最近よく目にするNFTやブロックチェーン。
いまの時代、工芸家もこれらを使いこなさなくてはならない、なんて話をシンポジウムなどで聞いたりする機会が増えました。
しかしなにやら聞き慣れないワード過ぎてわからないしハードルも高そう。
おそらく勉強が苦手で考えることが不得意の私のような人間はそう感じるのではないでしょうか。
話に出る度に「ふーんよくわからないけどそんなのが流行ってるのか」なんて思いながらも調べることすら嫌厭してしまう仲間が!きっとたくさんいるはずです!
ところがつい2、3日前のことでした。
この先やってみたいものってどんなことだろうと考えていた時に、ふと「あれ?私のやりたいものってまさにこの方面なのでは?」と気づいてしまったのです。
さらに図ったようなタイミングでNFTの特集を組んだ美術手帖が手に入ったこともあり、思い切って食わず嫌いしていたNFTというワードに向き合うことに決めました。
今回はそんなNFT初心者の中のさらに初心者がNFTについて考えるお話です。
少し長くなりそうなので2回に分けて書いていきたいと思います。
まずNFTとは「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の略で、このトークンというのはブロックチェーン技術を利用して発行された仮想通貨や認証のことをいいます。
ブロックチェーンというのはネットワーク内で発生したすべての取引を記録した、いわば台帳のことなんだそう。
つまりこの技術を用いることでこれまで価値をつけることが難しかったデジタルデータに価値が生まれたというわけです。
どういうことかというと、いくらでもコピー可能なデジタルデータですが、NFTを使うことによりオリジナルの証明ができ、きちんとした売買が可能になったのです。
また転売もできるので、アートの面でいうとこれまでのフィジカル作品のように転売されるごとに価格が変動していくという面白さもあります。
もちろん違う面もあり、これまでは転売された場合はオークションなど、転売した側にのみ利益があるのが普通でしたが、このNFTの仕組みを使うことで制作したアーティストにもお金が入ってくるという仕組みが出来ました(ライセンスにもよる)
この新たな仕組みによって収入が生まれたことで、アーティストがアルバイトなどをする必要がなくなり、制作活動に集中できる環境ができたという事例も少なくないのだといいます。
評価が作品をつくったアーティストに還元されることはとても大切なことですよね。
もちろんデジタルアートだってつくったところで必ずしも売れるわけではありません。
しかし夢のあるお話です。
では次にこのNFTの世界に参加するにはどうしたらいいのかということです。
NFTアートというのはNFTを活用したアートのことで、まさにいまこの市場が大盛り上がりしているわけです。
なんとなーくNFTというものの存在が理解はできていなくてもぼんやりわかってくると、抵抗感から一変、前向きに参加してみたくなってきます。
その一歩となるのがNFTアートの購入や販売ではないでしょうか。
簡単な流れとしては、
①取引をするための口座をつくる。
②取引所で暗号通貨を購入する。
③暗号通貨を管理する「ウォレット」を開設し、暗号通貨を移す。
④NFTアートを扱うマーケットプレイスで作品を購入(購入時は支払い方法で開設したウォレットを選択する)、販売(作品を用意して公開=ミントする)
注意点としては、購入する場合も販売する場合も「ガス代」と呼ばれる、ブロックチェーンに取引を記録するための手数料が発生するということ。
しかもこのガス代は日々変動しているのだそう。
気をつけるところはいろいろありそうですが、これならなんとなくNFTの世界に足を踏み入れやすい気もしてきます。
ただ私の場合は英語がからっきしなので、作品の詳細をどう書くかという問題も。
こればかりは翻訳機能に頼るだけではおそらくダメなので(マーケットプレイスによっては一度登録してしまうと修正が効かない場合もあるのだそう)きちんとプロに頼むのかどうするのか…悩みどころです。
またこのキラキラした世界。
作品に億の値がついているアーティストもいます。
しかしこれまでのフィジカルアートと違い、誰でもネット環境があれば販売が可能な分、すでに飽和状態になっている部分もありそうです。
NFTアートが誕生した初期は物珍しさにどんなものでも売れていたのが、これからはより洗練されたもの(アートとしての価値のあるものや仕組みを生かした面白さのあるもの)しか残っていかないようになる流れのようです。
下手をすると作品の価格より手数料の方が高くてマイナスになることもあるんだとか。
今から参加するにはどういうものを提案していくのかしっかり考える必要がありそうですね。
しかしこの盛り上がり、当事者にならない手はない!と少し興奮気味な私です。
印象派やキュビスムが誕生した芸術運動の熱再びなんて妄想までしています。
この変革期に生きていることが嬉しい。
何ができるかはわからないけれど、結局何もできないかもしれないけれど、いまを楽しみたいと思います。
今回はそもそもNFTって何?ということについて書いてきました。
次回はもう少し美術手帖の中身に触れながらNFTを覗いてみたいと思います。