プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< 広重ぶるう >

2024年08月23日 | ドラマ。
役者も画もいいんだが、どーも話が食い足りない。
ほんの少し。あと一歩。旨味を出せなかったもんかね?

しかし歌川広重は有名なわりに、フィクションが作られてこなかった人である気がするから、
そもそもドラマティックな人生が伝えられてないんだろうな。
北斎、写楽はけっこう作られてるが。
なので、ああいう風に「つまらない人生」と作るしかなかったんだろうけど、
そう言われちゃうとなあ……と感じる。

まあさわやか路線の話ではあったんですけどね。
奥さんがあまりにも犠牲になっているのを別とすれば。
これは史実なんですかね?奥さんのことが不詳だったら、死なせないで、
むしろみんな幸せに暮らしましたの方が満足感があったのかもなあ。

Wikiによれば子供はいたようだし。ドラマでは子供がいなかったけど。
保永堂との関わりをもっと掘り下げれば面白かったんじゃないかな。
どうせ創作で埋めるしかないなら、もっと詰められた気がするよなあ。

優香は、決していい女優さんというわけでもないと思うが、いい役を選ぶよね。
今回のこれも、前回の「ちかえもん」……2016年のドラマだが、の役も好きだった。
阿部サダヲはなんでも出来る人だから。今回も文句なし。

高嶋政伸は相変わらずコワイのであった。
いい設定だったのに、それほど関係が深まらず、急に店を畳んじゃうのはつまらなかったな。
原作小説があるというが、どの程度の再現度なんだろう。

吹越満の国貞は、味があっていい人間だったが国定自体の事象を知らないので、
そこまで話に重みは与えられなかった。


あ、でもね。ドラマには明確に文句をつけたい点があった。
絵をねー。もっと上手く使って欲しかったのよねー。

たとえば「のだめカンタービレ」の何が良かったって、音楽を誠実に描いたこと。
それがドラマをしっかり支えた。
だとすれば、このドラマでは絵と(スタッフ側が)誠実に取り組まなければならなかった。
が、いかにも足りなかったよね。取り組み方が。

不誠実ではないんだけど、単にきれいな絵でしかなかったからね。
道中でささっと描くべきスケッチも、夜なべして夢中になって描いた絵も、
「単に丁寧で上手い絵」でしかなかった。
「人を描くんだ!」と目覚めて描いた優香の絵だって、それまでとどこが変わったのか
わからない絵だったんだもの、このドラマを全然支えない絵だった。

これは描いた人の責任ではない。そういう指示を出せなかった演出が問題。

あんな上品な線の一種類で描くわけがないのだ。下手な人ならまだしも。
状況によって、題材によって、線の元気さには差があるはず。
生き生きした線が全然見られなかった。描かれた絵も含めて役者でなければ。
この点、残念でしたねえ。


なーんか、もう少し話を練れば格段によくなったドラマだろうしもったいない。
くだらないというほどではないが、食い足りない。
わたしの心の本棚のドラマ部門には入らないわ。
役者が良かったなんだから、もう少し動かしてみたらよかったのに。
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