プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 高橋克彦「天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男 九戸政実 上下」

2024年09月01日 | ◇読んだ本の感想。
これ、新聞連載だと思い込んでいたんだけど、違うようだね。
だったらなあ……もうちょっと短くしてくれても良かったような。
単行本で上巻634ページ、下巻567ページあるんだよ。正直飽きた。

特に上巻がね。おそらく史実でもずーっと本家とぐだぐだやっていたんだろうし、
そのぐだぐだがあったからこそ最後の決戦が盛り上がると思ったのかもしれないが、
正直、そんなに能力がある人ならとっとと本家と決着をつけろと。
3回くらい同じことをやるでしょう。もたもたしている。ひたすらもたもたしている。


高橋克彦ってちゃんとした作品を書く人だとは思うんだけど、明確な欠点もあると思ってて。
まあ近年の作品は読んでないんだけどね。
でも20年前くらいに初期のミステリと、「炎立つ」「火怨」、「竜の柩」「霊の柩」……
10冊ちょっとは読んでいる。「竜の柩」はトンデモとはいえ、すごく面白くて買った。

でも「竜の柩」でもすでに顕著だったんだけど、
……この人はほんとーに人が描けない。

いや、かっこいいのよ。主役は常に。
だがそのかっこよさがあまりにも型にはまりすぎて。
全然書き分けが出来てない。作品は違えど造型はみな同じ。
主役みんなが頭が良くて、かっこよくて、人に慕われ、賞賛される。
「またこれか」と思うと……どうもねえ。

この人の話の作りは、主役が全てを見通して台詞で全部を説明するパターン。
ミステリもそうだし、伝奇ものもそうだし、歴史物もそう。
それに加えて、その会話文も全員同じなんだよなあ。
これは主役どころか登場人物の口調が全員同じ。語尾をちょっと変えたりするだけ。
もう少し何とかなってもいいだろうと思う。

台詞で話を進めるところが災いして、なかなか進まない。
「またこれか」と思っているから気持ちよく読み進められない。
小説として、……悪いってわけではないんだけど、うーん、やっぱり不満だなあ。


まあでも、全然知らなかった九戸政実について読めたのは良かった。
面白くなくはなかった。テーマ自体は。書き方に飽きただけで。

だが多分高橋克彦が書くと相当理想化されているだろうと思うので、
九戸政実と南部一族についてはいずれ人文書を1冊2冊読んでみようと思う。
課題図書リストに入れて、おそらく8年後くらいに。

源氏の血筋の九戸政実を、蝦夷の後継者として扱おうとするのは無理があると思われるが、
高橋克彦の日高見愛に免じていいことにする。


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