お好み夜話-Ver2

お疲れバスツアー

かあちゃんが使っている通販会社から、新年のバスツアーの御招待状が暮れに送られてきた。

一緒に行きますか?と聞かれたのでどこへ⁇と尋ねると、三島大社と韮山の反射炉だという。

ふーん、富士山を見て三島大社は新年そうそう目出度いかも。

とくに予定もないから行くことにして、5時起きして家を出たのが6日の水曜日。

夜型生活に戻ったばかりでわずか1時間半くらいしか寝ておらず、まだぜんぜん前夜の酒が抜けていない。

半ば寝ているように暗い道を歩いて、集合場所の4号線の交差点を折れたところへ行くと、すでにバスが来ていて招待状を見せ名前を告げてバスに乗り込んだ。

かあちゃんは御招待で無料だが、連れのオヤジは6千数百円を支払った。

バスの乗客の9割は女性で、旦那さんと思われる男性が4、5人、平均年齢は65歳を下らないだろう😰

まあこういうバスツアーにはまったく何にも期待はしていないが、 それにしても自分がコッチ側だという現象にめげる👎🏾

サングラスをして耳にイヤホンをねじ込み、爆睡するか呑んだくれていりゃいいやと目を閉じたが、その目論見は完全に外れた。

茶髪で小太りのガイドのおっさんがオネエ言葉でひっきりなしに喋べり通しで、綾小路きみまろばりのよく通る声がイヤホンを突き抜け「ヤザワ」の歌声を押し分けて聞こえてくるのでたまったもんじゃない😱

とても寝れるどころじやないところへもってきて、最初の停車地が港北インターを降りた裏道にある毛皮屋だ⁉

ここで1時間半も停車すると言うのでバスの中で寝ていたかったが、駐車場が狭いので移動しなけりゃならないから全員下りてくれとさ😧

仕方がないからトイレ休憩と諦めて下りると、毛皮屋の従業員に勢ぞろいで出迎えられバイブ椅子の並べられた小部屋に案内された。

デパートの催事場で啖呵売をしているような営業マンが、ジャパネットタカタばりの立て板に水の講釈で、ミンクやらムートンやらの違いをクイズで出され、美川憲一御用達だとかいう200万円ものコートを見せびらかされ、買うまで絶対に帰さないぜとばかりに洗脳の嵐。

何が悲しくてこんなバスツアーで毛皮の講釈を聞かされなきゃならんのかと、さすがに呆れて中座してトイレに逃げ込むと、同じ思いのおじさんかあとを追い個室に入った。

するとそのおじさんの奥さんが男子トイレを覗きこみ、みんなと一緒に行かないと出口にでれないから早く出てきてと叫んだ。

ゲゲッ⁉この毛皮屋は蟻地獄か迷路か‼

不承不承トイレを出るとかあちゃんも待っていて、廊下の先の部屋に恐る恐る入った。

毛皮地獄‼‼

6桁の価格が躍る毛皮のコートや敷物でまさに迷路、鵜の目鷹の目の店員につかまったおばちゃんたちは逃れられずに営業トークに聞き入るばかり。

何が悲しくて新年そうそう6桁の毛皮を売りつけられにゃならんのだ😤

そうとわかっていたら来なかったとかあちゃんを睨むと、かあちゃんもお手上げのポーズ。

こうなりゃ出口を見つけてとっとと出ていってやると見回すが、毛皮の敷物が障壁のように立ち並び出口がわからない。

ふと見ると、さっきトイレにいたご夫婦も同じようにキョロキョロ出口を探している。

こりゃラチがあかないと手近の店員に「出口はどこだ‼」と問うと、素っ気なく指を一方に差した。

そちらへ向かうと毛皮で囲まれた狭い通路があり次の部屋へ続いている、出口を見つけたインディー・ジョーンズの気分で通路を抜けると、なんと‼次の部屋はお正月価格の5桁の値札が躍る手袋やらマフラーなどの小物の迷路。

