
旧市街の路地にあったマクハー(=カフェ)で休んだ。
入る時にちょっと逡巡したのだが、とにかく暗い。
採光のこともあるけれど、人がどうにも明るくない。
知り合い同士で話している様子もあまりなく、どちらかというと、やることながくて手持ち無沙汰のあまり来てしまった、うらぶれた男達の溜り場という感じ。
これまでに訪ねたよその街、よその国では、開けたところではカップルや女性同士でシーシャ(水タバコ)とお茶と会話を楽しんでいたり、田舎では男性客オンリーになることが多くても、そこは地域の社交場のように会話がなされ、通りがかりの旅行者にも話しかけてきたりすることが多かった。
百歩譲って、水タバコを加えたまま微動だにせず、生きているのか死んでいるのと眺めていると、しばらく経って煙を吐いて、やっと生きていることが証明されるような、そんなお年寄りの日中の居場所のようになっている場所でも、その表情は些か哲学的な趣こそあれ、暗さを感じさせるようなものではなかった。
ミントティーとともに出てきた水タバコも、「タンバック」などと呼ばれる素のままのキツいタバコの葉に炭火を直接乗せたもので、普段喫煙しない身には、水を通してもクラクラする。
周囲の客を見回しても皆同じものを吸っており、どうやら他のカフェでは普通置いている、フレーバーのついた葉はないらしい。
顔をしかめてすぐに席を立つのも癪なので、我慢して他人並みのところまで吸ったら、店を出る頃にはフラフラと足取りがおぼつかなくなっており、どこかでフレッシュジュースでも飲んで休みたいと思っても既にミントティーでお腹はタポタポ、明るさに欠ける街を明るさに欠ける表情で、ゆっくりと歩くしかなかった。
@Jerusalem, Israel/Palestine
Mamiya G 1:4 f=50mmL (1989), New Mamiya 6 MF