を滑らせた。


「お⁉️お久しぶりです。いらっしゃいませ」


カウンターの内側から「二月屋」のマスターがいった。


普段はだいたいカウンターの端に座るのだけど、久しぶりだし、お客さんは離れた席に一人だけなので、真ん中に止まらせてもらった。


話すことは山ほどあるが、先ずは清めの一杯を何かくれというと、マスター酒棚の奥から出したのは何と「TEN HIGH!!


おおっ、まだ半分も残っていたのか?!


「他の人には出していませんから、マスター専用ですよ」


と、ロックグラスとともに目の前に。


TEN HIGH」それは決して高級なバーボンではない。


いや、むしろ安酒といった方がいいかもしれない。


はじめて飲んだのは20歳の頃六本木で、だからもう40数年ほど昔のこと。


多くの素敵な大人にお酒や飲み方を教えてもらっていた頃、自分でも買えるレベルのバーボンが「テン・ハイ」だった。


昔は洋酒を扱っている酒屋だったら置いていたのだが、輸入業者が取り扱いを止めてしまってから「幻の」バーボンになってしまい、また入手できたら飲みたいなぁと以前マスターに漏らした事があったのだ。


するとオヤジよりは10歳以上若いマスターのバーテン魂に火がついたのか、飲んだことのない未知の酒を探してネットで手に入れてくれたと言うわけだ。


いゃぁ実に嬉しい。


融通の効くBARのある幸せ、感激とともに一口味わう、う、旨い!!


何年振りのバーボンだろう?


TEN HUGH」とは、ポーカーで最高の役「ストレートフラッシュ」にちなんで「これ以上はない」という意気込みから命名された5年熟成のライトタイプのバーボン。


またコイツを飲めた幸運に乾杯、このポンコツを忘れないでいてくれたマスターに感謝、静かなBARのカウンターにいることの幸せに乾杯。


積もる話しを問わず語り、コロナ禍のBARの苦戦に耳を傾け、マラソンの話しにも話題はおよぶ。


そう、ここのマスターも走っているのだ。


以前はよくマラソン帰りに寄ったよなぁ。


話しているうちに「TEN HUGH」を飲み干し、一杯で帰るつもりがもう一杯と。


今度はちょっとガツンとくる系を。


しかしこれも旨い、やはり洋酒はBARで飲むに限る。


だがこのいい雰囲気は一生BARから出られなくなっちまいそうで、グラスの氷が溶けないうちにバーボンを飲み干し、


「また来るよ、生きてたらね」


と席を立った。


ロックで2杯飲んだだけなのにとてもいい気持ち、拓郎の「マスターの独り言」を口ずさみたい気分て家路をたどる。


今度はいつ、あのカウンターに座って、旨いウイスキーを飲めるだろうか?


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コメント一覧

ジーサン・ステーキハム
おーい おーい 中村くん ではなくて
怪奇 青たん男
酒飲んでOK牧場かぁ
まぁ 
たまには ちょいと 一杯も分からんではないが
しかし 
なんか 今回は 心悲しいブログ内容やな〜
ふぐり が無くなった 老人テキな
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