「アラブの春」に揺れたエジプト。
カイロの宿から、タハリール広場に行ってみた。
かつて数十万人がデモを繰り広げた広場は閑散としていた。
広場の中心に若干のテントが火種のように残っている以外には、人も車も首都の中心部とは思えないほど少なく、たまに通り掛かる人も、車も、まるでテントなど存在しないかのように、いや、敢えて存在を気に留めまいとしているかのように、それぞれの日常のみを身に纏って通り過ぎていくようだった。
混乱も、デモも、結局はこの後も続いている。
警官の賄賂も郵便窓口の着服も相変わらず。
いまどきこれかと逆に新鮮な驚きを覚えるほどの、旧態依然とした途上国水準の民度。
インターネットの普及で情報と自意識だけが肥大化して先走り、現実が全くついてきていないなかで、秩序を壊したら混乱が残った。
結局は、そんなことのような気もした。
@Tahrir Square, Cairo, Egypt
Mamiya G 1:4 f=50mmL (1989), New Mamiya 6 MF