プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< 終わりに見る街 >

2025年01月23日 | ドラマ。
はるか昔に山田太一が原案を書き、今回は宮藤官九郎脚本。
テレビ朝日開局65周年記念ドラマ。ドラマ化は3回目らしいよ。

うーん。つまらなくはなかった。しかし納得感は薄かった。
なんというか、……ま、古さもなきしもあらずなのか?
むしろ舞台で見たいような、舞台を見ているようなアンリアル感があった。

2時間のドラマではねー。描き方が浅くなるのも仕方ない。
これが連ドラだったらまた違っただろう。
しかも雰囲気はどっちかというとコメディ寄り。コメディの方が好きだけれども、
「戦争」で「コメディ」で単発で深いところまで到達できるかというと難しい。
コメディは遊びの部分が必要だからね。

クドカンは「新宿野戦病院」でも社会問題をかなり盛っていたけど、
あれは問題提起に留まっていたから気にならなかったのであって、
「戦争をどう考えるか」を問題提起で終わるのは物足りない。

あとはちょっと有り得ないところがちょこちょこあって興ざめ。
まず現代日本の服を来た人6人が、そうそうちゃんとした貸家を借りられるか。
かなり立派な家でしたよ。広くて。良さげな建材を使っているような。
突然現れた異様な風体の一団を怪しまないのかと……
地域社会に溶け込めるとは思えない。

そしてあっさり「戸籍を偽造して」とやりますよね。
戸籍を偽造するってそんなに簡単にやれるの?

急遽80年前にタイムスリップした人の常識の欠如はそう簡単に埋められないんじゃないか。
大泉洋が子供たちにこの時代の天皇の存在についてを説くところがあるんだけど、
全然嘘くさいというか。この程度で話は合わせられないだろう。

ああ、そうそう。下町で「明日空襲がありますよー!逃げてくださーい!」って
街角で叫んでいたら、あっという間に風紀紊乱で、場合によっては特高なんかも出て来て
監禁一直線じゃないかなあ。
今だって、街角で「明日地震が起きますよー!逃げてくださーい!」と
街角で叫んでいたら警察が来ると思う。
単に噂として流した方が効果的だったんじゃないか。



以上が良い悪いの話。
以下は好き嫌いの話。

大泉洋が主役というのも裏目に出たんじゃないか。
彼は力量のある役者。役者としては好きだ。

……が、大泉洋には青白きインテリの論理は似合わない。
むしろこういう異世界に行ったら簡単に順応して大活躍しそうなイメージがあるもの。
工場に働きに行って役立たずで首、という流れが似合わない。
もっと神経質で、融通の利かなさそうな役者を使うべきではなかったかねえ。

エピローグは、それっぽく作ってはいるけど納得できるかというと……
要は「2024年現在だって戦争の可能性はなくなってないんだよ」、
現実に直面しうる問題だ、という話だと思うんだが、
あまりに唐突にSF的な画面にしちゃった結果、現実感がなくなっている。
この画面作りだと現実に引き付けて考えにくいんじゃないのかなあ。

 
がんばったドラマだとは思うが……やっぱり文句が多めになってしまう。
堤真一のおちゃらけ感は珍しくて面白かったが、はまっていたかというと。
おばあさんは三田佳子でしたか!ひさびさや~。

戦争をテーマにしているわりには少し軽いか……。
わたしは軽いドラマの方が好きではあるけど。




コメント
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