先日、久しぶりに配信で話す機会をいただきました。
凛九のメンバーでもある伊勢一刀彫の太田結衣ちゃんと一緒に呼んでいただき、「この先やっていきたいこと」というテーマで話しました。
私は手元に資料がないと何も話せない人なので、やりたいことを簡単にまとめた紙を事前に用意しておきました。
文字にすると頭の中が整理されて、ぼんやりしていた部分やこんがらがっていた部分が少しクリアになります。
以前のブログでも境界線の話など思想的な内容を書いてきましたが、今回も8月に控えたブースイベントの宣伝も兼ねて、私の思っていることを3回に分けて書いていきたいと思います。
私は元々はスポーツメーカーに勤務していました。
そこで大量生産、大量消費を目の当たりにして、自分のやっていることに疑問を感じはじめました。
できることなら流行で移り変わるものではなく、時代を超えて残るものづくりをしたいと思うようになったのです。
単純な私は、残るもの=芸術品だと考えました。
そして芸術=美術大学だと思ったのです。
こうして受験のために通った美術予備校で出会った先生がきっかけで、漆芸の道に進むことになりました。
その後通うことになった漆芸研究所では、私が望んでいたような芸術品としての漆器のつくりかたや心構えを教えていただきました。
どの先生方も美術品をつくる作家であることの誇りを持たれており、そして私もそんな先生方に憧れていたのです。
しかし三重県の伊勢に越してきて、神職さんの履く浅沓と出会います。
鑑賞して楽しむのではなく、実際に使用するための道具として使われている漆器を目の当たりにしたのです。
私の求めていた、美術品として後々まで残るものづくりとは違う、同じものをいつくもつくるいわゆる量産品です。
しかしいちばんの衝撃は職人さんとの出会いでした。
守るより攻めたい②に続く