プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 根本聡一郎「ウィザードグラス」

2025年01月08日 | ◇読んだ本の感想。
根本聡一郎2冊目。

デビュー作の「プロパガンダ・ゲーム」もなかなか面白かったのよ。
でもどっちが好きかって言ったらこの作品の方が好きかな。
兄弟の関係性とか、心情的な部分が多かった。

この話はSNSをテーマにした陰謀サスペンス。
とはいえ、話としてはすっきり系で、これで物足りない向きもあるだろうが、
わたしは満足だった。SNSよく知らんが、順序良く言及してくれて理解出来た。

わかりやすいストーリーで、さっぱりしているところがいいと思う。
そして結末がすっきりしているところがありがたい。

SNSの固有名詞のもじりがわりと面白かった。
この辺であんまり著者本人が楽しんではいかん気はするが、わたしもけっこう楽しんだ。
本筋とは違うが。

書き方が観念的になってしまっている部分(ライブの場面)が少々気になったかな。
ここは描写で乗り切るべき。
あとバンドの人気者の女の子がそれほど活かせてなかったので、少し残念。

公安の方々は良かったね。これはネタバレだが、
わたしが読んだなかで公安が善玉というのはもしかして初かも。
エプロンをして料理をする佐倉さんはマンガにして欲しい。
マンガ向きだろうね、この小説は。

書かれているのは、SNSの情報をアメリカやGAFAが握ることについての恐怖。
というより、そういうシステム(ガジェット)が開発されていることの恐怖。
主人公はいろいろあって、他人の検索履歴がほぼ無条件で可視化できる眼鏡を手に入れる。
設定としてはありがちだが、けっこうエピソードの並べ方が良くてすんなり飲み込めた。

そして、前作と本作の繋がりが面白かったね。
細かい部分は忘れているが、かろうじて内容を覚えていたので楽しめた。
作品同士を結び付けるのは作者の神の愉悦だな。

前作もSNSを使った話。今回も同じく。この部分に興味がある作者なのだろう。
次は毛色の変わったものも読んでみたいな。


GAFAの支配に。屈してるよね、現代社会は。
そしてその状況が今さら覆るとは思えない。諦めをもってそう思う。

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