名作の呼び声高いハインラインのSF。
1970年からコールド・スリープに入り、2000年に目覚めた男の話。
古典SFとしては古びた感触は少なかった。1956年刊行。
でもまあ何しろ2000年でさえ今から見ると20年も前であり、
2000年どころか今に至っても金星に基地はないよ、とか
早すぎた未来の描き方に微笑ましくなる。
面白かったんだけど、事前の名作評判を聞きすぎたせいか、そこまでか?と思った。
ロマンティックというほどロマンティックではないしね。
この筋立てなら、もう少し復讐譚の方向に寄ってもいいと思ったが、
かなりそこはあっさり。男の方に至っては姿さえない。
新しいアイディアの羅列は数多く、そこも読みどころではある。
2020年の立場での答え合わせも愉しめる。
猫も可愛い。いうほど出て来ないけれども。
――が、全体的にわたしはもっと詩的な作品をイメージしていたんだよなー。
なのでそれよりずっとエンタメ寄りの、エンタメとして上手く作られた作品に
違和感があったというか……
「たんぽぽのお酒」みたいな、詩的な、心躍る作品を期待していた。
まああれはSF作家が書いたにせよ、SFではないけれども。
ハインラインはとりあえず「月は無慈悲な夜の女王」もあるのでそっちも読んでみる。
これはタイトルがいいよね。
あとは「異星の客」くらいか……。
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