プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 西宮秀紀「伊勢神宮と斎宮」

2025年01月20日 | ◇読んだ本の感想。
面白くなかったです。初心者向けを期待していたのだが。

斎宮について基本的なことを知りたかったのよ。
なので、タイトル的にこれだろうと思った。新書だし。
基本的なことを説明してくれて、その上で伊勢神宮との関りをじっくり語ってくれるだろうと。
だがしかし。

まーとにかく話が細かかった!
これの本当のタイトルは、「伊勢神宮関係文書を読み解く」だね。
史料の説き起こしをメインにする内容で、枝葉はいろいろ書いてくれるんだけど、
せめてその前に伊勢神宮と斎宮それぞれについて概説を書いてくれ!

わたしの伊勢神宮についての知識は、いろいろ読んでてついでに触れられる知識&
テレビの旅番組、
斎宮については「古事記」と「源氏物語」「伊勢物語」の関連で語られる個所しか知らない。
わたしはそこからもう一歩踏み込んだ(しかし踏み込みすぎない)概説が欲しかったのだ。

しかし著者は、その辺のことはもうみんな知ってると思ってるのか、
基本的な説明はナシ。

そして史料を読み込んだ内容を丁寧に現代日本語化してくれる。
……だがその内容が細かすぎて!
多少細かい程度なら面白いけど、ほぼ全体が細かすぎて!

誰でも知っている内容をレベル1とすれば、わたしが求めていたのはレベル2程度の
解像度で、これはレベル4くらいの細かさ。

例えていえば、桜を一度も見たことがない人に花だけを延々と説明しているような状況。
(主観的に言えば、花というより花弁だけを説明しているような)
幹や枝ぶりや樹高とかも一緒に書いてくれないと、桜の全体像が伝わらないのよー。
花だけ(花弁だけ)だと、松の木に桜の花が咲いているような木を想像しないとも限らない。
それはやっぱり「桜の説明」としては片手落ちなのではないか。

3分の1ほど読んだ時点で、あれ……?これ最後までこの調子なのか?と疑問に思い、
半分ほどで、先の長さにがっかりし、最後の3分の1は内容そっちのけで
「いったいどうしてこれほど読みにくいのか」という原因を考えながら読んでいた。
読んでいたというより目を滑らせていた。

原因は前述の通り、基本的に史料の説き起こしであるというのが大きいと思うけど、
それに関連して、……解説もしてくれないのよね。

A1とA2とA3という史料から、Bと思われるといってくれれば
初心者はなるほどなるほどと思って読むが、A1とA2とA3を提示するだけで、
そこからのBは言ってくれないから、「……で?」という感想になる。
客観性を重視したのかもしれないが、新書ってそういうものじゃないでしょう。

あと、終盤で思ったけど、一文が長すぎる。
読点まで3行から5行がほとんど、となるとAとBとCとDを一文で書くようになって、
内容が散漫になる。
だから1ページに「さらに」と「また」が5回も出て来るようになるのだ!
そこで文章を分けろ!

……と思って何とか最後の「終章」まで読んだら、
その終章の文章は明晰で明確で、非常に読みやすいの!
本文と終章が同じ人が書いたとはとても思えない。
なぜ本文もこの明晰さで書いてくれないのか。


というわけで、斎宮についての知識はほとんど深まらなかったので
(読んでる間にちょこちょこ面白い知識はあったんだけど、何しろ細かいので
読み進めるうちに忘れてしまう)
別な本を読んでみます……。



コメント
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