ARTとアートの違いって知っていますか?
今回は、先日ーーといっても結構前になるのですが、東京美術館巡りさんが開催しているTwitterのスペースで、Masaki Haginoさんというヨーロッパを中心に活動している現代絵画家の方がお話されていたのをたまたま聴いて、なるほど…といろいろ考えさせられたお話です。
主題は〝現代アートについて〟
途中からしか聴けていなかったのですが、その中でARTとアートと芸術と美術の違いについて話していたのが個人的には面白く印象的でした。
〝ART〟と〝アート〟
アルファベット表記かカタカナ表記かの違いで、どっちも〝アート〟でしょ?と思われるかもしれません。
私は実際にそう思っていました。
しかし日本におけるいわゆる〝アート〟と世界の〝ART〟では意味が全然違うのだそうです。
日本には〝芸術〟という言葉があります。
一般的にこの〝芸術〟が〝ART〟とイコールなわけですが、〝芸術〟という言葉が生まれたのは明治時代のことだということはご存知でしょうか?
啓蒙家の西周によってリベラル・アートの訳語として造語されたのが始まりです。
つまり明治時代までは芸術という概念が日本にはありませんでした。
驚きです。
リベラル・アーツというのは、「人が持つ必要がある技芸(学術・技術)の基本」と見なされた自由七科・自由学芸のこと(by Wikipedia)
だそうで、つまり学問的価値があるものを指して〝芸術〟(=ART)といっていました。
それが現代の日本ではどんなものでも〝アート〟と呼んでいます。
ネイルアート、オカンアート、ラテアート…
あれ?と思いませんか。
そう、ややこしいのはこれらのアートをARTだと思っている人が少なくないということです。
私もそのひとりでした。
しかしこういったアートに学問的価値があるのかと問われると、残念ながらあるとは言えません。
つまり〝芸術〟(=ART)には理論上当てはまらないのです。
カタカナ〝アート〟は現代の日本で生まれた新しいジャンルといえます。
ではARTというのは一体何なのか。
(②に続く)