だが幸いにも大きな敷物の障壁がないから難なく出口を見つけ、店員に声をかけられるスキも与えず通路を抜けた。

これでもう終わったと思うのは早い、次の部屋は珍味やドライフルーツなどの土産の山、3段備えで懐を空にしようという恐ろしい毛皮屋。

だが何が悲しくて毛皮屋で珍味など買わなきゃならんのだ、無料のお茶を苦い気分で飲みバスが来るのをひたすら待った。


毛皮屋の魔の手を逃れた一行は次の停車地、沼津の干物屋⁉へ向かった。

ところがその車中で、オヤジの左足の膝っこぞうに異変がっ😨

バスの窓側がスースーして、膝が冷えてつってしまったのだ。

筋肉が収縮して膝のわきにもうひとつの膝っこぞうができたみたいに膨れ、びっこを引きながら干物屋のトイレに駆け込んだ。

屈伸して揉んで、なんとか七転八倒まではしなかったが痛みが尾を引いた。

そんなだから干物などどうでもよく、それじゃなくてもまだ目的地のひとつも見てないのに、何が悲しくて行きに干物など買う気になるか😤

だがたくましいおばさんたちは買い込んだ袋を下げてバスへ乗り込み、いよいよお待ちかねの昼食会場へ。

ツアーの食事などにはまったく期待していないが、こうなったらビールぐらい飲んでやると決め、食事処のリーチインケースをチェックすると一番搾りがギッシリ👍

飲む気満々でテーブルにつきお膳を見れば・・・👎

小さなご飯茶碗2杯分の白飯が入った御釜に、ほんのひとつかみのシラスと三つ葉入れて混ぜて食べ、そのあとダシ汁をかけて食べるんだそうな。

固形燃料で火にかかっている鍋には子どもの握りこぶしほどのウドンとペナペナのカマボコと2、3切れの菜っ葉、エノキ少々の素ウドン、それにひと舐めのワサビ漬けと佃煮ひと切れ、以上・・・。

推定原価200円の素敵なお食事にすっかりビールを飲む気は失せ、ウドンの汁を飯にぶっかけさっさっと腹に詰めテーブルを離れたが、たくましいおじさん・おばさんは食欲旺盛でガツガツいっちゃってる。

こうなったら売店で缶ビールとつまみでも買うかと探したが、お土産用の割高な3合瓶の日本酒しか売っておらず、自販機も付近にコンビニすらない。

いいさ、三島大社へ行けば参道に店ぐらいあるだろうし露店も出ているだろう、それまでガマン。

でも、甘かった・・・😭


三島には親戚がいて、あの大女優「岸恵子」さんの親戚筋なのだけれど、じいさんばあさんが死んでからはもうすっかり
縁遠くなってしまい、三嶋大社に来るのも17歳の時に家出同然で自転車で親戚の家に転がり込んだ時以来かれこれ40年ぶり。

だからすっかり変わってしまった街並みと境内に戸惑うばかり。

それに、毛皮屋に1時間半も割いたのに、メインの三島大社の見学時間はたった30分だという。

一行はガイドに従い記念撮影やらウンチクについて歩いていたが、そんなものはどうでもいいこっちは昔の記憶を頼りに
勝手に見て歩き売店を探すも、やはりお土産用の地ビール350mlの瓶しかない😵

露店にも酒類はなく、外の店を探そうにももう時間がないのでスゴスゴとバスへ戻る。


次は韮山の反射炉、世界文化遺産に登録されたとはいえ観光地ではないからビールを買えるかは期待できない。

もう不貞腐れながらバスに揺られ韮山へ、オネエ言葉のガイドが追い打ちをかけるように、入場料100円払って近くへ寄りたい人はどうぞと、バスの中からでも見えるからトイレ休憩ぐらいに考えてくれという。

だが車窓からビアレストランの看板が見え、思わず期待してバスを下りるもここでもお土産用のビールしかなく、レストランに入るほどの時間もない.

世界遺産効果でここも何年かすると賑やかになるのか?


とにかく目をつぶり耳をふさぎ、こうなったら一刻もはやく帰りたいばかりだが、途中で富士山の望める吊り橋スカイウオークを見て小田原へ。

ここで最後のお買い物をせよと鈴廣のカマボコ屋へ寄ると、そこに箱根の地ビールがドラフトタワーから飲めるので堪らず一杯🍺

缶もあったがあと少しガマンすりゃいいと一杯でやめて、残りの行程は一杯のビール効果でやっとオネエガイドの声も気にならず眠れた。

渋滞にもあわず6時前に千住につき、疲れただけのバスツアーが終わった😞

もう二度とこんなツアーには参加しないと固く誓い、帰り道に一番搾りの500ml6缶パックを買った。

それにしてもタダより怖いものはないよ、かあちゃん・・・。

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