お好み夜話-Ver2

最後の梅干し

「どちらさん❓」

実の娘の顔を見たばあちゃんの第一声。

天草の実家からほど近い施設に入ったばあちゃんは顔色も良く体は元気そうだったが、だいぶ認知症が進んでいたようで、かあちゃんのことがわからなかったそうな。

話しをしているうちに遠くから訪ねてきたことを理解したようだが、イマイチどういう関係かわからない顔色だったという。

ためしにオヤジや小僧の写真を見せても、首をかしげるだけだったとのこと。

あーあ、ついにこのオヤジは実の親からも義理の親からも存在を忘れられてしまったというわけか!(◎_◎;)

まあとりあえず施設の中で話し相手もでき、楽しそうにやっていたとのことで一安心。


そんな天草のばあちゃんが漬けた梅が大量に届いた。

かつては店で小袋に入れて販売していたこともあったが、これが最後の梅になる。

梅酒を漬けていた8リットルの瓶に3本、それより小さい瓶にさらに4本小分けした。

食べてくれる常連さんにおすそ分けしてもまだ十分にある量だが、食品庫にはまだ以前に送られた梅が2瓶もあり、塩分控えめの我が家ではとても食べきれない。

しかしばあちゃんの形見だと思って、少しづつ日の丸弁当にでもして食べるかね。

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